公益社団法人 日本産科婦人科学会

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平成26年度第6回倫理委員会議事録

更新日時:2018年8月2日

平成26年度第6回倫理委員会議事録

日 時:平成27年3月24日(火)午後6時00分~7時45分
場 所:日本産科婦人科学会事務局「会議室」

出席者(敬称略)
   委員長:苛原  稔
   副委員長:久具 宏司
   主務幹事:桑原  章
   委 員:安達 知子、石原  理、久保田 俊郎、齊藤 英和、榊原 秀也、佐藤 美紀子、
澤 倫太郎、関沢 明彦、髙橋 健太郎、竹下 俊行、平原 史樹、矢幡 秀昭、山中 美智子
陪 席:青野 秀雄事務局次長
欠 席:加藤 聖子委員、杉浦 真弓委員、阪埜 浩司委員、小西 郁生理事長
 

 定刻に苛原委員長が開会を宣言し、平成26年度第5回倫理委員会議事録【資料1】を確認した後、報告・協議事項に移った。

1. 登録関係
(1)本会の見解に基づく諸登録(平成27年2月28日現在)
 齊藤委員より、登録・調査小委員会の諸登録【資料2】について報告があった。

(2)着床前診断に関する臨床研究申請・認可について
 平原委員より、着床前診断に関する審査小委員会の結果【資料3】が報告された。現在、着床前診断に関する見解の改定案に対するパブリックコメントを求めており、次回倫理委員会で最終案を確認、6月の定時総会において協議する予定であることが説明された。

2. PGS特別臨床研究の実施について
 竹下委員より、PGS特別臨床研究の実施計画案【資料4】に関して説明があった。3月10日に開催されたPGSに関する小委員会の議論により変更された点が説明された。日産婦学会期間中の4月11日に関連施設に対する説明会を行う予定であることが案内された。

3. 「医学的適応のない未受精卵子の採取・凍結・保存に関する留意事項(案)」に関して
 苛原委員長より、生殖・内分泌委員会で検討された「医学的適応のない未受精卵子の採取・凍結・保存に関する留意事項(案)」【資料5】に関して、倫理的問題が無いか本委員会で検討するように前回理事会で指示があったことが説明された。

   石原  理委員:医学的適応のない未受精卵子の採取・凍結・保存は日産婦ART登録への登録義務は無いが、その卵子を融解して行うARTは登録義務がある。任意で良いので、ART登録される仕組みを整えてはどうか?
   安達 知子委員:今後、増加すると予想される卵子凍結は、何らかの形で把握することが必要と考える。
   桑原  章委員:「ARTの適応」に妊孕性温存(医学的)、妊孕性温存(非医学的)の選択肢を追加することにより、実情把握は可能である。
   苛原  稔委員長:学会は本手技を推奨していないので、仕組みは作るが、登録義務とはしない。

 

4. 婦人科腫瘍委員会「BRCA遺伝子変異を有するHBOCに対する取り扱いに関する見解(案)」の取り扱いについて
 苛原委員長より、婦人科腫瘍委員会から示された「BRCA遺伝子変異を有するHBOCに対する取り扱いに関する見解(案)」【資料6】について、倫理的な側面からの検討、「見解」という言葉を用いることの適否に関して検討の依頼があったことが説明された。

   久具 宏司副委員長:日産婦学会においては「見解」というと、会員が遵守すべき法律のようなもので、違反に対して懲罰を伴うように受け取られてきた経緯がある。今回の内容は見解でも良いが、それ以外の言葉を用いた方が相応しいように感じる。「考え方」、「指針」などの言葉を用いた方が、誤解を招かないと思われる。
   竹下 俊行委員:「指針」や「ガイドライン」は、具体的な診療の内容を説明していることが多い。今回は「考え方」に近いのでは?
   石原  理委員:十分なエビデンスは未だ無く、カウンセリングなどの負担も大きい。推奨されるものでは無いと考える。不必要な注意喚起を招かないかどうか心配である。
   苛原  稔委員長:乳癌学会では推奨する意見もあり、婦人科的リスクを説明せずにBSOが行われることが危惧される。日産婦も主体的に参画する必要性を考えて、本案をまとめている。内容と表題に関して委員に意見を求め、次回倫理委員会で結論をまとめたい。

 

5. 生殖医学会からのInvited Review 執筆依頼について
 苛原委員長より、来年1月号のRMB(生殖医学会英文雑誌)に執筆依頼があったことが説明された【資料7】。久保田委員から、情報管理委員会でも検討の必要があることが指摘された。

6. 凍結胚の海外移送に関する会員からの問い合わせについて
 苛原委員長より、【資料8】のように、代理懐胎を前提として胚を海外のART施設へ移送することの是非の問合せがあったことが説明された。

   久具 宏司副委員長:代理懐胎に関する見解には、「会員は代理懐胎の実施に関与してはならない」とあり、代理懐胎を実施することが明らかな状態で、胚を患者へ手渡す、あるいは海外のART施設へ移送することは、「代理懐胎の実施に関与している」とみなされるので、見解に反する。
   榊原 秀也委員:胚の使い方を知らずに返すのであれば、代理懐胎に関与したことにはならないが、知ったうえで渡すと見解に抵触することとなる。
   竹下 俊行委員:胚の所有権は患者にあるので、「返せません」とは言えない。
   苛原  稔委員長:胚は患者に帰属するものであり、患者が受け取り、海外に持って行くことには問題は無い。海外で代理懐胎が行われ、出生したとしても、それを禁止する手段もない。しかし、その子を伴って帰国した場合の親子関係が問題となる。

 

以上、胚の所属と見解に抵触する可能性があることを、問い合わせ先に回答することとした。

7. 「生殖医療に関する遺伝カウンセリング相談受入れ可能な臨床遺伝専門医」認定講習会に関して
 平原委員より、従来2年おきに開催していた「生殖医療に関する遺伝カウンセリング相談受入れ可能な臨床遺伝専門医」認定講習会を、昨年に続いて今年開催すること、日本産科婦人科遺伝学会(仮称)との共催予定であること、日程・会場は7月20日(祝・月)東京コンファレンスセンター・品川であることが案内された。

8. 「生殖医療に関する遺伝カウンセリング受入れ可能な臨床遺伝専門医」の登録に関して
 平原委員より、「生殖医療に関する遺伝専門医認定小委員会」が開催され、新たに1名が認定されたことが報告された。(2月10日現在210名)【資料9】

9. 不妊の定義に関して、期間を1年とする件
 苛原委員長より、少子高齢化している国内の現状を考え、「不妊」と定義される期間(現在は2年間)を見直す旨の提案があった。

   石原  理委員:WHOでは2009年から1年と定義されており、現在、女性の年齢により段階別に、より短い期間で不妊と定義する検討がなされている。国内でも国際基準に合わせる必要がある。
   苛原  稔委員長:不妊の定義が変更されると、潜在的患者人口が増える。社会的に不妊関連の問題が、より重要視されることとなる。検討した案は、生殖関連の団体(生殖医学会、泌尿器科学会など)とも意見を調整する必要がある。
   久具 宏司副委員長:生殖・内分泌委員会での検討、用語委員会での確認が必要である。

 

以上の議論から、今後関連学会、委員会とともに見直しを検討することとなった。

次回倫理委員会は、平成27年5月13日(水)18時00分~学会事務局会議室において開催予定であることを確認し、19:45に会議を終了した。

【資 料:】
1. 平成26年度「第5回倫理委員会」議事録(案)
2.「登録・調査小委員会」報告
3.「着床前診断に関する審査小委員会」報告(答申書、非承認通知文書、議事録)
4. PGS研究実施計画案、組織概要、第7回PGSに関する小委員会議事録
5.「医学的適応のない未受精卵子の採取・凍結・保存に関する留意事項(案)」
6.「BRCA遺伝子変異を有するHBOCに対する取り扱いに関する見解(案)」
7. 生殖医学会からのRMB掲載執筆依頼書
8. 斗南病院からの問合せメール
9.「生殖医療に関する遺伝カウンセリング受入れ可能な臨床遺伝専門医」学会HP画面
10.報道関連記事など

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