公益社団法人 日本産科婦人科学会

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平成17年度第6回倫理委員会議事録

更新日時:2018年8月3日

平成17年度第6回倫理委員会議事録

日時:平成18年2月2日(木)18:00~20:00
場所:学会事務局 会議室
出席者:委員長:吉村泰典
副委員長:田中俊誠
委員:安達知子、稲葉憲之(代 北澤正文)、亀井 清、佐々木繁、白須和裕、竹下俊行、栃木明人、
平原史樹、松岡幸一郎
幹事:阪埜浩司、久具宏司

1. 議事録確認
平成17年度第5回倫理委員会議事録(案)につき、一部修正のうえ承認された。

2. 報告事項
(1) 1月分諸登録について
①ヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究に関する登録
申請2件〔審査 受理2件〕:57研究
②体外受精・胚移植、およびGIFTの臨床実施に関する登録
申請1件〔審査 照会1件〕:658施設
③ヒト胚および卵の凍結保存と移植に関する登録
申請1件〔審査 照会1件〕:558施設
④パーコールを用いてのXY精子選別法の臨床実施に関する登録
機関誌46巻8号(平成6年8月)において登録一時中止以来なし、17施設
⑤顕微授精の臨床実施に関する登録
申請6件〔審査 受理3件、照会3件〕:394施設
⑥非配偶者人工授精の臨床実施に関する登録
申請なし:22施設
(2) 会議開催
慶應義塾大学からの着床前診断に関する申請(7月21日受領)に対する審査小委員会を1月18日に開催した。

3. 協議事項
(1) 本会会告の改定案について
吉村委員長「委員会提案として、1月20日を締め切りとして機関誌、ホームページで本会会員に対して意見を募集した。現在まで名誉会員1名より非配偶者間人工授精に関する見解案についての意見を受領した。また、前回理事会においても生殖補助医療実施医療機関の登録と報告に関する見解案について意見が出されているので協議したい。」
久具幹事「特に理事会で指摘された点は、国外でのART研修歴の取り扱いである。現行の生殖補助医療実施医療機関の登録と報告に関する見解案では国外でのART研修歴と実施責任者の要件との関わりが一部不明であるとの指摘を受けた。」
田中副委員長「国外でのART研修を、研修歴としてカウントするべきか否かという議論である。不妊学会の生殖医療指導医資格では海外のARTは研修歴として認めていない。」
安達委員「国外でもARTを研修していれば、研修歴に加えてもよいのではないか。登録・調査小委員会で審査すればよいのではないか。」
松岡委員「本会の登録施設における研修に準ずるとして取り扱えばよいのではないか。」
久具幹事「海外のARTのみの研修で認めてよいのか。倫理観も全く異なる海外のARTのみの研修で、実施責任者になれるのは問題ではないか。」
白須委員「国外の研修を研修歴とすることができるかは倫理委員会で判断するように加筆修正すればよい。」
以上の議論ののち、本提案が承認された。
吉村委員長「名誉会員からの非配偶者間人工授精に関する見解案についての意見は極めて妥当である。きちんと書面にて解答させていただきたい。」
安達委員「私も名誉会員の意見に賛成だ。非配偶者間人工授精の適応の部分で、これ以外の方法で妊娠をはかった場合に母体や児に重大な危険が及ぶと判断される場合とはいかなる場合か不明確である。重症遺伝性疾患や血液型不適合妊娠なども含まれるように解釈できる。」
吉村委員長「現実的にはHIV感染のキャリアーを想定している。」
松岡委員「あまり具体的に記載しないほうがよい。近未来的に内容がすぐ変更するのは望ましくない。」
吉村委員長「今回の改定の最も重要な点は、AIDで凍結精子を使用するように明記した点である。」
竹下委員「理解しにくい見解である。」
松岡委員「安易に感染症にAIDを適応するとの誤解はかえって医療の現場を混乱させる。」
以上の議論の末、会告の改定案を一部修正のうえ次回理事会に提出することを承認した。

(2) 会員へのお知らせについて
吉村委員長「現在、登録・調査小委員会において本会登録施設の審査が毎月精力的に行われている。しかしながら、申請書類、とくに患者への説明文書、同意文書、施設の見取り図について不備が大変多く、書類提出における注意点をまとめた。これを会員のお知らせとして公表したい。」
松岡委員「内容としては、ごく当然のことである。」
吉村委員長「その当然のことがなされていないのも事実である。」
松岡委員「本会としての説明文書、同意文書の基本型を作成し、それを使用してもらうほうがよいのではないか。」
吉村委員長「その点については登録・調査小委員会で検討させて頂く。」
以上の説明ののち、本お知らせ案は次回常務理事会で諮ることが承認された。

(3) 習慣流産に対する着床前診断に関する見解(案)について
吉村委員長「着床前診断の適応に関するWGの答申をホームページ上で公開し広く意見を求めてきた。現在まで78件の意見を受領した。賛成が62件、反対が16件である。男女生み分けまで賛成するという意見が12件あった。技術的なご意見を参考に、WGの答申をもとに習慣流産に対する着床前診断に関する見解(案)という形にまとめ直した。非会員からの意見として適応という言葉は臨床研究にはそぐわないという意見があった。」
平原委員「染色体転座に起因する習慣流産を着床前診断の適応として審査の対象とするというのが正確な表現である。」
吉村委員長「現行の着床前診断の会告では適応と適用という二つの語が使用されている。」
松岡委員「いかなる形にせよ、マスコミに歪曲して報道されてしまうことが心配だ。」
吉村委員長「その点に関しては十分承知している。習慣流産のごくわずか、それも3-4%しか本法の適用にはならない。習慣流産に対する夢のような治療法として誤解されるような報道には気をつけたいし、マスコミには正しく報道していただけるように説明したい。」
竹下委員「実際にはごくわずかの症例しか適応にならないと思う。」
以上本件についてはさまざまな議論はあるものの、倫理委員会として習慣流産に対する着床前診断に関する見解(案)は一部修正の上、委員会提案として次回理事会にて協議されることとなった。

以上で第6回倫理委員会は終了となった。

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