公益社団法人 日本産科婦人科学会

English
委員会情報
SUB MENU

平成25年度第2回倫理委員会議事録

更新日時:2018年8月2日

平成25年度第2回倫理委員会議事録

日 時:平成25年5月21日(火)午後6時00分~7時25分
場 所:日本産科婦人科学会事務局「会議室」

出席者(敬称略)
   委員長:落合 和徳
   副委員長:久具 宏司
   主務幹事:榊原 秀也
   委 員:安達 知子、石原 理、苛原 稔、齊藤 英和、澤 倫太郎、髙橋 健太郎、竹下 俊行、
平原 史樹、山中 美智子
   理事長:小西 郁生
 <欠席者:大川 玲子委員、杉浦 真弓委員、岸 裕司委員、津田 尚武委員、阪埜 浩司委員、
峯岸 敬委員、矢野 哲委員、吉村 泰典前理事長>
 

   定刻となり、落合委員長が開会を宣言し次第に則り議事が開始された。
次 第:
<確認事項>
平成25年度第1回倫理委員会議事録(案)

<報告・協議事項>
1. 登録関係
(1)本会の見解に基づく諸登録関連
齊藤委員より以下の項目についての説明があった。
①ART登録数
・ヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究
・体外受精・胚移植の臨床実施
・ヒト胚および卵子の凍結保存と移植
・顕微授精
・非配偶者間人工授精
②ARTオンライン登録状況
③学会見解に基づく諸登録の更新申請(2012年更新)について

(2)着床前診断に関する臨床研究申請・認可について
 榊原主務幹事より以下の報告がなされた後、2件の新規申請例、3件の照会例について審議された。
 申請件数:330例[承認281例、非承認4例、審査対象外19例、取り下げ2例、照会中19例、審査中5例、](承認281例のうち8例は条件付)

①セント・ルカ産婦人科(2013-1):審査対象外
 inv(9)による習慣流産の症例だが、この変異は正常範囲内と考えられているので審査対象外となった。審査結果の通知のみでは審議の内容が伝わりにくいので、別途、細かく説明しておくよう落合委員長から指示があった。

②札幌医大(2013-2):照会
 筋強直性ジストロフィーの症例。重篤性については問題ないが、着床前診断について当該施設は初めての申請であり、技術的な問題について照会することとなった。

③慶応大学の照会症例 (2012-54,55,56)
 同意書の記載について回答があり、問題とされたCGH法に関する説明内容が確認されたので、認可となった。

2. 『ヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究に関する見解/考え方』改定最終案について
 石原委員より、改定内容について説明がなされた。また、今後も省庁のガイドラインの変更等が予定されており、細則の変更が頻繁に必要となるので、このWGを常置的なものにすることが提案された。その後に、以下の様なやりとりがあった。
    竹下 俊行委員:施設倫理委員会の審査記録は承認書でよいか?
    石原 理委員:倫理委員会の審議内容を確認する目的なので基本的には議事録を求めている。

3. 次期倫理委員会への申し送り事項について
(1) 倫理委員会委員の構成について
 落合委員長より、倫理委員会に外部委員が必要ではないかということについて意見が求められた。また、過去には理事会内に、倫理委員会とは別に外部委員からなる倫理審議会が置かれたことがあることも説明された。

   齊藤 英和委員:外部委員が必要な時に、倫理委員会にアドホックにいれればよいと思う。
   石原 理委員:目的によると思う。施設内倫理委員会では外部委員が必須である。まずは学会の倫理委員会の在り方を決めておく必要がある。生殖医学会は社会的な側面も考えて外部委員を入れている。しかし、外部委員が入ると学会としての方向性は決めにくくなる。
   落合 和徳委員長:倫理委員会の方向性を次の倫理委員会で議論してもらうことが必要である。
   安達 知子委員:社会的なコンセンサスを得る時には外部委員は必要であるが、専門性の高いことになると議論が進みにくくなる。
   苛原 稔委員:この倫理委員会は小委員会で体外受精の施設認定、着床前診断など定常的なこともしている。そこには外部委員を入れて検討していくべきだが、親委員会は迅速性が求められるので、外部委員は必要ないと考える。
   澤 倫太郎委員:かつては外部委員を入れた倫理審議会が機能していたので、その形態でよいと思う。
   髙橋 健太郎委員:倫理審議会は現在ではなくなっているのか?
   落合 和徳委員長:4年くらい設置されたが、案件がなくなって中断している。
   髙橋 健太郎委員:施設の倫理委員会に外部委員が入っているので、本会の倫理委員会には必要ないと思う。
   久具 宏司副委員長:倫理委員会で決めたことは見解や会告の改定につながるので、親委員会は産婦人科医で構成し、外部の意見は倫理審議会を構成すればよいと思う。

(2)生殖医療の登録
 次に、落合委員長が、生殖医療の登録は倫理委員会でやるべきかについて意見を求めた。

   久具 宏司副委員長:本来は国が行うべきものである。
   落合 和徳委員長:登録業務自体を学会でやるべきか?学会としては生殖内分泌委員会でもよいかと思う。
   髙橋 健太郎委員:倫理的な審議は行わずデータ管理が主体なので、倫理委員会でなくてもよいと思う。
   落合 和徳委員長:この議論は、倫理委員会の在り方につながると思う。
   澤 倫太郎委員:倫理委員会は、新しい技術が出てきた時にそれを考えていくところである。すでにネームバリューがある。別の枠組みにしてもよいと思うが、具体的なアイデアは思いつかない。
   石原 理委員:外国ではほとんどが国の機関で行っている。日本では国がやってくれるような状況にはなかなかならないと思う。学会内の仕組みとして機構の中で移すのはよいと思う。
   竹下 俊行委員:吉村先生の班研究では、学会がARTの管理をしていることを国民は評価している。
   苛原 稔委員:倫理委員会はほとんど生殖関係の内容に終始している。本来は、他の分野も扱ってよい。データの管理は、本来は有料で第3者機関が行うべきである。今までのままではやって行けないことも明らかである。
   齊藤 英和委員:成育医療センターにはデータ管理をする公的機関を置くことになっている。ARTは最初は倫理委員会で考えて行くべき技術であったが、今の業務は登録主体である。しかし、一部には倫理的に審査すべき課題もあるので、審議できる仕組みは残すべきである。
   落合 和徳委員長:何れは、成育医療センターがやるべきであると思う。
   齊藤 英和委員:学会として成育医療センターでやるべきだと提言することも必要だと考える。
   安達 知子委員:長期的には成育医療センターで登録をやるべきだが、短期的には問題が山積しているので、倫理委員会の下でやるのが然るべきである。
   落合 和徳委員長:今後の大きな課題と考える。
   齊藤 英和委員:患者さんは、学会がデータを管理することに安心感がある。国が管理することには抵抗感がある。
   苛原 稔委員:データのねつ造などの研究倫理については、ここでやるのか?
   小西 郁生理事長:学会発表などについては、学術でやっている。
   石原 理委員:犯罪など人倫に関することも扱うべきだと思う。
   澤 倫太郎委員:総務としてはそうした場合には、自主的に退会してもらうことを勧めている。研究の不正に関してはCOIなどで考えて行くことで、この委員会のマターではないと思う。
   苛原 稔委員:基本は、診療上の倫理を中心に行っていくということでよいと考える。

(3)会告・見解の改定に関する問題
 落合委員長より、会告・見解にない医療が水面下で行われていくことを防ぐために、引き続き次期倫理委員会で検討して頂きたい旨の要望があった。

(4)その他
 着床前診断のデータの解析が必要であることなどが、申し送り事項として確認された。

4. 「出生前に行われる遺伝学的検査および診断に関する見解」改定最終案について
 平原委員より、パブリックコメントが5件寄せられ、それを受けて内容を5か所修正した案が示され、それぞれについて協議した。
 P1 前文に、NIPTの指針に合わせて障がいを持って生まれてくる児のことを追加したが、議論の結果、ここではそこまでは入れないという意見もあり、結局、追加しないことにした。
 P2 専門職について①臨床遺伝専門医等という表現にとどめるか、②具体的に認定遺伝カウンセラー、遺伝看護職を入れるかについて議論した結果、①のように臨床遺伝専門医等としておく方が、②のように具体的に限定するよりよいという結論となった。
また、その他の3点は検討の結果、修正案通りとすることになった。

最後に、小西理事長から、下記のような内容の御挨拶があった。
 今期の倫理委員会は、出生前診断等で大事な案件を扱っていただいた。厚労省は担当者の交代等でなかなか継続的案件を扱いにくいので、学会が継続性をもってやっていくべきである。

以上で審議を終了し、閉会となった。

このページの先頭へ