そんなあるとき、自分がリタイアしたら自分は何をしているのだろうかと考えるようになりました。死ぬまで仕事か?そんなときに、北大の水上教授から「趣味は若いときから始めないといけないよ」との話をいただき、「確かに、自分も今から何か始めよう」と思って始めたのが、野生動物の写真撮影です。何で写真撮影かは話すと長いので今度の機会にするとして、早速ニコンの高級カメラを購入し、休日に近くの公園や山の野鳥撮影から始めました。すると自分の周りには実はたくさんの美しい鳥が生息しており、しかしその鳥たちを撮影することがとても難しいことがわかりました。今は日本に150羽しか生息していないシマフクロウの撮影にはまり、ひまを見つけては秘境知床に通っております。もちろん動物写真家の間は日常の煩わしい事は一切考えずシマフクロウに集中です。ナイスショットを撮れたときはすべての心の澱が消失します。若い先生方に言いたいことは、仕事に全力を集中する時期は必要ですが、歳を取る前に自分の好きなことを見つけ、それを少しずつ始めることで人生が全然違ってくるということです。金も名誉も墓場まで持って行くことはできないのですから。