公益社団法人 日本産科婦人科学会

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平成22年度第2回倫理委員会議事録

更新日時:2018年8月2日

平成22年度第2回倫理委員会議事録

日 時:平成22年11月22日(月)午後6時30分~8時30分
場 所:日本産科婦人科学会事務局「会議室」
出席者:敬称略
   [委員長];嘉村 敏治
   [副委員長];久具 宏司
   [委 員]:安達 知子、石原 理、大川 玲子、榊原 秀也、澤 倫太郎、杉浦 真弓、津田 尚武、
平原 史樹、山中 美智子

開会

会の冒頭、嘉村委員長より開会の挨拶があり、委員会が開始された。
平成22年度第1回倫理委員会議事録(案)について、会議終了までに特に意義の申し出がなく、議事録は承認された。[資料1]

1. 登録関係報告
(1)本会の見解に基づく諸登録(平成22年10月31日)[資料2、14]

   ①ヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究に関する登録:46研究
   ②体外受精・胚移植の臨床実施に関する登録:588施設
   ③ヒト胚および卵子の凍結保存と移植に関する登録:588施設
   ④顕微授精に関する登録:501施設
   ⑤非配偶者間人工授精に関する登録:16施設

   以上諸登録に関して嘉村委員長より報告された。
   一同異議なく承認された。

(2)着床前診断に関する臨床研究申請・認可について【資料3】
   申請件数:207例[承認186例、非承認4例、審査対象外15例、取り下げ1例、照会中1例](承認186例のうち7例は条件付)

以上着床前診断に関する臨床研究申請・認可に関して平原委員より報告された。
一同異議なく承認された。

(3)着床前診断の実施報告のまとめ(平原委員)

   平原 史樹委員:平成22年10月5日に開催された第2回着床前診断審査小委員会報告を資料3にまとめた。今回新規症例申請24例の中で、慶応義塾大学よりの申請症例でピルビン酸脱水素酵素複合体欠損症(PDHC欠損症)の症例申請がはじめてあった。提出書類で表紙と内容に不一致が認められたため、保留としている。他の申請症例は全て承認とした。
   平成22年10月20日から11月5日に第3回着床前診断審査小委員会の通信会議を開催した。そのなかで、加藤レディスクリニックからの症例の再申請があった。以前染色体均衡型転座による習慣流産とは異なるとの判定で審査対象外とされたが議論に付すとなっていた症例で、今回6月改訂の「重篤な遺伝性疾患を生じうる染色体構造異常」を適応としたカテゴリーに該当すると考えられる4症例の再申請であった。協議の結果、今回はすべて承認・適応となった。本日の倫理委員会で認可を得た後に、理事会に提出する予定である。
      また最近、着床前診断の新規申請症例が膨大となり、その審査資料作成の労力も大変なものとなっている。
   着床前診断の実施報告のまとめに関して、現在までに申請のあった症例のデータファイリングを行い、各申請症例にIDを付記して集計作業に入っている。これら実施症例のアウトカムに関して、どの段階の内容を公表していくのか検討する必要がある。
   嘉村 敏治委員長:少なくとも妊娠率、生児獲得率に関しては公表する必要があると思われる。
   平原 史樹委員:平成22年7月4日に開催した「生殖医療に関する遺伝カウンセリング受入れ可能な臨床遺伝専門医」認定講習会でも参加者から着床前診断のアウトカムの結果を公表してほしいという声が多かった。特にどのような症例が認可・適応とされたのかに関して知りたいという希望が多かった。当委員会としても、アウトカムのデータの中でどの点まで公表すべきかを検討する必要がある。染色体の均衡型転座のパターンを細かく報告する必要があるか?Duchenne型筋ジストロフィー症例数や、染色体の均衡型転座の症例数を出す事は良いのではと思う。当然、これら症例の個人情報は除外して公表していくことが必要である。昔はこの倫理委員会の着床前診断の審査議事録は日産婦のホームページ上で公表していたが、申請症例の個人情報の点で問題となり、4-5年前に公表を取りやめた経緯がある。日産婦の総会では具体的な症例情報が代議員への総会資料として配布されている。着床前診断の申請施設名は特定せずに疾患名、症例数、妊娠のアウトカムは公表して良いのではと思われる。
   杉浦 真弓委員:人類遺伝の先生は患者をどこに紹介したらよいのかが分からないと言っている。
   久具 宏司副委員長:過去に着床前診断を認可された施設名は社会に公表してよいのではと思われる。実際に施設名は記者会見のときにメディアに公表はしてきているので問題はないと思われる。実施された疾患名については日産婦の会員専用ホームページでの公表として良いのでは。
   嘉村 敏治委員長:これらの公表内容をどこまで行うのかは常務理事会での検討項目とする。また着床前診断の承認を得て実施したが妊娠に結びつかなかった症例で、着床前診断を再申請することがあるのか。
   平原 史樹委員:そのような症例も認め始めている。
   杉浦 真弓委員:実際に採卵ができなかった場合も、それを実施1例とカウントする必要があるとおもわれるが、ART施行者の中には着床前診断を診断できてそれを分母として報告していることもある。つまり採卵できなかった場合は除外してカウントしていることもある。
   平原 史樹委員:採卵できなかった、着床前診断が出来なかったら報告しない施設もある。一方、着手したがうまくいかなかったと報告する施設もある。 つまり0報告でもやらなくて0なのか、施行して0であったのかが定かでない。
   杉浦 真弓委員:ARTでの報告は採卵当たりの成功率何%としてあることが多い。やはり着手したかのデータであるべきと思う。
   安達 知子委員:今回の着床前診断実施報告のデータでは採卵当たりのデータか、診断当たりのデータかが不明である。
   石原 理委員:他の点では着床前診断の申請に関して、項目中に診断時年齢とあるが、実際にはあくまで採卵時の年齢が大切である。
   久具 宏司副委員長:「着床前診断」に関する見解本文の変更より、様式の中をマイナーチェンジしていくことは可能である。注釈をつければ良いと思われる。
   嘉村 敏治委員長:様式のマイナーチェンジは着床前診断審査小委員会で検討していただくこととする。

他に異議なく、着床前診断のアウトカムの公表内容をどこまで行うかは、常務理事会での検討項目とすることで承認された。着床前診断の申請様式のマイナーチェンジは着床前診断審査小委員会で検討することで承認された。

2. 「非配偶者間人工授精に関する登録」申請について(久具副委員長)【資料4】

   久具 宏司副委員長:登録審査小委員会からの案件である。非配偶者間人工受精の新規申請が扇町レディースクリニックより1例あった。非配偶者間人工受精の施設認可は資料14(p1849)の施設のみが登録されている。しかし何年も申請実施は行われていない。数年前に申請は1例あったが、却下された経緯がある。子供の出自を知る権利を行使しつつある現在、今後、非配偶者間人工受精の実施施設を広げるのは如何かとの意見が当時あった。新たに個人クリニックで、公的病院でなく、また認定施設以外で認めるのは如何か。実際、精子提供者をどのように選定するのか、記録をどの程度保管するのかといった問題もある。
   石原 理委員:前回は個別対応して取り下げとなったと記憶している。
   久具 宏司副委員長:生まれた子供が出自を知る権利があるため、関連資料を何年間保管するのかという問題が必ず出てくる。60年位必要でないかとの意見もあった。
   澤 倫太郎委員:この問題は様々な問題が絡んでおり、運営上は今回の申請を凍結したほうがよいのではと思われる。
   平原 史樹委員:平成14年の生殖補助医療部会では、提供配偶子の場合、出自を知る権利をうたわれて否定されていることが続いている。
   久具 宏司副委員長:産婦人科に関連する学会のみでなく別の場でもしっかりとルール作りがなされないといけないのでは。
   石原 理委員:子供の法的な地位が決まらない限り動けないと思われる。
   嘉村 敏治委員長:この申請症例を承認することは、非配偶者間人工受精を学会として認める方向性ととられかねない。
   石原 理委員:以前からすると登録を取り下げた施設がかなりあった。実は子供の出自を知る権利のみではなく、親から子へのtellingをどうするかという問題がその前に考えないといけない問題である。
   久具 宏司副委員長:学術会議では卵子提供に関しての親子関係をどうするのかを議論している。卵子提供の枠組みは作られていない。学会としては厚生労働審議会で配偶子提供については認めるとなり、その後、厚労省からそのような結論が出たが、何も枠組みは決まっていない為、非配偶者間人工授精以外は控えておくようにとの通達が2004年にでている。それ以降は何も議論が進んでいない。学会としてはその通達を守っている状況である。つまり、非配偶者間人工授精は枠組みがあるため施行して良いこととなっているが、当時は子供の出自に関しての議論は今ほどなされていなかった。
   石原 理委員:やはり現時点ではペンディングしかないと思われる。
   杉浦 真弓委員:技術的な問題は簡便であると思われるが、倫理的な問題は卵子の問題となんら変わりない。その為控えていただくほうがよいと思われる。
   久具 宏司副委員長:本会では、十分議論の結果ペンディングが妥当と判断される。最近は子供の出自を知る権利が大きくクローズアップされており、既に行われている非配偶者間人工受精に関しても見直す議論をする必要があると思われる。それを踏まえて本申請症例はペンディングと思われる。これを常務理事会に提出することとする。
   嘉村 敏治委員長:了解した。

他に異議なく、扇町レディースクリニックからの非配偶者間人工受精の新規申請はペンディングとすることとし、常務理事会に提出することで承認された。

3. 「ARTオンライン登録」に関する問い合わせ(久具副委員長) [資料5]

   椎名レディースクリニックより資料5の問い合わせあり。
   久具 宏司副委員長:本件には以下のような内容で回答することとする。
   ①一般不妊治療は含まれない。
   ②記録とは、見解集では妊娠して生児を得た不妊治療に関する記録のことである。児のアウトカムを知る上で必要な情報という意味である。決してカルテの1ページ1ページを残さなければいけないというわけではない。ARTで生まれた長期予後を見るために必要な情報のことである。
   ③カルテの保存期間は医師法でいわれる5年間保存といった観点ではない。児の長期予後のアウトカムが分かる資料を残す期間のことである。論点が異なる。
   安達 知子委員:何をどこまで残すべきなのかは、委員会が具体的に指示していく必要があるのかも知れない。
   久具 宏司副委員長:情報を保存しなければいけない理由は、出生した児の長期予後を見るために必要であるということである。その観点から、その期間に関してはご自身で判断していただきたいと回答することとする。

一同異議なく承認された。

4. 「着床前診断に関する臨床研究個別症例申請書(様式 案)」、「申請書チェックリスト」について(平原委員) 【資料6】

   榊原 秀也委員:着床前診断に関する細則の中で臨床研究個別症例申請書に関して、実は正式な様式を決めていなかった。よって現在は申請施設が自由に作成して申請していただいている。申請例数が増えてくると、内容がバラバラとなり、まとめるのが困難となっている。今回「着床前診断に関する臨床研究個別症例申請書」とそのチェックリストを新たに作成した。御検討願いたい。
   石原 理委員:資料6の内容を電子媒体として載せるのが良いと思われる。実務者がやりやすくしていただいてよいと思われる。
   平原 史樹委員:別の課題として、着床前診断に関する臨床研究施設認可申請書の様式1が毎回膨大の資料となっている。むしろ、申請施設の変更事項が発生したときのみ様式1を内容変更の上、再提出していただく内規が良いのではと思われる。また、理事会に提出する資料も膨大となっており、その認可承認を得る過程にも時間が費やされすぎている。
   杉浦 真弓委員:着床前診断の申請に関して、習慣流産のパターン化されたものまで理事会の了承が必要とされているのは、承認までの待期時間が長くなっている原因では。
   久具 宏司副委員長:今後申請資料の簡略化が必要である。理事会での承認なく着床前診断申請を倫理委員会で承認できるかを理事会で提案、検討していただくことが良いと思われる。来年度からはそのような運用が望ましい。
   安達 知子委員:臨床研究施設認可申請書は3年に一度ぐらいは提出していただくのがよいと思われる。
   平原 史樹委員:施設に関してはそう思われる。ARTと同様である。
   嘉村 敏治委員長:今回の様式案は個別症例申請の要約版として問題ないと思われる。理事会で報告することとする。

一同異議なく、着床前診断に関する臨床研究個別症例申請書(様式 案)は承認され、理事会へ報告することとなった。また、理事会の承認なく着床前診断申請を倫理委員会で承認できるかに関しては、理事会での検討事項とすることで承認された。

5. 「重篤な遺伝性疾患に関する慶応大学への回答」について(平原委員)[資料7]

   平原 史樹委員:慶応大学より、大学内の倫理委員会で重篤な遺伝性疾患と承認判定したが、着床前診断審査小委員会でその重篤度に関して再照会となった症例があった。このことを受けて、慶応大学より、重篤度の判定をどの様にしているのかを具体的に示してもらいたいとの問い合わせをいただいた。
   要諦
   ① 同じ遺伝子変異(異常)でも重篤性に関し、病状に幅(きわめて重篤~中等)のある場合どう判定しているのか
   ② 上記の場合(同じ遺伝子変異(異常)の場合)、重篤な病態を呈する患者(表現型)比率がどの程度(何%)であれば‘適応’とするのか。
   ③ 同一家系内での罹患者の重篤度等の症状が不明な場合、“重篤性”を推定で判断することの是非は
   これに対しての回答案を作成した(資料7)。

   回答(案)(資料7一部抜粋)
   かねてより本学会の着床前診断の適応にかかわる“重篤・重症度”につきましては一般論との判断基準として①生後より日常生活に著しく障害をきたし、苦痛、困難を伴う障害が持続する。②生存期間が生存に達するに至らない病態 を掲げており、実際の各症例を個々に慎重に対応するものであります。
   「重症度の判断は家系内の罹患者の重篤・重症例に準じて判断し、また罹患重症度に幅があり、きわめて重篤であることが想定範囲内とされる申請例においては、特段重篤にはならないと科学的に推定されるものでなければ原則として重篤罹患の範囲内であるものとして判断をすることとします。

   つまり、この回答案では、今までは誰が見ても重篤な場合に重篤と判定していたが、今回は重篤度に幅があると判断される例では、申請者の判断を重視して良いと踏み込んだ回答案を作成してみた。
   杉浦 真弓委員:倫理委員会としては1例1例を個別に審議して判定していくスタンスと思われる。
   安達 知子委員:Duchenne型やBecker型筋ジストロフィーの症状の重篤度が2つの境界のような症例で重篤度が問題となり差し戻して照会となった例があった。しかし、やはり、個々の症例を審査小委員会で詳細に個別検討するのは、原則であると思われる。
   平原 史樹委員:今回の回答案では確かに重篤度の判断を幅を広げた形となっている。重篤度に関しては、現時点では今までと同様に慎重に議論する必要があると思われる。当委員会としても、各疾患の専門家の御意見を外部専門家に付託して御意見を求めることも必要となるかもしれない。外部にboardを設定できる担保をしていただきたいと考えている。
   杉浦 真弓委員:この回答案では、重篤度の判定がかなり軽いものになってしまい、拡大解釈される可能性がある。
   平原 史樹委員:これが表に出ると、確かに色々な意見が出てくる可能性がある。
   石原 理委員:重篤にならないと科学的に推定できるかはどう証明するのか?この回答案では重篤度を軽く判断されてしまう可能性がある。重篤度の議論は避けたほうが良い。
   杉浦 真弓委員:着床前診断の適応のハードルが低くなりすぎてしまうかもしれない。
   久具 宏司副委員長:この文面では、着床前診断の適応拡大と各団体に問われてしまう可能性がある。
   安達 知子委員:障害者を排除するような視点ではいけないと思われる。この文面では必ず問題となるのでは。
   平原 史樹委員:当委員会としても受け皿を広げた形で、重篤性に関しては客観的な御意見を聞くことを提案する。当方としても重篤度に関しては今後とも議論を深めていく方向性であると回答することとする。また慶応大学の方でも倫理判定に際しては、必ず第三者機関での検討をしていただくことをお願いする。

   一同異議なく、倫理委員会としては、重篤性に関しては客観的な御意見を聞くことを提案し、重篤度に関しては今後とも議論を深めていく方向性であると回答することが承認された。

6.「PGSに関するセントルカ産婦人科への回答」について(平原委員)

   平原 史樹委員:セントルカ産婦人科から習慣流産の着床前診断申請時に、ご意見として今後倫理委員会でのPGSに関する検討希望があった。
   嘉村 敏治委員長:回答は必要であるか。
   平原 史樹委員:特に回答を求めている形式ではない。検討いただきたいという御意見があった事を報告しておく。

   一同異議なく承認された。

7.「出生前に行われる検査および診断に関する見解」改定案(全文案)について(平原委員)[資料8]

   平原 史樹委員:「出生前に行われる検査および診断に関する見解」の改定案を現在WGで検討している。今回は適応の内容に解説を加えている。非確定的検査(マーカー検査、NT)に関しての情報提供を詳細に記載説明している。また米国、英国の現状や産科ガイドラインの内容も盛り込んでいる。骨子はあまりかえていないが、解説を色々と加えたのがポイントである。
   石原 理委員:改定案に具体的な年齢に関しての記述がない。高齢とのみされている。クワトロテストの場合は高齢妊婦では高値となってしまう。結局羊水穿刺となってしまう。年齢無差別的な検査で良いのかという問題がある。それぞれの検査の上限を記載しなくてよいのか。
   平原 史樹委員:そこまでは困難かもしれない。この改定案を今後、2週間以内までには倫理委員会内でメール回覧してご意見をお願いしたい。それを整理して理事会資料を作成する。
   久具 宏司副委員長:最終的には来年度始めの総会までの成立を目指したい。12月の理事会でこの草案が通ればよい。その草案をホームページ上でさらして、パブリックコメントももらう。もし、それに間に合わなければ2月の前理事会で検討、6月総会までパブリックコメントを求める方向で検討していただきたい。

他に異議なく、本改定案は倫理委員での2週間の検討の後、12月の理事会での検討事項となることで承認された。

8. 7月4日開催「生殖医療に関する遺伝カウンセリング受入れ可能な臨床遺伝専門医」認定講習会受講者報告―アンケートまとめ-(平原委員)[資料9]

   平原 史樹委員:2010年7月4日に講習会を行った。アンケートでは、着床前診断のアウトカムの公表を希望する声が多かった。また、年1回の開催を求める声が多かった。概して好評な御意見をいただいた。今後とも公表する作業を継続する必要があると思われた。
   嘉村 敏治委員長:これは毎年行うのか。
   平原 史樹委員:今回は5年ぶりであった。年に1回は開催した方が良いという声は多かった。

特に異議なく承認された。

9. 第1回倫理委員会議案「日本版ベストプラクティス・ガイドライン(試案)」に対する回答について(平原委員)

   平原 史樹委員:検査ラボの学会からのガイドラインであった。出生前診断に特に関わっているわけではない様子だ。各学会に同様に配布しており、特段意見を求めてきたわけではなかった。

特に異議なく承認された。

10.「ヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究報告の公開」に関する厚生労働省への回答について【資料10】

   石原 理委員:研究目的で受精胚をつくる研究ガイドラインに関して、パブリックコメントを求めるのは終了した。現状を日産婦が把握しているかを聞きたいという趣旨であると思われる。
   嘉村 敏治委員長:今回は施設名を隠す上での閲覧を認めると回答している。
   石原 理委員:研究に関する方向性としては施設名を出したほうがよいのでは。
   嘉村 敏治委員長:厚労省がセキュリティをかけていると思われるため、今回は施設名を伏せる形での閲覧要求を提案した。

他に特に異議なく承認された。

11.「“障がいをもつ子どもの親”の聞きあう時間」代表者からの意見【資料8】

   嘉村 敏治委員長:団体代表からのご意見をいただいた。回答を求めているものではなく、御自分たちの御意見を述べられたものであった。この資料は倫理委員会資料として理事会に提出した。特に回答を求めたものではなかった。

特に異議なく承認された。

12. 関連報道記事 <吉村理事長、AID関連、野田聖子議員、他>【資料12】

   久具 宏司副委員長:NHKでAIDにて生まれた医師(横浜市立大学)が大きくとりあげられた。
   平原 史樹委員:HLAの実習で父親と遺伝子型の不一致が判明した。「第三者関与の生殖医療の議論を」とある。“Telling”の問題がここでもあがってくる。

 

13. 根津会員に対する処分について【資料13】

   久具 宏司副委員長:根津医師からの着床前診断に関する見解(改定案)に関しての御意見をいただいた文章中に、施設内で申請なしに着床前診断を行っていることが明らかとなった。そこで、根津医師からの御意見に対する回答案を送り、着床前診断を行った見解違反に対しての文書を作成した。理事会にかけたが、処分は倫理委員会で決定していただきたいとのこととなった。今回の見解違反に対して如何するか。
   嘉村 敏治委員長:現在まで何度か厳重注意を行ってきている。一つ上段階の譴責とするか。厳重注意を言い続けるか。
   澤 倫太郎委員:根津医師以外に厳重注意を受ける会員がいないことは、逆に学会のガバナンスが良くとれていると思われる。
   嘉村 敏治委員長:今回も厳重注意処分とすることとする。

 

根津医師に対しては厳重注意とすることで承認された。

14. その他

   大川 玲子委員:化学療法を受ける人の卵子保存はどうするのか、学会で決まっているのか?現実に乳がん患者などで対象患者は出てきている。
   石原 理委員:日産婦ではそのような議論がなされていない。生殖医学会での検討が適切と思われる。
   嘉村 敏治委員長:卵巣組織凍結はいかがか?
   石原 理委員:それも含めて検討していく必要がある。現時点では個々の患者へは研究的医療であることを説明する必要がある。
   久具 宏司副委員長:卵子凍結保存の技術的な難しさを考慮すると、生殖医学会で先に検討していただくのが適切と思われる。

他に意見なく承認された。

嘉村敏治委員長の閉会の挨拶で会は終了した。

次回は2月の理事会の前に予定する。

資 料:
1. 前回議事録案
2. 登録・調査小委員会報告
3. 着床前診断審査小委員会報告
4. 「非配偶者間人工授精に関する登録」申請について
5. 「ARTオンライン登録」に関する問い合わせ
6. 「着床前診断に関する臨床研究個別症例申請書」および「申請書チェックリスト」(案)
7. 重篤な遺伝性疾患に関する慶応大学への回答
8. 「出生前に行われる検査および診断に関する見解」改定案(全文案)
9. 「生殖医療に関する遺伝カウンセリング受け入れ可能な臨床遺伝専門医」認定講習会受講者報告
10. 「ヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究報告の公開」に関する厚生労働省への回答について
11. 「障がいをもつ子どもの親の聞きあう時間」代表者からの意見
12. 報道記事など
13. 根津会員に対する処分について
14. 平成21年度倫理委員会 登録・調査小委員会報告(2008年分の体外受精・胚移植等の臨床実施成績および2010年7月における登録施設名)-学会雑誌62巻9月号より抜粋-

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