公益社団法人 日本産科婦人科学会

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平成27年度第3回倫理委員会議事録

更新日時:2018年8月2日

平成27年度第3回倫理委員会議事録

日 時:平成27年11月18日(水)午後6時30分~8時
場 所:日本産科婦人科学会事務局「会議室」

出席者(敬称略)
   委員長:苛原  稔
   副委員長:久具 宏司
   主務幹事:桑原  章
   委 員:石原  理、内田 聡子、齊藤 英和、榊原 秀也、佐藤 美紀子、澤 倫太郎、
杉浦 真弓、関沢 明彦、竹下 俊行、寺本 瑞絵、平原 史樹、山中 美智子、吉野  修
欠 席:齋藤  豪委員、原田  省委員、阪埜 浩司委員、森重 健一郎委員
 

 苛原委員長が開会を宣言し、平成27年度第2回倫理委員会議事録(案)【資料1】を確認した後、定例の報告・協議事項に移った。

1. 登録関係
(1)本会の見解に基づく諸登録(平成27年10月31日現在)
 齊藤委員より、登録・調査小委員会の諸登録について報告があった【資料2】。医学的適応による未受精卵子および卵巣組織の採取・凍結・保存に関する登録に関して、未受精卵子、卵巣組織を区別できるよう学会HPに掲載したこと、登録施設のうち、3年間ART未実施であり本来は登録を抹消すべき施設のうち1施設から登録抹消に関する問合せに回答が無いこと、本年度の安全管理調査表の未提出施設が数件あることが報告された。

   苛原  稔委員長:3年間未登録施設は、凍結胚が残っていないことを確認する必要があることを最終通知し、抹消してはどうか。安全管理調査表の未提出施設も、実際はART未実施施設のようなので、最終通告しART施設登録も抹消する方向で検討していただきたい。
   久具 宏司副委員長:既婚者が「医学的適応による妊孕性温存」として胚凍結する場合は従来、既存の「ヒト胚および卵子の凍結保存と移植に関する見解」で対応すれば良いと考えられてきた。しかし、この見解はあくまでも不妊症の一環として行われる凍結に関しての記述のみであり、悪性腫瘍などの原疾患主治医との連携などは全く触れられていないことは問題である。従って、「医学的適応による未受精卵子および卵巣組織の採取・凍結・保存に関する見解」に、受精卵(胚)に関する記述を加えることを提案したい。
   佐藤 美紀子委員:腫瘍分野の専門医は、生殖医療に関する見解の全てに目を通さず「ヒト胚および卵子の凍結保存と移植に関する見解」のみを読んで妊孕性温存に関するコンサルトを求めることがあるので、胚凍結のことも、本見解に記述した方が望ましい。
   苛原  稔委員長:それでは久具副委員長の提案を元に案を作成し、次回委員会で見解改定の必要があるかどうかを検討したい。

(2)着床前診断に関する臨床研究申請・認可
 平原委員より、着床前診断に関する審査小委員会の結果が報告された【資料3】。父親が罹患者である重篤な家族歴を有する症例の審査に関して、本委員会での審議に関する説明があった。

   平原 史樹委員:従来、当該疾患で着床前診断を許可された症例は全て母親由来の場合であり、父親由来の家族歴を有する症例は着床前診断の対象でないとの認識であった。一般的に従来は、対象夫婦の間に重篤な疾患を持つ児の分娩歴があり、再度、重篤な児が生まれる可能性が高いかどうかで着床前診断の可否を判断していた。しかし最近は、重篤な児が生まれている家族歴がある症例でも、当該夫婦に今後、重篤な児が生まれる可能性がある場合には着床前診断を行うことが増えている。今回は、父親由来の重篤な症例を家族歴に有する症例について、着床前診断の申請が出てきている。当該疾患に関するこれまでの判断の原則を変更することになるので、前回の着床前診断に関する審査小委員会で審議した際に、一度、親委員会で審議する必要性があるとの意見があったため、この場での審議をお願いしたい。
   杉浦 真弓委員:現在は重篤な患児の出産歴が無くても、着床前診断の対象になるのか?
   平原 史樹委員:これまでは出産歴があることが前提であったが、現在は家族歴がある場合、あるいは理論的に出産する可能性がある場合でも着床前診断の対象となるかどうかは、症例ごとに考慮している。
   苛原  稔委員長:父親由来でも蓋然性が高ければ、審査対象となることに関して、本日出席の委員から異論は出ていない。症例の詳細を着床前診断に関する審査委員会で確認し、専門家の意見も含めて小委員会で審議を進め、次回倫理委員会で、詳細を含め最終審議できるように準備いただきたい。

2. PGS特別臨床研究の実施について
 竹下委員より、前回倫理委員会でPGS臨床研究のパイロット試験の実施が承認されたこと、その後のPGS小委員会、WGの議論を経てパイロット試験プロトコルと説明同意文書(案)を作成したことが説明され、その内容の提示、説明があった【資料4-1~4-2】。

   山中 美智子委員:異数胚は流産すると説明されていながら、一部生まれてくる可能性があると記述されており、統一性が無い点、染色体と遺伝子が区別されずに説明されている点を訂正していただきたい。
   苛原  稔委員長:ご指摘いただいた点に修正を加えて、次回理事会へ案として提出したい。その後、実際に実施する施設でさらに変更を加えた上で、施設内倫理委員会の審査を進めることになると考えている。

3. 日本遺伝カウンセリング学会における大谷徹郎医師の発表への対応について
 苛原委員長より、これまでの経緯と、文書での回答を待っているが返事が無いこと、現在督促していることが説明された。

4. ミトコンドリア自家移植に関する検討委員会について
 原田小委員会委員長欠席のため、苛原委員長より次回委員会の予定が説明され、この手技は関連ガイドライン等に抵触しないことが確認された【資料5】。

5. 平成25年度NIPT年間実施数と「NIPTに関する検討小委員会」について
 久具副委員長より、平成25年度分のNIPT年間実施数【資料6】と、多施設共同研究組織であるNIPTコンソーシアムから要望のあった対象疾患の適応拡大について「NIPTに関する検討小委員会」【資料7】を招集し検討する事が説明された。

6. 「我が国における男性不妊に対する検査・治療に関する調査研究」について
 榊原委員より、本会ART登録施設へアンケート調査を行うことが説明された【資料9】。

 最後に、次回倫理委員会を平成28年2月23日(火)18時より、学会事務局会議室において開催予定であることを確認し、20時に会議を終了した。

【資 料:】
1. 平成27年度「第2回倫理委員会」議事録(案)
2.「登録・調査小委員会」報告
3.「着床前診断に関する審査小委員会」報告(答申書、照会文案、議事録など)
4. PGS特別臨床研究提案
4-1. ART反復不成功例プロトコル・同意説明文書・同意(撤回)書
4-2. 原因不明の習慣(反復)流産プロトコル・同意説明文書・同意(撤回)書
5. ミトコンドリア自家移植に関する検討委員会予定(案)
6. H25年度NIPT(診断項目別)年間実施数合計
7. 「NIPTに関する検討小委員会」構成メンバー一覧、NIPTコンソーシアムからの要望書
8. 報道記事など
9. 日産婦ART認定施設長宛アンケート依頼文書

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