公益社団法人日本産科婦人科学会
理事長 加藤 聖子
日本産科婦人科学会の会員の皆様におかれましては日々ご健勝でご活躍のこととお慶び申し上げます。
2023(令和5)年6月24日の定時社員総会後に発足した新執行部において第6代理事長を拝命いたしました加藤聖子です。本会は2005(平成17)年から理事長制となり、初代武谷雄二先生、第2代吉村泰典先生、第3代小西郁生先生、第4代藤井知行先生、第5代木村正先生のもと大きな発展を遂げてまいりました。会員の皆様とともに「産科学及び婦人科学の進歩・発展を図りもって人類・社会の福祉に貢献する」と言う本会がかかげる目標に向かい2年間の任期を精一杯努める所存です。
まず、自己紹介をしますと、1986(昭和61)年3月に九州大学医学部を卒業し、九州大学婦人科学産科学教室に入局しました。関連病院での研修後、結婚を機に渡米し、サンディエゴにあるラ・ホヤ癌研究所に3年間勤務しました。帰国後は別府市の九州大学生体防御医学研究所附属病院、福岡市の九州大学病院、東京の順天堂大学勤務を経て2012(平成24)年より九州大学医学研究院生殖病態生理学分野・九州大学病院産科婦人科の教授として勤務しております。日本産科婦人科学会では、常務理事として広報を2年間、編集を8年間担当してきました。編集では、和文機関誌や学会の公式英文雑誌であるJournal of Obstetrics and Gynaecology(JOGR)の編集長(Editor in Chief:EIC)をしてきました。また、アジアオセアニア産婦人科連合(AOFOG)の役員として、アジア各国との国際交流も行ってまいりました。また、木村理事長の下で4年間副理事長として学会運営に携わり、委員会委員長として女性ヘルスケア委員会、旧優生保護法検討委員会を担当しました。2022(令和4)年8月には福岡市で第74回学術講演会を開催いたしました。
さて、産婦人科をめぐる医療現場は医師の地域偏在や産休後の復帰支援、学術的には分子生物学的手法の進歩により、分子標的薬やゲノムの網羅的検索が臨床応用され、個人情報・遺伝子情報への倫理的対応が急務になっています。そしてコロナ感染を始めとする新興感染症への対応という新たな課題も出てきました。また、ポストコロナ時代での学会の国際化のあり方も重要です。社会的には無侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)・着床前遺伝学的検査(PGT-A/SR、PGT-M)をめぐる問題、中絶、避妊、性暴力、性教育などのセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)をめぐる動き、晩婚化・晩産化・少子化への対応など課題が山積しております。これらを総合的に考えるとこれからは「多様性への適応」「連携」がキーワードになると思います。
以上の点を踏まえ、「共生・共同・共創」をモットーに「強く、優しく、頼りになる日本産科婦人科学会」をめざし、アカデミアの団体としてできること・やるべきことを明確化し、他学会・多分野とも連携しながら諸問題に対応できる体制を構築していきます。
具体的な活動目標を示します。
この他にも、新たな課題が生じた場合には、迅速に対応できる体制を作っていきたいと思います。
本学会の運営・活動に対して、皆様のご理解・ご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。