公益社団法人 日本産科婦人科学会

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平成27年度第4回倫理委員会議事録

更新日時:2018年8月2日

平成27年度第4回倫理委員会議事録

日 時:平成28年2月23日(火)午後6時30分~8時
場 所:日本産科婦人科学会事務局「会議室」

出席者(敬称略)
   委員長:苛原  稔
   副委員長:久具 宏司
   主務幹事:桑原  章
   委 員:石原  理、内田 聡子、齊藤 英和、榊原 秀也、佐藤 美紀子、澤 倫太郎、
杉浦 真弓、関沢 明彦、竹下 俊行、寺本 瑞絵、原田 省、阪埜 浩司、平原 史樹、
森重 健一郎、山中 美智子、吉野  修
欠 席:齋藤  豪委員
 

 定刻に苛原委員長が開会を宣言し、平成27年度第3回倫理委員会議事録(案)【資料1】を確認した後、定例の報告・協議事項に移った。

1. 登録関係
(1)本会の見解に基づく諸登録(平成28年1月31日現在)
 齊藤委員より、登録・調査小委員会の諸登録について【資料2】報告があった。

(2)着床前診断に関する臨床研究申請・認可
 平原委員より、着床前診断に関する審査小委員会における審査結果が報告された【資料3-1】。前回倫理委員会でも議論された父親が罹患者である重篤な家族歴を有する症例2例に関して、平原委員より小委員会での議論の経緯が説明された【資料3-2】。

   杉浦 真弓委員:先天性筋強直性ジストロフィーで表現促進が認められるのは主に女性の場合で、男性は例外的と認識される。加えて、今回の発端者(男性)は重篤と言いがたい状態であり、PGD対象を重篤な遺伝性疾患に限定してきた本会の原則を変えることになるのか。
   平原 史樹委員:発端者が重篤でない場合でも、同一家系内に重篤例がある場合はこれまでも認めている。
   石原  理委員:着床前診断に関する審査小委員会の判断を、倫理委員会で否定することは困難である。本例のPGDが不許可となれば、患者は次回妊娠時に絨毛検査、羊水検査などを希望するであろうから、患者負担が増えることも懸念される。
   山中 美智子委員:着床前診断が始まった頃とは医学的、社会的状況が変化しており、学会が重篤性の判断をすることに無理があると思う。もちろん無条件に着床前診断を行って良いとは思わないが、時代の変化に合わせて見直す時期と考える。
   苛原  稔委員長:1例目は慶應の倫理委員会の判断を尊重し、認めて良いと考えられる。2例目は再度、小委員会から、重篤性に関して慶應義塾大学倫理委員会でどのような議論があったかなどを照会し、より慎重な議論を継続してはどうか。

さらに、平原委員より、セントマザー産婦人科医院の外注検査委託による着床前診断の実施に関する条件付き承認の経緯と、産科婦人科遺伝診療学会における発表に関する照会について【資料3-3】、着床前診断新規実施申請施設に対する照会案が説明された【資料3-4】。

2. 大谷徹郎医師の着床前スクリーニング検査実施に対する処分について【資料4】
 苛原委員長より、第39回日本遺伝カウンセリング学会における大谷レディスクリニックの発表に端を発する、着床前スクリーニング検査実施の事実確認とその中止要請、第1回日本産科婦人科遺伝診療学会におけるディベートと、その後の学会と大谷徹郎医師との間でのやりとりについて経緯説明があった。

   阪埜 浩司委員:多くの会員が着床前スクリーニング検査に興味を持ちつつも見解を遵守している。当該会員は以前、見解違反を認めて、裁判所の和解勧告に従い、実施しないと約束しながら、一向に反省の態度を示していない。従って、これまでより、より重い処分を検討しても良いと思われる。
   苛原  稔委員長:厳重注意より重い罰として、「譴責(始末書の提出を求める)」が選択枝に上がるので、顧問弁護士とも相談の上、理事会で協議し、処分を検討したい。

3. 「医学的適応による未受精卵子および卵巣組織の採取・凍結・保存に関する見解」他、見解見直しの委員会提案について
 久具副委員長より、見解に胚凍結を含めることに伴う見解変更案の説明があった【資料5】。

   石原  理委員:医学的適応による胚凍結を行っている施設が多数あると思われるので、見解に従った申請を行うまでの間、移行期間を設ける必要がある。
   齊藤 英和委員:本見解と連動して「生殖補助医療実施医療機関の登録と報告に関する見解」の倫理委員会の記述を変更することを提案する。

 

4. 子宮移植に関する小委員会について
 石原委員より、「子宮移植に関する小委員会」を2回開催し、現在結論をまとめていることが報告された。

5. NIPTに関する検討小委員会について
 久具副委員長より、昨年12月に行われた「第1回NIPTに関する検討小委員会」の概要、次回開催予定の第2回小委員会では実施対象の拡大についてNIPTコンソーシアムから出されていた要望の取り下げが予定されていることが報告された【資料6】。

   関沢 明彦委員:NIPTコンソーシアムでは、第1回NIPTに関する検討小委員会での意見を踏まえて、現在の臨床研究の結論を優先し、新たな臨床研究の提案は取り下げることとした。
   久具 宏司副委員長:日本医学会が関与するNIPT臨床研究は平成25年に始まり、平成25年度分の実施報告は日本医学会HPに公表されている。平成26年度もほぼまとまり、27年度の実施報告も今夏に公表予定である。他の出生前検査のあり方も含めた検討が現在進められており、その進捗を見ながら臨床研究の結論を出したいと考える。

 

6. PGS臨床研究について
 竹下委員からPGS臨床研究の進捗状況が報告された。

7. 倫理委員会の規約改定について
 桑原幹事より、前回本委員会の意見を踏まえて、倫理委員会規約改定案がまとまり、次回理事会に提出予定であることが説明された【資料7】。

8. 英ウィメンズクリニックの卵子売買に関する情報について
 苛原委員長より、本会へ送られた匿名メール【資料8】の紹介があった。

9. 資料のペーパーレス化に伴う会議運営方法の変更について
 苛原委員長より、次回倫理委員会から可能な範囲で資料のペーパーレス化を推進することが提案され、了承された。

 最後に、次回委員会は平成28年3月29日(火)18時30分より、学会事務局会議室において開催予定であることを確認し、20時に会議を終了した。

【資 料:】
1.  平成27年度「第3回倫理委員会」議事録(案)
2. 「登録・調査小委員会」報告
3-1.「着床前診断に関する審査小委員会」報告(答申書、照会文案、議事録など)
3-2. 慶応義塾大学からの申請症例概要など
3-3. セントマザー産婦人科医院に対する照会案
3-4. 新規実施申請施設に対する照会案
4.  大谷医師(遠藤弁護士)からの文書、処分通知案
5.  見解改定に関する委員会提案
6.  NIPTコンソーシアムからの要望取り下げ書
7.  倫理委員会の規約改定(成案)
8.  英ウィメンズクリニックに関する報告

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