公益社団法人 日本産科婦人科学会

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平成28年度第3回倫理委員会議事録

更新日時:2018年8月2日

平成28年度第3回倫理委員会議事録

日 時:平成28年11月22日(火)午後6時30分~8時20分
場 所:日本産科婦人科学会事務局「会議室」

出席者(敬称略)
   委員長:苛原  稔
   副委員長:久具 宏司
   主務幹事:桑原  章
   委 員:石原  理、内田 聡子、齋藤  豪、齊藤 英和、榊原 秀也、佐藤 美紀子、
杉浦 真弓、関沢 明彦、竹下 俊行、寺本 瑞絵、原田 省、平原 史樹、森重 健一郎、
山中 美智子、吉野  修
欠 席:澤 倫太郎委員、阪埜 浩司委員

 定刻に苛原委員長が開会を宣言し、平成28年度第2回倫理委員会議事録(案)【資料1】を確認した後、定例の報告・協議事項に移った。

1. 登録関係
(1)本会の見解に基づく諸登録(平成28年10月31日現在)
 齊藤委員より、登録・調査小委員会の諸登録【資料2】について報告があった。

(2)ART新規登録申請施設の実施責任者資格要件について
 齊藤委員より、ART新規登録申請施設の実施責任者が満たすべき要件である「ART登録施設での研修」に関して、登録・調査小委員会内のみでは意見がまとまらなかったので、親委員会で意見を求めたいことが説明された【資料3】。具体的には、当該医師はART登録施設で1年間、週2日研修した証明書が添えられているが、見解で定める「ART登録施設において1年以上勤務、または1年以上研修を受け、体外受精・胚移植の技術を習得した者」に相当するか否かに関する扱いを確認したいことが説明された。
   久具 宏司副委員長:見解にある「常勤」とは、ART新規登録申請施設で現在、常勤であるかどうかであり、その要件は満たしている。一方、研修施設での勤務体系は常勤であることを義務とはしていない。研修を実際にしていたことの証明書があるので、条件を満たしているとも言える。
   森重 健一郎委員:勤務体系に係わらず、研修するべき症例数などを明示していないのか?
   平原 史樹委員:個人の資格である専門医制度の場合、必要とされる経験症例数を明示し、加えて最近は、常勤であることに関して厳密性を求めている。一方、ART登録施設認定では研修証明があれば性善説で対応してきた。例えば大学病院などでは常勤でも、毎日ARTに従事していないこともあり得る。従って、一定レベルの研修終了が証明されれば良しとすることでどうか。
   榊原 秀也委員:実施責任者が「生殖医療専門医」の資格を有する場合は、それをもって、今回の証明に代えることが出来るとしてはどうか?
   苛原 稔委員長:今回の医師は生殖医療専門医ではない。今回は研修を証明した医師の責任において、十分な研修が行われ、体外受精・胚移植の技術を習得したことを証明できるか、再度問い合わせていただき、それが確認出来た場合は、今回は可としてはどうか。今後、機会をみて、ART新規登録申請施設の実施責任者が満たすべき要件と専門医制度との関連を見直すことも考えていきたい。

(3)「医学的適応による未受精卵子、胚(受精卵)および卵巣組織の凍結・保存」/「医学的適応のない未受精卵子、胚の凍結・保存」に関するアンケート調査について
 桑原委員より、今年度中に表記アンケート調査が行われる予定であることが説明された。

(4)ART登録施設の抹消に関する内規について
   桑原 章委員:従来からART登録施設抹消の場合は、施設内に凍結保存胚、卵子が無いことを確認するよう施設へ促し、施設から「無い」と回答があった場合にのみ登録を抹消してきた。しかし最近、ART実施責任医師が退職し不在であるにも係わらず、実施責任医師をリクルート中であるとして、施設で凍結胚保管継続を希望する施設が発生した。現在の見解では、実施責任医師不在のまま施設内で凍結胚保管をすることは見解違反となるが、患者の利益を考えると、強制的に廃棄する訳にもいかないため「ART登録停止」という措置を提案したい。また、別の案件として、ART実施登録が3年以上無いため登録抹消しようと考え、施設内に凍結保存胚・卵子が無いことを確認するよう施設へ促したにも係わらず、施設から回答が無い施設が複数存在している。このような場合は、地方連絡委員を通じて確認を取っているが、それでも回答に応じない施設があり問題となっているため、そのような場合の対応を内規として【資料4-1、4-2、4-3】にまとめた。
   石原 理委員:患者の不利益にならないよう配慮しつつ対応していただきたい。地域でサポートできるよう促すなど、もう少し書き加えてはどうか。
   久具 宏司副委員長:胚は患者のものであり、患者の不利益にならないよう学会として最大限配慮することを心がけて対応し、それでも反応が無い場合は、今回の運用となることでやむを得ないと考える。
   桑原 章委員:指摘された点を内規に書き加えて、次回倫理委員会で確認したい。

(5)着床前診断に関する臨床研究申請・認可について
 平原委員より、着床前診断に関する審査小委員会の結果【資料5】が報告された。特に、宮崎レディースクリニックからの申請(大谷産婦人科で第三者遺伝カウンセリングを実施した症例)は、他の要因にて未承認となったことが報告された。

2. 本会見解に違反してNIPTを実施した会員への対応について
 苛原委員長より、本会見解に違反してNIPTを実施した3名の会員に対する調査内容が説明された【資料6-1】。今後の処分に関し本委員会で協議のうえ、次回理事会で検討することが報告された。特に奥野会員に対しては、より厳重な処分が下される予定であることが説明された。

3. PGS臨床研究について
 竹下委員より、PGS臨床研究の進捗状況が報告された。

4. ゲノム編集技術を用いる研究機関への支援体制について
 苛原委員長より、ゲノム編集技術を用いる研究機関への支援体制に関して説明があった【資料7】。

5. 臨床効果データベース整備事業について
 桑原委員より、臨床効果データベース整備事業に関連して、個人情報保護に留意しながら、本会が運営する臨床データベースを含む各データベース間の連携が取れるよう配慮することが求められているとの説明があった。

6. 『生殖医療に関する遺伝カウンセリング受入れ可能な臨床遺伝専門医』登録申請用紙について
 平原委員より、第2回日本産科婦人科遺伝診療学会・学術講演会及びロールプレイ研修会への参加を「生殖医療に関する遺伝カウンセリング受入れ可能な臨床遺伝専門医」の申請要件とすることと、その申請方法が説明された【資料8】。

 次回委員会は平成29年2月14日(火)18時30分より、学会事務局会議室において開催予定であることを確認して、20時20分に会議を終了した。

【資 料:】
1.  平成28年度「第2回倫理委員会」議事録(案)
2. 「登録・調査小委員会」報告
3.  ART実施登録申請施設に関する登録・調査小委員会通信会議の結果
4-1. ART登録辞退に関する内規(案)
4-2. ART登録停止届(案)
4-3. ART登録辞退届(案)
5. 「着床前診断に関する審査小委員会」報告(答申書、議事録など)
6-1. 会員に対する事情聴取記録・始末書(杉山医師、中田医師)、ヒアリング結果(奥野医師)
6-2. 5団体による共同声明、杉山産婦人科、麻布ARTクリニック、奥野病院の参考資料
7.  ヒト受精胚にゲノム編集技術を用いる研究機関への支援体制(調整案)
8. 「生殖医療に関する遺伝カウンセリング受入れ可能な臨床遺伝専門医」登録申請用紙(案)
9.  報道記事など

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