公益社団法人 日本産科婦人科学会
理事長 木村 正
臨床倫理監理委員会 委員長 三上幹男
同 副委員長 鈴木 直
同幹事 佐藤健二
平素より本会の運営に多大なるご支援を賜りまして、誠に有難うございます。
東京都福祉保健局より、厚生労働省の「小児・AYA 世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業」の対象とならない未受精卵子の凍結・保存(病気そのものにより妊孕性が低下する女性に対して行う卵子凍結と健康な女性に対して行う卵子凍結のこと。本調査では、これらを合わせて「社会的適応の卵子凍結」と呼びます。)に対する支援として、「社会的適応の卵子凍結への支援に向けた調査」及び「凍結卵子を活用した生殖補助医療助成事業」を今年度に実施する予定であり、各医療機関における卵子凍結に係る診療等の状況を把握するために、令和5年5月末時点で東京都における生殖補助医療を実施する機関として日本産科婦人科学会に登録がある医療機関を対象に、調査を依頼する、との通知がありました。
上記の下線部分に関しまして、ターナー症候群など疾患自体により卵巣の機能が低下する場合の卵子凍結と、健康ではあるが加齢による妊孕性の低下を危惧して行う卵子凍結は全く別次元の内容であり、この2者を「社会的適応の卵子凍結」と定義することは誤解を招く可能性があることから、これらの卵子凍結を明確に区別していただくように申し入れを東京都に行いました。(2023年6月7日 掲載ページ東京都からのノンメディカル卵子凍結に関する状況調査の依頼について)
これに対し東京都より回答がありましたが、本会よりの申し入れは「アンケート調査に対してではなく、社会的適応、という言葉を使って、疾患により卵巣機能低下が高率に起こる場合の卵子凍結、と健康な人が加齢による卵巣機能低下を恐れて自ら行う卵子凍結、という全く異なるカテゴリーを一緒に扱おうとされたことに対して」ということを確認する文書を送り、記者会見でも公表することを連絡いたしました。