日本産科婦人科学会会員 各位
平素より本会の運営に多大なるご支援を賜りまして、誠に有り難うございます。
重篤な遺伝性疾患を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-M)の施設認定に関して、会員の先生方へ改めて周知いたします。
日本産科婦人科学会は2022年に重篤性の定義を含めてPGT-Mに関する見解を改定しました。本会のPGT-M審査小委員会への申請件数は増加しており、新たな重篤性の定義にもとづいて症例審査の議論を行っています。現在、審査小委員会における課題として、ご申請いただくPGT-M認定施設に地域による偏在が大きいという状況があります。このことにより、PGT-Mを希望する方の通院負担や、さらに、近隣にPGT-M認定施設がないことが症例申請に至らない要因となっている事例もあると懸念しています。本会ではPGT-Mを希望する方にとって広くこの審査制度を利用できる体制が望ましいと考えております。
PGT-Mの実施に当たっては、遺伝カウンセリングの質を担保することが重要な要素となるため、施設に臨床遺伝専門医が常勤していることを人的要件としております。そうした中で臨床遺伝専門医によるPGT-Mに関する遺伝カウンセリングが可能であっても、体外受精・胚移植実施部門を持たない施設もあります。逆に、ART診療の実施を行っていても、比較的頻度が低いPGT-Mのために常勤の臨床遺伝専門医を確保することが困難なご施設もあると考えています。そうした場合、複数の施設間での連携した施設申請をいただくことで、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングとART診療の実施をお互いに補完し合い適切なPGT-Mの実施が可能であると考えております。複数施設が連携した形での施設認定申請では、主体は常勤の臨床遺伝専門医が配置されている施設となること、そして、ART施設と遺伝カウンセリング実施施設は1対1の連携での体制のみが許容されると考えています。つまり、1つの施設が、複数の施設との連携を組む形での施設認定は対象外とさせていただいておりますことをご留意ください。
PGT-M施設認定の基準についてご理解いただき、生殖医療施設と遺伝診療施設の連携も含め、施設申請をご検討いただけましたら幸甚です。
(添付資料)
「重篤な遺伝性疾患を対象として着床前遺伝学的検査(PGT-M)」に関する見解/細則
臨床倫理監理委員会
委員長 鈴木 直
重篤な遺伝性疾患を対象とした着床前遺伝学的検査に関する審査小委員会
委員長 三浦清徳