公益社団法人 日本産科婦人科学会

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平成21年度第1回倫理委員会議事録

更新日時:2018年8月2日

平成21年度第1回倫理委員会議事録

日 時:平成21年6月5日(金)午後6時~8時
場 所:日本産科婦人科学会事務局「会議室」
出席者;倫理委員長:嘉村 敏治
           副委員長:久具 宏司
           委 員:大川 玲子、榊原 秀也、澤 倫太郎、杉浦 真弓、竹下 俊行、阪埜 浩司、平原 史樹、
堀 大蔵、矢野 哲、山中美智子、渡部 洋

 

嘉村敏治委員長より挨拶があり、委員会が開催された。
   1. 平成21~22年度倫理委員会について【資料1】
   資料1.により倫理委員会構成メンバーの紹介があり、自己紹介を行った。

   2. 本会の見解に基づく諸登録(平成21年5月31日日現在)
   ①ヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究に関する登録:45研究
   ②体外受精・胚移植の臨床実施に関する登録:617施設
   ③ヒト胚および卵子の凍結保存と移植に関する登録:617施設
   ④顕微授精に関する登録:496施設
   ⑤非配偶者間人工授精に関する登録:16施設
   登録調査小委員会の斉藤委員長が欠席のため、久具宏司副委員長より資料12により報告があった。新規登録施設は資料のように毎年減少しており今年1月から5月まででは5件であった。毎月の登録審査も厳正に行われていることが報告された。
   ARTオンライン登録状況について、2007年度分は分娩も終わり登録は終了していると思われる。2008年度分は492施設167,553件であった。体外受精を止めた施設もあり、済んでいないのは20~30施設で、登録は順調に進んでいるとの報告があった。
   ヒト精子、卵子、受精卵を取り扱う研究は52件登録されており、研究成果報告書の提出は49件で、未報告の3件については6月30日までに報告するように通知した。
   今年の初めに登録病院が閉院となって、凍結胚の取り扱いが問題となった。そこで、新しく登録する施設には突然閉院になった場合の凍結胚の取り扱いについても申請の中に入れるように指示している。
   嘉村敏治委員長:閉院になった場合の凍結卵の取り扱いについて、何か決められたものがあるのか、また、理事会に報告したことがあるか。
   久具宏司副委員長:定められた取り扱い方はない、各施設で適切と考えられる方法を考えて欲しいというのが実状。一律に学会で決めがたいところがある。いずれ、統一した方法を考える必要があると思う。

   3.着床前診断に関する臨床研究申請・認可について【資料2】
   着床前診断診査小委員会報告を平原史樹委員長より資料2により行われた。
   日産婦の習慣流産の条件に当てはまるものは無条件で認可とした。審査の結果、11例が認可、条件付認可3例、審査対象外1例、保留2例であった。保留となった2例は着床前診断ワーキンググループで審議することとした。また、再審査分では2例を認可、1例は審査対象外とした。
   条件付認可の3例は慶應義塾大学で申請書に誤字があり、また、染色体転座に起因する着床前診断の精度が記載された申請書とするよう指示した。
   保留の1例は1回が自然流産で、その後2回は羊水検査が行われ、染色体転座に関与する染色体異常が認められ、人工妊娠中絶術が行われている。羊水検査ができる週数まで妊娠継続できていることから、着床前診断の適応である極めて重篤な例に該当するかどうかが問題となったため、保留とした。
   2例目は1回目の妊娠が4p-症候群でその染色体検査の結果から両親のどちらかに染色体の転座が推定された。2回目の妊娠は自然流産に終わり、流産物の染色体検査からは親の転座とは直接関連性のない異常を認めた。
   この2例は学会が対象とした習慣性流産には該当しないということで保留とし、今後ワーキンググループにて検討していただくことにした。
   対象外の1例は初回の妊娠時に臍帯ヘルニアを認め、羊水検査で18トリソミーを認め人工妊娠中絶を行った。児の染色体検査から染色体転座保因が推定され、夫婦のいずれかに染色体転座があることが判明した。本例は習慣流産でもなく、学会の適応に該当しないということで対象外とした。
   再審査で対象外となった1例は申請書に1回の子宮外妊娠、2回の自然流産とあったが、内容確認したところ、1回目は子宮外妊娠で2回目が自然流産と判明した。1回目は均衡型転座であり審査対象外であることが妥当とした。
   嘉村敏治委員長:習慣流産の適応には当てはまらないがどうにかしてあげたいとするグレーゾーンがあるようだが、その保留とした症例についてはワーキンググループでディスカッションしていただくということでよろしいか
   平原史樹委員:このような保留という表現がいいのかどうか
   久具宏司副委員長:今までは保留というのはなく、見解に合致しないものは審査対象外とした。ワーキンググループに議論をお願いするよという意味では良いかもしれない。しかし、当該施設が保留という回答を受け取ったときに患者さんにどのように説明するのか、保留だから待たせるのか、その辺が気になる。ワーキンググループでは早期の結論を出す必要も出てくる。
   平原史樹委員:審査対象外と冷たく判断する方が施設の受ける印象は悪いのではないか、保留として学会も何らかの検討をしているというメッセージを出す意味ではこのような表現でも良いのではないか。
   久具宏司副委員長;保留の症例は答申でワーキンググループにおいて検討することを付託するとしているが、検討しても認められるとは限らないし、期待させてしまうだけではないか。
   竹下俊行委員;保留ではなく<審査対象外とする>として、但しこの症例についてはワーキンググループで検討させていただきますと付記すればいいのではないか。保留とすれば、いずれ認可されると期待される可能性がある。
   嘉村敏治委員長:現在の見解に照らし、審査対象外とする。ただしワーキンググループで検討するという付記をする。でよろしいか
   審査対象外となったものはどのように対応されているのか、
   杉浦委員:審査対象外とはどのような意味か。1例ごとに審査するという見解があるのだから、対象外というのはおかしい。
   久具宏司副委員長:今までの結論としては審査対象外、非承認というのもあった。その違いは見解に基づいており、61巻1号倫理見解の146ページにあるよう染色体転座に起因する習慣流産を着床前審査の対象にすると書いてある。この文言に当てはまらないものは審査対象とならないので、審査対象外としていた。今回の症例は小委員会の委員長の考えにもよるが、対象にも当てはまらないものと考えるか、対象に入れるかどうかがグレーだから非承認のうえ、ワーキンググループで検討するとするかのどちらかだと思う
   嘉村敏治委員長:審査したうえで審査対象外となったものをどう表現するか、審査対象外といえば門前払いのようなニュアンスになる。
   久具宏司副委員長:審査対象外といえば最初から審査しないというニュアンスにとられかねないが、審査したうえで日産婦が決めている対象外と判断したものであり、答申書には書いてあるのでわかっていただけるものと思う。
   竹下俊行委員:現行の日産婦のルールからした解釈上、厳密にいえば審査対象外である。対象外となっているものがワーキンググループでの検討で認可となれば日産婦の最初のルールを変える必要があるが、その時は見解を作り替える必要がある。
   久具宏司副委員長:ワーキンググループに託されている仕事はこの見解を変えるところまでやるのかどうかである。
   澤倫太郎委員;適応となるグレーゾーンを判断のために一例一例を積み重ねていくことが本会の態度ではないかと思われる。門前払いするのではなく症例をプールしている姿勢を示す必要がある
   平原史樹委員:門前払いはしないで議論しましょうというコンセンサスは小委員会で全員一致している。
   嘉村敏治委員長:「審査しましたが対象外ですから現段階では認可できません」であろうか。
   久具宏司副委員長:ただし今後の検討課題とさせていただく。を付記すればよいのではないか
   竹下俊行委員:今の日産婦の見解からすると、対象外は対象外なのです。対象外と書いて、ただし、付記して対象外の理由を伝えるのが一番わかりやすい。
   山中美智子委員:第1子が4p-症候群でその後の妊娠が自然流産に至った症例は、習慣流産ではないが重篤な遺伝性疾患と思われるが対象外か。
   久具宏司副委員長:遺伝性疾患であるから遺伝的に繰り返し起こる可能性があるものとされるのでは。
   山中美智子委員:4p-症候群は重篤で、親の染色体転座に由来するものであれば繰り返す可能性はあるといえる。
   久具宏司副委員長;遺伝性疾患で問題になるのはその重篤性である。成人になるまでに生活が制限されるかどうかなどが総合的判断される。
   山中美智子委員:筋強直性ジストロフィーは重篤な遺伝性疾患と認められているので、同じものと思われるが。
   久具宏司副委員長:家系の発症状況などを記載してもらい、遺伝性の評価を行い認可してはどうか。
   嘉村敏治委員長;申請施設へのご返事としては今の日産婦の見解に適合しないものは対象外としたうえで、内容についてはワーキンググループで個々に検討することを付記するとして理事会に提出する。

   4.着床前診断に関するワーキンググループについて【資料3】
   竹下ワーキンググループ委員長から資料3により説明があった。
   最近、グレーゾーンの症例が多数申請されるようになった。たとえば、反復流産の1回が外妊であり、外妊の妊卵の染色体検査を行ったら、どちらかの親に転座が判明したとか、1回の流産での染色体検査で転座が判明したなどさまざまな問題が出ている。そこで、最終的には見解の見直しを含む検討を行っていかなければならない。
   審査対象については、結論が出なくて継続審議となったが、何回行っても同じ議論の繰り返しになる可能性がある。そこで、学問的な裏付けとなるデータの集積、解析するような臨床研究を行うことにした。具体的には出生前診断を実施した症例の結果について、とれた受精卵の核型など詳細に報告してもらい、データを集積し、解析を行っていく予定である。審査の簡略化については、現在、ほとんどが習慣流産の症例で、審査の資料が膨大となり、審査が煩雑となっている。そこでもう少し書式を簡略化できないかと検討している。
   嘉村敏治委員長;その方向で検討を進めて欲しい。

   5.「臨床遺伝専門医」ならびに「生殖医療に関する遺伝カウンセリング受入可能な臨床遺伝専門医」について【資料4】
   平原史樹委員より資料の4の説明があった。
   産婦人科専門医で臨床遺伝専門医の資格を持つ医師が150名おり、その中で生殖医療の相談に対して受け入れ可能な医師105名の名前が日産婦のホームページに掲載されている。着床前診断にあたっては第3者の臨床遺伝専門医の相談を受けることとガイドラインに書かれているので専門医の相談にはホームページを参考にして欲しい。問題点は5年ごとの更新となっているが、明確な更新手続きの方法が決まっていない。日産婦としても生殖医療に関わる講習会などを開催していく必要がある。
   4月に臨床遺伝専門医連絡会を開いた。その席上で、出生前診断の倫理指針について、藤本北海道大学名誉教授から、マーカーテスト、羊水検査は1988年のガイドラインから改訂されていないので、再検討すべきであるとの指摘があったことなどが報告された。
   嘉村敏治委員長:日産婦のホームページは名前だけで施設名は載っていないのか
   平原史樹委員;同じ情報が産婦人科医会に載っており、医会のホームページには県別、勤務施設名まで載っている。
   嘉村敏治委員長:一般の人もアクセスできるのか。
   平原史樹委員:一般の人も閲覧できるところにある。しかし、この表だけでは不親切であるので、学会のこのページを開けたら産婦人科医会の詳細なページへリンクできるようになっている。
   当分の間、この委員会の実務は平原史樹委員が行うことで同意した。

   6.諏訪マタニティークリニック 根津医師「代理出産後の特別養子縁組」について【資料5】
   資料5の特別養子縁組の新聞報道について久具宏司副委員長から説明があった。根津先生のところで行われた症例で、お婆ちゃんが代理母になったケースである。この出生児が娘夫婦と特別養子縁組を行い、戸籍上実子と同様に取り扱われるようになった。このような特別養子縁組を行うと、元の親子関係は絶たれることになる。代理出産した子供がどのような親子関係になるかは今まで議論が多いところであった。このケースのように、一旦分娩した人を母親とし、その後、特別養子縁組にて解決を図るという方法がとられた。このことは子供にとっては非常に良い決着を得たと思われる。海外でもこのような解決を図る国が多くなっている。ただ、フランスだけは特別養子縁組は認めていないようである。
   嘉村敏治委員長:子供にとっては良い解決法になったということと考えられる。

   7.FIGO倫理委員会ガイドラインについて【資料6・7】
   嘉村敏治委員長から資料6,7の説明があった。
   日産婦の渉外宛にFIGOから生殖内分泌に関してのガイドラインを作ったので検討して欲しいとの依頼があった。そこで、生殖・内分泌委員会に検討を依頼した。資料7のように自治医大の柴原先生より返事を頂き、family planningに関しては問題ないが、不妊治療施設において、婚姻関係、性の方向性などに対して分け隔てなく生殖補助医療の要請があれば治療しなければならないと記載されている。このところが日産婦の会告と整合してないので検討を要するとの返事を得た。
   久具宏司副委員長:日産婦では、61巻1号103ページの見解集の体外受精・胚移植に関する見解の4に書かれているように、法律婚で結婚している人を対象にすることを決めている。ところが、生殖医学会は事実婚でも良いという見解を出している。このように日産婦と、生殖医学会との間に見解の相違がある。2、3年前の見解の見直しの時に婚姻関係で縛るのは適切かどうかが問題となった。しかし、日本では非嫡出子と嫡出子には法的には差がある。事実婚の人が子供を作ることは問題ないが子供の福祉を考えたとき婦人科医が手を貸すのは如何なものかという議論があって生殖医学会とは違って、日産婦は法律婚に限るとした。
   大川玲子委員:吉村理事長が倫理委員長の時に事実婚も可能としたと思っていた。
   久具宏司副委員長:それは決まっていない。
   澤倫太郎委員:その時は事実婚の場合を断るわけではないが、好ましいものではないというニュアンスのものを出した。必ずしも法律婚でなければならないとしたものではない。両会の齟齬を埋めるような文章は出した。
   阪埜委員:以前の見解では戸籍抄本を確認することになっていたが、見解の改正時にこの項目は削除された。現状では、夫婦と主張すれば法律婚か、事実婚かを正確に確認することはできなくなっている。しかし、見解の婚姻とは法律婚を指すもので、学会の立場としては法律婚が望ましい。
   嘉村敏治委員長:FIGOのガイドラインのRecommendationの部分に書かれているのでガイドラインのように強いものではない。その点については各国の事情で対応するということで、内容を否定するものではない。このままでよいということで渉外から返事していただく。

   8.臓器移植法改正案について【資料8・9・10】
   澤倫太郎委員から資料8,9,10について説明があった。
   澤倫太郎委員:突然、医学会からアンケート調査が送付されてきて、臓器移植法改正案についてA案を採択したいが産婦人科学会はどのように考えるかという内容の書簡が執行部あてにあった。その場ではすぐには答えられないと返答したまた、その後おこなわれた常務理事会で倫理委員長で検討する必要があるとの結論にいたり本委員会での検討事項となった経緯がある。
   A案に関しては、脳死を一律人の死としてよいのかどうか?という議論とは別に、ドナー年齢制限の撤廃、すなわち臓器ドナーの年齢が0歳でも、親の同意があれば移植ドナーになる可能性があるという点が問題だ。小児科学会では小児の脳死について、まだ定まった見解があるわけではなく、虐待死の幼児がドナーになるリスクがあるとして慎重な姿勢を保っている。また我々周産期の医師から見れば、子宮内での脳血流はドップラ超音波検査によってある程度正確に把握できるので「胎児の脳死」は比較的容易に判断し得る。1999年に我々日本医大の周産期研究グループが「Fetal brain death and Dandy-Walker malformation」という論文を「Prenatal Diagnosis」に報告した。つまり子宮内において胎盤は生存維持装置であるため、子宮内で生存しているうちから胎児がドナーとなり得る可能性は推測し得るということだ。最もわかりやすい例は無脳症である。無脳症は脳欠損以外、多臓器の発育は問題ないため、米国でも心臓ドナーとして使用されてきた。日本においても心臓死した無脳児の腎臓を移植して生着成功例が報告されている。現在は生着率が悪く無脳症がドナーとされる例は減ってきてはいるが、有力な臓器ドナーであることは変わりわない。さらに我々が考えなくてはならないのは、何週の出生から0歳児といえるのか?ということだ。刑法上では2つの論説があり、母体依存からの独立の視点からおそらく妊娠28週当たりとする説と妊娠中絶のできない週数24週の分娩をもって出生とする説がある。しかしこれら若い週数の早産児をドナーとした場合、細胞の未熟性うらをかえせば細胞の万能性という意味から、古典的な臓器移植ではなくて神経細胞の移植や造血幹細胞の移植といった再生医療に近い移植医療のドナーとなり得る点を、我々は生命倫理上の重要な問題として今一度考えなければならないのではないか?このような視点に立てば日産婦学会は答えを出していない数少ない学会であるが、答えを出さないことも大切な意見とはいえないだろうか?今後衆議院でどうなるかわからないがA案かD案のどちらかに決まることは、国会の中でコンセンサスが得られているようだ。問題は参議院でどこまで深く議論ができるのか?だろう。
   嘉村敏治委員長;A案からD案までどれも満足のいくものではないように思われる。
   久具宏司副委員長:何歳か、誰が同意するのか、拒否するのか、死をどう定義するのかで何通りもの組み合わせができるはずである。しかし、この4つの案でその中から決めなさいというのもおかしい。A案で、一番の問題は脳死を一律に人の死とするところである。
   澤倫太郎委員:困っているレシピエント側の方の声がメディアに出てくることもわかるが、ドナー側の声がなかなか聞こえてこない。本会としてはドナー側に立つ性格から、さまざまな問題があり、すぐにはOKとならない。
   久具宏司副委員長: A案になると移植以外でも脳死はすべて人の死ということになり、死の定義を法律で決めることになる。今の時点で決める必要はないと考える。
   澤倫太郎委員:医師会もこの問題について、いまのところ結論を出していない。医学会は小児科学会の意見、移植学会の意見を聞かなければいけないが、最終的には慎重論にならざるをえないだろう。
   嘉村敏治委員長;WHOが海外渡航による移植を制限するということから急いでいるのか。
   澤倫太郎委員:国際移植学会のイスタンブール宣言もWHOもいわゆる移植売買にからんだ移植ツーリズムを禁止する方向だ。ただだからといって拙速な返答を求められてもなかなかそう簡単に解答がみつからない。。ここで挙がった問題が明らかにならない限り答えを出すべきでない。
   嘉村敏治委員長:本会として、返事しなかったという立場は変わらない。
   竹下俊行委員:新生児を含めると、この問題はは別の議論になるのではないか。
   澤倫太郎委員:新生児医療のメンタリティ、移植医療のメンタリティ、我々のメンタリティが違うので一律に答えが出ない可能性がある。
   嘉村敏治委員長:倫理委員会で検討したが、学会としての態度は保留とする。
   その理由としては
      1.  脳死を一律に人の死とすることの問題
      2. 対象が未熟児、新生児となるとそれを直ぐに移植のドナーと認めるた めの議論が深まっていない
   このようなことから、今後も継続審議するということでよろしいか。
   澤倫太郎委員; 新生児の修正13週とは週齢ということか。
   山中美智子委員;早産未熟児で生まれた新生児の修正週齢のことではないか。この臓器移植法改正案では胎児期には触れていない。もし、胎児期から異常が分かって生まれてきた場合には、違う問題が発生してくる。また、新生児の脳死が規定されていない状態で、周産期が絡んでくるといろんな問題を生じてくる可能性がある。
   澤倫太郎委員:小児特に未熟児の脳死については議論されていない。
   嘉村敏治委員長:理事長名で医学会に再度保留と言うことで返事をするということでよろしいか。
      特に異議なく承認された。

   9.「出生前診断の適応に関する諮問ワーキンググループ」設置について【資料13】
   平原史樹委員より資料13の出生前診断の適応に関する諮問ワーキンググループ部会についての説明があった。
   嘉村敏治委員長:出生前診断の適応について検討することは日産婦の見解の改訂も必要かどうかにもなってくる。ワーキング部会を作るかどうか理事会に諮って、認められれば部会長を理事長、倫理委員長と話して決めて頂き、関連学会の代表で部会を作ってその報告を倫理委員会に諮る。そして、理事会に報告するようになる。それでよろしいか。
   異議なく承認された。

   10.その他【資料11】
   関連新聞記事については参考にして各自で読んでいただきたい。
   1)リスクマネージメント小委員会について(生殖・内分泌委員会のなかに)久具宏司副委員長より説明があった。
      香川県立病院の受精卵とり違い事故を受けて、日産婦でも何か対策を考えないといけないということから生殖内分泌委員会の中に生殖医療に関するリスクマネージメント小委員会(委員長;苛原先生)を作り、この会の直前に会議を行った。
   61巻1号倫理見解100ページの登録と報告に関する見解にくっつけて安全管理に関して留意項目を作るべきではないかいうことで叩き台を作った。この方向で見解を見直すことになるので倫理委員会に提案したい。見解改訂にはワーキンググループを立ち上げるべきであるが障害がなければこの小委員会で見解の改訂にあたりたいとの趣旨説明があった。
   嘉村敏治委員長;理事会で認めて頂けばよろしいのですね。
   久具宏司副委員長:認めて頂ければ年末までに準備できると思われる。
   阪埜浩司委員:安全管理に関する留意について、見解を改正するには総会承認が必要になる。この倫理委員会で承認された後、12月の理事会で承認を得たうえで一定期間会員にさらす必要がある。その後に総会に諮る必要がある。
   嘉村敏治委員長;報道からの問い合わせもあり早く作って欲しい。
   この件に関して異議なく承認された。
   これですべての議題が終了し、嘉村倫理委員長の閉会挨拶が述べられた。

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