公益社団法人 日本産科婦人科学会

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妊孕性温存療法実施医療機関の施設認定要件について

更新日時:2024年5月29日

妊孕性温存療法実施医療機関の施設認定要件について

2021年5月31日
公益社団法人 日本産科婦人科学会
理事長 木村  正
倫理委員会 委員長 三上 幹男
倫理委員会 がん・生殖医療施設認定小委員会 委員長 鈴木  直
倫理委員会 主務幹事 永松  健
倫理委員会 がん・生殖医療施設認定小委員会 主務幹事 髙江 正道

 小児・AYA世代がん患者への妊孕性温存に係わる経済的負担に対する支援は、全国共通の課題であり、国の関わりが急務となっていました。本邦においては、2016年に滋賀県で初めて小児・AYA世代がん患者への妊孕性温存に対する公的助成金制度が開始され、2020年12月の時点で21府県4自治体にまで増加しました。しかしながら、自治体レベルの取り組みでは、自治体ごとに施策の優先順位が異なるため、がん・生殖医療に関わるがん患者に対する費用助成の実施やその条件、助成額に格差が課題となっていました。国内すべての患者に均等な機会を与えるという意味で、特定不妊治療費助成金の制度と同様に、国が小児・AYA世代がん患者への妊孕性温存に係わる経済的負担に対する支援を行うことが望ましいことから、日本産科婦人科学会は、日本生殖医学会、日本がん・生殖医療学会並びに日本泌尿器科学会と合同で田村憲久厚生労働大臣に対して、「小児・AYA世代がん患者の治療に伴う生殖機能低下に対応するための妊孕性温存に係る経済負担に対する国の支援に関する要望書」を2020年11月17日に提出しました。その後、2021年初頭の厚生労働省による2回の有識者会議並びに第75回がん対策推進協議会での議論を経て、国は小児・AYA世代がん患者等に対する妊孕性温存に係る経済的支援を2021年4月1日から開始しました(別添1)。
 がん・生殖医療は新しい領域であり、本邦におけるがん患者に対する妊孕性温存に関するエビデンスが少ないこと、さらに長期保管後のアウトカムの検証が必要となることから、国は、肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業と同様に、又特定不妊助成金制度と異なる「研究促進事業」として経済的支援を行うことを決定しました(厚生労働行政推進調査事業費補助金がん対策推進総合研究事業「小児・AYA世代のがん患者等に対する妊孕性温存療法のエビデンス確立を目指した研究―安全性(がん側のアウトカム)と有効性(生殖側のアウトカム)の確立を目指して」)。
 そこで日本産科婦人科学会は、新たに「がん・生殖医療施設認定条件検討委員会」を2021年1月に設置し、委員会によって「日本産科婦人科学会 妊孕性温存療法実施医療機関(検体保存機関)の施設認定要件」が作成され、本要件は2021年4月22日開催の第1回臨時理事会にて承認されました(別添2)。なお、国の研究事業となる小児・AYA世代がん患者等に対する妊孕性温存に係る経済的支援に参加できる妊孕性温存実施施設は、以下の4つの要件への参加が必須となります。

① 厚生労働行政推進調査事業費補助金がん対策推進総合研究事業「小児・AYA世代のがん患者等に対する妊孕性温存療法のエビデンス確立を目指した研究―安全性(がん側のアウトカム)と有効性(生殖側のアウトカム)の確立を目指して」研究班への参加
② 日本産科婦人科学会が定める新しい施設認定制度(別添2)への参加
③ 各自治体が認可する妊孕性温存実施施設としての参加
④ 日本がん・生殖医療学会が管理する日本がん・生殖医療登録システム(JOFR: Japan Oncofertility Registry)による登録事業への参加(ただし、日本がん・生殖医療学会への入会は必須とはならない)

 なお現在、日本がん・生殖医療学会によって、患者自身の入力ページを有する新しいJOFRが鋭意構築中となっているため、新たな日本産科婦人科学会妊孕性温存療法実施医療機関(検体保存機関)の施設認定要件への制度移行期間(2021年秋頃)においては、現行の日本産科婦人科学会の「医学的適応による未受精卵子、胚(受精卵)および卵巣組織の凍結・保存に関する見解(2019年4月改定)」に則った、医学的適応による未受精卵子、胚(受精卵)および卵巣組織の凍結・保存に関する登録施設が、研究事業への参加対象施設となります。
 そこで、この度新規に設立された「日本産科婦人科学会倫理委員会がん・生殖医療施設認定委員会」では、現行の医学的適応による未受精卵子、胚(受精卵)および卵巣組織の凍結・保存に関する登録施設に対して、2021年4月1日から開始された国の本研究事業への参加の有無を6月上旬までに確認する予定としております。新たに、現行の「医学的適応による未受精卵子、胚(受精卵)および卵巣組織の凍結・保存に関する登録施設」への参画を検討されている会員施設におかれましては、2021年度内に新制度への移行となりますことをご承知おきください。又事前に「日本産科婦人科学会 妊孕性温存療法実施医療機関(検体保存機関)の施設認定要件(別添2)をご確認ください。
 本支援によって、がん患者の身体的・精神的苦痛を軽減し、がんサバイバーシップ向上に繋がり、日本産科婦人科学会が参加する本研究事業が「将来、こどもを産み育てる可能性(選択肢)を残し、がん患者が希望をもってがんと闘うことができる、小児・AYA世代がん患者への特定治療助成支援事業」となり得ると考えております。会員の皆様におかれましては、本研究事業へのご協力をいただきますよう何卒宜しくお願い申し上げます。

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