公益社団法人 日本産科婦人科学会

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平成27年度第1回倫理委員会議事録

更新日時:2018年8月2日

平成27年度第1回倫理委員会議事録

日 時:平成27年5月13日(水)午後6時00分~7時55分
場 所:日本産科婦人科学会事務局「会議室」

出席者(敬称略)
   委員長:苛原  稔
   副委員長:久具 宏司
   主務幹事:桑原  章
   委 員:安達 知子、石原  理、久保田 俊郎、齊藤 英和、榊原 秀也、佐藤 美紀子、
澤 倫太郎、杉浦 真弓、髙橋 健太郎、竹下 俊行、平原 史樹、矢幡 秀昭、山中 美智子
欠 席:加藤 聖子委員、関沢 明彦委員、阪埜 浩司委員、小西 郁生理事長
 

 定刻に苛原委員長が開会を宣言し、平成26年度臨時倫理委員会議事録(案)【資料1-1】、平成26年度第6回倫理委員会議事録(案)【資料1-2】を確認した後、報告・協議事項に移った。

1. 登録関係
(1)本会の見解に基づく諸登録(平成27年4月30日現在)
 齊藤委員より、登録・調査小委員会の諸登録【資料2】について報告があった。

(2)着床前診断に関する臨床研究申請・認可について
 平原委員より、着床前診断に関する審査小委員会の結果【資料3】が報告された。

   杉浦 真弓委員:PGDの対象となる疾患名は公開されているか?
   平原 史樹委員:今年秋に状況をまとめて学会誌に公開予定である。しかし、重篤性を症例個別に検討しているので、同じ診断名の症例全てにPGD実施が認められる訳ではない。

 

2. PGS特別臨床研究の実施について【資料4】

   竹下 俊行委員:4月11日にART施設との意見交換会を実施した。各施設における詳細に関して、資料のようなアンケート調査を行っている。データセンターに関しても、協力施設を検討している。
   杉浦 真弓委員:施設内倫理委員会が厚労省から承認されないと実施出来ないことになるか?
   苛原  稔委員長:現時点で承認されていないから組織に加われない、とは考えていない。引き続き、各施設において施設内倫理委員会が厚労省の承認を得られるよう努力していただきたい。一方、大学の施設内倫理委員会ですら、厚労省の承認が得られないとすると、この国の医学研究が前進しないこととなり、それにはやや、懸念を感じる。

 

3. 委員会提案に関して
 苛原委員長より、「着床前診断」、「非配偶者間人工授精に関する見解」に関する委員会提案の内容、そして両案に対するパブリックコメント【資料5-1、5-2、5-3】が説明された。

(1)「着床前診断」に関する見解、実施に関する細則、様式の改定
   平原 史樹委員:中岡先生の意見には誤解が含まれており、外国に検査を委託することが全て問題なのではなく、技術的に診断が下せる妥当な技術であるか、実施施設が理解、把握していることが必要である。施設の考えと相互の理解のために、今後、委員会で遺伝専門家を含めたヒアリングをする必要があると考えている。大谷先生の意見は持論を展開しており、意見の一致を見ることは困難と考えている。
   苛原  稔委員長:大谷先生は、「患者のための医療をするのが医師であり、患者が希望する医療を妨げることは人類・社会への貢献ではありません」との意見である。一方、「患者が希望すれば医師は何でも行って良い」とは考えていないのが、会員の大多数の意見であるとすれば、お互いの意見が一致することは困難ではないかと考える。
   桑原  章委員:中岡先生が指摘している、PGD実施施設に出生前診断の十分な実績を必須とすることに対する是非は、どのように考えれば良いか?
   平原 史樹委員:胚生検さえ出来ればPGDできそうな時代が近づいているが、遺伝と周産期新生児医療に理解を示さないまま、PGDが可能となることの危険性を指摘したい。
   石原  理委員:PGDを必要としている患者が円滑に、質の高いPGDを受けることができるようにするのが本会の趣旨であり、PGD実施施設に求める条件をただ単に厳しくして、PGDの実施を制限することは、宜しくないと考える。
   久具 宏司副委員長:この趣旨はPGD実施を制限することではなく、良いPGDを患者に提供することである。すなわちARTのみではなく、妊娠・出産までを視野に入れた見方が出来ているかを問うている部分と考えている。
   佐藤 美紀子委員:杉浦先生より、習慣流産検査の詳細を記載する部分にエビデンスが無い項目は明示しないほうが良い、との意見があったが?
   竹下 俊行委員:少し踏み込み過ぎと思われる。
   苛原  稔委員長:では、その意見を採用し、様式2−2の一部を変更し、それ以外は原案のとおりとしたい。

 

(2)「非配偶者間人工授精に関する見解」の表題ならびに内容の一部表記変更
   久具 宏司副委員長:今回は、見解の表題に含まれるAIDの和訳の変更だけを趣旨とし、AIHを含めた用語の問題は、今後用語委員会で追加検討しなければならない。
   苛原  稔委員長:都甲先生の意見はAID自身に対する意見であり、本質的な意見である。しかし、今回の変更に関する意見ではないこと、現在は国の法制化の成り行きを見守っていることから、今回は、原案のとおりとしたい。

4. 婦人科腫瘍委員会遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)の啓発および取り扱い検討小委員会からの「BRCA遺伝子変異を有する遺伝性乳癌卵巣癌(Hereditary Breast and Ovarian Cancer: HBOC)に対する取り扱いに関する見解(案)」について【資料6-1、6-2、6-3】

   苛原  稔委員長:皆さんの意見を見ると、「見解」はそぐわないとの意見が多い。内容に関しては、我々が主体的に考案しているものではない。「見解」とはしないで欲しいという結論と、委員の意見を付けて腫瘍委員会へお返しすることとしたい。

 

5. 「ミフェプリストンおよびミソプロストールの第Ⅰ相試験」実施計画に関して【資料7】

   石原  理委員:国内で個人輸入によるトラブルが発生しており、しっかり治験を行って欲しいと個人的には考えるが、日産婦倫理委員会で取り扱う案件としてはそぐわないと考える。
   安達 知子委員:医会もしっかり取り組む必要がある案件と認識しており、基本的に反対はしていない。しかし、現段階で医会で協議するような内容では無いと認識している。
   苛原  稔委員長:PMDAの承認を受けて行われる臨床治験に我々が意見を挟むものではないが、承認された将来の時点では、医会、学会が共同して診療の指針を作成する必要があると認識している。これらの議論があったことを、大須賀先生へ返事したい。

 

6. HORACクリニックにおける「ミトコンドリア注入療法」臨床応用に関して【資料11】

   石原  理委員:同一女性の未熟卵子から採取したミトコンドリアを受精卵に注入する治療法であり、論文にもなっていないが、海外で出産例があり、新聞や雑誌に掲載されている。
   苛原  稔委員長:実験であれば厚労省ガイドラインに沿う必要があるが、今回は臨床応用なので、対象とならない。倫理委員会内で議論して返事をする必要があると考えている。

 

7. 第6回『生殖医療に関する遺伝カウンセリング相談受入れ可能な臨床遺伝専門医』認定講習会について【資料8】

   平原 史樹委員:日産婦と人類遺伝学会が協力して専門医認定を行っており、昨年に引き続き今年は資料のように準備中である。
   苛原  稔委員長:従来、本会が主催して2年毎に開催されていたが、診療内容が増え重要性が増しており、担当する医師数も増えていることから、本年は昨年に引き続き開催する。

 

8. 平成25年度~26年度倫理委員会活動についての総括【資料9】
 苛原委員長より、本日で2年間の節目となるため、倫理委員会で行ってきたことを資料にまとめ、自己評価をした内容が説明された。

以上で全ての議論を終了し、19:55に会議を終了した。

【資 料:】
1-1. 平成26年度「臨時倫理委員会」議事録(案)
1-2. 平成26年度「第6回倫理委員会」議事録(案)
2.「登録・調査小委員会」報告
3.「着床前診断に関する審査小委員会」報告(答申書、照会文案、議事録)
4. 実施希望施設宛のアンケート文面、研究実施計画案、組織概要
5-1.「着床前診断」に関する見解、実施に関する細則、様式の改定についての委員会提案
5-2.「非配偶者間人工授精に関する見解」の表題ならびに内容の一部表記変更についての委員会提案
5-3. 委員会提案に対する会員からのご意見一覧
6-1. BRCA遺伝子変異を有するHBOCに対する取り扱いに関する見解(案)に対するご意見一覧
6-2. 婦人科腫瘍委員会遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)の啓発および取り扱い検討小委員会に対する返答(案)
6-3. BRCA遺伝子変異を有する遺伝性乳癌卵巣癌(Hereditary Breast and Ovarian Cancer: HBOC)に対する取り扱いに関する見解(案)
7. 東京大学医学部附属病院からの伺書ならびに実施計画
8. 『生殖医療に関する遺伝カウンセリング相談受入れ可能な臨床遺伝専門医』認定講習会開催概要
9. 平成25年度~26年度倫理委員会活動実績
10. 報道関連記事など
11. HORACクリニックにおける「ミトコンドリア注入療法」臨床応用に関して

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