公益社団法人 日本産科婦人科学会

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平成17年度第2回倫理委員会議事録

更新日時:2018年8月3日

平成17年度第2回倫理委員会議事録

日時:平成17年6月24日(金)16:00~18:00
場所:弘済会館「葵中西会議室」
出席者:委員長:吉村 泰典
副委員長:田中 俊誠
委員:安達 知子、亀井 清、齊藤 英和、竹下 俊行、栃木 明人、平原 史樹、松岡幸一郎、宮崎亮一郎
幹事:阪埜 浩司、澤 倫太郎、久具 宏司

1, 議事録確認
平成17年度第1回倫理委員会議事録(案)につき、一部修正のうえ承認された。

2, 報告事項

(1) 5月分諸登録について
-1-ヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究に関する登録
申請2件〔審査 受理1件、返却1件〕:88施設
-2-体外受精・胚移植、およびGIFTの臨床実施に関する登録
申請6件〔審査 受理3件、照会2件、返却1件〕:648施設
-3-ヒト胚および卵の凍結保存と移植に関する登録
申請7件〔審査 受理3件、照会3件、返却1件〕:543施設
-4-パーコールを用いてのXY精子選別法の臨床実施に関する登録
機関誌46巻8号(平成6年8月)において登録一時中止以来なし、17施設
-5-顕微授精の臨床実施に関する登録
申請6件〔審査 受理3件、照会2件、返却1件〕:376施設
-6-非配偶者人工授精の臨床実施に関する登録
申請なし:22施設

(2) 会議開催
平成17年度第2回登録・調査小委員会を5月31日(火)に開催した。
齊藤委員「登録・調査小委員会において生殖補助医療の実施登録施設の登録申請にあたり留意すべき事項を再検討し、原案を作成した。その方向に沿って申請書類の書式も一部変更したので協議をお願いしたい。」
吉村委員長「一部改訂した主な部分は実施責任者および実施医師の要件の部分である。現行の規定では実施医師も産婦人科専門医でなければならず、研修医や若いレジデントがARTを実施できないような規定になっており、現実にそくしていない。産婦人科専門医である実施責任者の指導のもとで非専門医も実施できるようにわかりやすくした。また、ヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究に関する登録について本会として研究の実施状況を把握するために、毎年度末に研究成果報告書の提出を義務づけた。申請書については非医師協力者を実施協力者とした。」
安達委員「施設内倫理委員会については変更があるのか。」
阪埜幹事「施設内倫理委員会については特に変更はない。AIDと研究についての登録申請については施設内倫理委員会の承認が必須である。」
吉村委員長「最低限、研究とAIDについては施設内倫理委員会の承認は必要と考えている。」
安達委員「それならば、研究とAIDの登録申請書における施設内倫理委員会の有無の記載は意味がなく、倫理委員会でに承認の書類と委員名の書類の添付を義務づければよいのではないか。」
栃木委員「実施医師に問題があったり、変更があった場合はどうなっているのか。」
阪埜幹事「移動や変更は速やかに再提出をするようお願いしている。実施責任者のもとで実施医師がARTを実施する形がより明確となる。現在では実施責任者が非専門医の施設も多い。」
宮崎委員「登録施設で実施が0の場合も報告するのか。」
阪埜幹事「0報告も義務づけている。」
以上を経て、会員へのお知らせ案を承認した。
吉村委員長「会員へのお知らせ案のみを明日の理事会に諮りたい。申請書については再度修正したい。」
齊藤委員「さらに、登録・調査小委員会と生殖内分泌委員会において個表によるARTの登録の形式の原案をつくっている。その項目を現在検討しており、全国で700周期以上実施をしている施設にアンケート調査している。とくにARTで生まれた児の予後についても確認していきたい。」
吉村委員長「現状では、我が国においてARTの詳しいデータがないことが大変問題だ。正確なデータを集計するためには我が国のARTの大部分を占めるクリニックの協力が不可欠である。ARTで生まれた児のデータをとることはかなり難しいが、その方向で検討している。」
齊藤委員「多くのクリニックが参加してくれるかが問題だ。治療を実施した時と児が生まれるときのタイミングのずれが問題である。このハードルをのりこえるシステムをつくる必要がある。」
6月15日(水)に「着床前診断に関する審査小委員会」を開催し、同日、申請の2施設に対する答申書を受領した。

(3) 着床前診断の適応に関するワーキンググループについて
吉村委員長「資料2にあるようなメンバーで着床前診断の適応に関するワーキンググループを立ち上げたい。数回の審議ののち、本年度中には習慣流産も含め着床前診断の適応を改めて考えていただきたい。女性を多くしたい。」
安達委員「患者の会の代表も入れてはどうか。」
以上の議論をへて、非会員3名、女性3名を含む、計8名のワーキンググループ委員案を承認した。

(4) 2施設からの「着床前診断に関する臨床研究施設認可」申請に対する審査小委員会の答申について
吉村委員長「着床前診断に関する審査小委員会から答申書を受領した。」
阪埜幹事が答申書を朗読した。
栃木委員「重篤な疾患の定義はどのように考えているか。」
吉村委員長「昨年の倫理審議会の答申においても着床前診断を重篤な遺伝性疾患に限定する本会会告は妥当と判断された。さらに重篤な疾患を成人期までに日常生活を強く損なう症状が発現したり生存が危ぶまれる疾患と定義し、これを現時点の基準として審査した。また、小委員会はクライアント夫婦への遺伝カウンセリングの実施、施設の遺伝子解析技術の精度、施設内倫理委員会の審議経緯と承認について検討し、十分基準を満たしていると判定されたものである。」
平原委員「遺伝カウンセリングは臨床遺伝専門医により実施されたのか。」
吉村委員長「その通りである。」
平原委員「このような疾患の患者であるクライアントが妊娠すること自体のリスクはどう判断したのか。」
吉村委員長「その点も審議されたと記憶している。それも含めた体外受精・胚移植の同意がとられていると認識している。」
さらに慎重な審議の結果、申請された2例に対する小委員会の答申書における判断は妥当との結論に達した。本答申書の判断を次回の理事会の報告し、理事会の判断を諮ることとした。
松岡委員「この答申書は現時点での本会の重篤な疾患の定義や審査の基準が明記されており評価できる。是非情報公開という視点からも検討が必要だ。」
吉村委員長「情報公開は極めて重要と考えている。特に今回の申請には前回認められなかった疾患と同一の疾患が含まれており、本会が疾患ごとでなく症例ごとに審査されている点を明確に説明する必要がある。この答申書をそのまま公表してもよいのではないか。」
松岡委員「個人情報に関する記載については個人情報保護法の施行もあり、十分配慮が必要である。」
平原委員「申請された症例ならびに疾患の概要の部分は個人情報の保護の観点から公表できない部分が多い。」
吉村委員長「一部修正するか、個人情報に係わる部分を黒く塗りつぶすかしてはどうか。」
久具幹事「情報公開の姿勢からすれば原文を修正せず、個人情報を塗りつぶした方がよい。」
以上の議論を経て、倫理委員会としては個人情報を伏せた形でなるべく原文を記者会見で公表することも同時に明日の理事会に諮ることを決定した。
以上で第2回倫理委員会は終了となった。

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