公益社団法人 日本産科婦人科学会

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平成28年度第4回倫理委員会議事録

更新日時:2018年8月2日

平成28年度第4回倫理委員会議事録

日 時:平成29年2月14日(火)午後6時30分~8時50分
場 所:日本産科婦人科学会事務局「会議室」

出席者(敬称略)
   委員長:苛原  稔
   副委員長:久具 宏司
   主務幹事:桑原  章
   委 員:石原  理、内田 聡子、齋藤  豪、齊藤 英和、榊原 秀也、佐藤 美紀子、
澤 倫太郎、杉浦 真弓、関沢 明彦、竹下 俊行、寺本 瑞絵、原田 省、平原 史樹、
森重 健一郎、山中 美智子、吉野  修
欠 席:阪埜 浩司委員

 定刻に苛原委員長が開会を宣言し、平成28年度第3回倫理委員会議事録(案)【資料1】を確認した後、定例の報告・協議事項に移った。

1. 登録関係
(1)本会の見解に基づく諸登録(平成29年1月31日現在)
 齊藤委員より、登録・調査小委員会の諸登録について報告があった【資料2】。

(2)ART登録施設の抹消に関する内規の運用について【資料3】
 桑原委員より、前回の会議で指摘された患者および胚の不利益にならないよう配慮する点を書き加えた内規が説明され、確認された。

(3)着床前診断に関する臨床研究申請・認可について
 平原委員より、着床前診断に関する審査小委員会の結果が報告された【資料4-1、4-2】。オーク住吉産婦人科、宮崎レディースクリニックからの申請は、施設内臨床研究倫理委員会審査の報告が不十分であり、本委員会の判断を仰ぎたいとの趣旨が説明された。
   平原 史樹委員:研究倫理審査委員会を改善し再審査するように指示したが、再審査をせずに過去の書類を差し替えるなど、指摘した内容が理解できているとは思えない。
   杉浦 真弓委員:近隣の研究施設に研究倫理審査を委託されてはいかがか?
   竹下 俊行委員:解析を請け負う藤田保健衛生大学での倫理審査を検討してはどうか。
   原田  省委員:長期審査保留は患者の不利益になるので、一度、却下してはどうか。
   内田 聡子委員:症例の適応と施設の要件はそれぞれ審査すべきであり、今回の申請は施設要件を満たしていないと思う。その旨を伝えてはどうか。
   久具 宏司副委員長:施設内の研究倫理審査委員会が問題で、審査しても、施設として承認される見込みが少ないことを伝えてはどうか。
   苛原 稔委員長:両施設とも非承認とし、理由を明確に示して回答することとしたい。

(4)着床前診断に関する臨床研究申請のあり方について
 平原委員より、これまでの着床前診断に関する審査の経緯が説明され、今後のあり方を検討することが提案された【資料4-3】。

2. 妻の求めに応じて夫に無断で凍結胚を移植した件について
 苛原委員長より、本件に関する地方連絡委員および苛原委員長による当該会員に対しての事情聴取内容が説明された【資料5】。本件は現在、訴訟中であることも考慮し、当該会員に対する処分は保留とし、本会会員へ再度、本会見解(「ヒト胚および卵子の凍結保存と移植に関する見解」にある「凍結融解後の胚および卵子は、卵子採取を受けた女性に移植されるものであり、ART実施登録施設は施術ごとに被実施者夫婦または女性の同意を取得し、同意文書を保管する」こと)の遵守を通知するのみに止めておくことが説明され、了承された。

3. 本会の指針を遵守せず、見解に違反しNIPTを実施した会員の処分について
 苛原委員長より、前回の委員会後、理事会の承認を得たうえで、当該2名の会員を厳重注意処分としたこと、一方、残る1名は譴責処分としたが、本会の懲戒に関する内規で同処分において定められている始末書の提出が期限までになかったことが報告された。既に常務理事会へ報告し、始末書の提出がなかった1名に対してはさらに重い処分として、会員資格の停止が検討されていることについて説明があった【資料6】。

4. 大谷会員の譴責処分に関して
 苛原委員長より、前回の委員会後、理事会の承認を得たうえで、平成29年1月13日を期限として、譴責処分に伴う始末書の提出を督促したが、代理人弁護士から通知書が届けられたことが報告された【資料7】。既に常務理事会へ報告し、対応策を検討中であることの説明があった。定款、これまでの総会議決事項、学会内の内規と照らし合わせ、処分する時期、内容を検討中であることが説明された。

5. ART申請書類に実施者の現住所及び生年月日を記載することに関して
 桑原委員より、個人情報保護の観点から、ART登録申請の際に提出する履歴書に、現住所、生年月日を記載することについて、ART登録施設から問合せがあったことが報告された。法的問題は無いが、目的外使用しない旨を記載することが望ましいとの指摘があり、今後、検討することとなった。

6. PGS臨床研究について
 竹下委員より、仮登録が始まったこと、また、本日これから記者会見が行われる予定であることが報告された。今後は、研究の進捗を見ながらPGSに関する小委員会を開催し、情報を共有する必要があることについて提案があった。

7. 臨床効果データベース整備事業について
 桑原委員より、本会が本年度、厚労省臨床効果データベース整備事業として行っているデータベースの整備に伴い、また、7月に予定されている改正個人情報保護法の施行とヒト倫理指針の改定を前に、本会の周産期、腫瘍、ART登録の実情把握を目的としたアンケートが検討されていることが報告された。さらに、実情調査とは別に、学会で3領域のデータベースをまとめて、中央倫理審査を検討していることも報告された。
   石原 理委員:改正個人情報保護法に対応する必要はあるが、現時点で学会がこのようなアンケートを実施することは過剰反応と思われる。2月末に示されるガイダンスを見た後で、慎重に検討してはどうか。指針やガイダンスが示されていない現状で、法律施行までの準備期間も短いが、現行のままで問題が無いようにも聞いている。学会の登録事業を改めて倫理審査する必要があるかどうかに関しても、確定していないと考える。
   齊藤 英和委員:指針とガイダンスが出るまでは、静観するべきではないか?
   苛原 稔委員長:ひとまず委員会内で準備をすることとし、2月末までは実行せず、状況を見定めることとしたい。

8. 「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」の改定について
 久具副委員長より、厚労省小西班で今年度末をめどに、羊水検査や絨毛検査など確定的検査を含めた出生前検査を登録制にする提言が示される見込みであること、NIPT研究は4年が経過し、データをまとめて報告する予定であることが説明された。厚労省小西班研究の終了後はNIPTも登録制とすることが検討されており、「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」の附則の削除が提案された【資料8】。附則が削除されても、施設要件はそのまま残るので、実情に変化はなく、医学会の枠組みの中で実施する予定であることが説明された。特に異論は無く、次回理事会にて検討することとなった。

9. その他
 苛原委員長より、本委員会に関連して、本会から「生殖細胞のゲノム編集に関する合同委員会」に吉村先生を推薦すること、ヒト配偶子・胚を研究に用いる場合の本会ガイドラインの再検討が必要なこと、着床前診断に関する臨床研究のサマリーが求められていること、大阪大学で減数手術に関する臨床研究が提案されていること、生殖に関する臨床倫理委員会のあり方を検討する必要があることが報告された。

 

次回委員会は平成29年3月21日(火)18時30分より学会事務局会議室において開催予定であることを確認し、定刻より20分遅れの20時50分に会議を終了した。

【資 料:】
1.  平成28年度「第3回倫理委員会」議事録(案)
2. 「登録・調査小委員会」報告
3.  ART登録施設の閉鎖等に伴う登録辞退に関する内規(変更案)
4-1. 「着床前診断に関する審査小委員会」報告(答申書、議事録など)
4-2. 2施設からの申請に関する審議事項
4-3. 着床前診断に関する審査の今後の課題
5.  地方連絡委員への調査依頼状、当該会員からの回答(概要)、学会機関誌掲載案
6.  懲戒処分通知書(厳重注意処分、譴責処分)、会告
7.  大谷会員代理人弁護士からの通知書
8.  母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針(改定案)

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