公益社団法人 日本産科婦人科学会

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平成28年度第5回倫理委員会議事録

更新日時:2018年8月2日

平成28年度第5回倫理委員会議事録

日 時:平成29年3月21日(火)午後6時30分~8時
場 所:日本産科婦人科学会事務局「会議室」

出席者(敬称略)
   委員長:苛原  稔
   副委員長:久具 宏司
   主務幹事:桑原  章
   委 員:石原  理、内田 聡子、齊藤 英和、榊原 秀也、佐藤 美紀子、澤 倫太郎、
杉浦 真弓、関沢 明彦、竹下 俊行、寺本 瑞絵、原田 省、平原 史樹、森重 健一郎、
山中 美智子、吉野  修
欠 席:齋藤  豪委員、阪埜 浩司委員
 

 定刻に苛原委員長が開会を宣言し、定例の報告・協議事項に移った。
(前回議事録は未確定のため、次回委員会時に今回分とまとめて確認予定)

1. 登録関係
(1)本会の見解に基づく諸登録(平成29年2月28日現在)
 齊藤委員より、登録・調査小委員会の諸登録について報告があった【資料1】。

(2)着床前診断に関する臨床研究申請・認可、今後の審査について
 平原委員より、着床前診断に関する審査小委員会の結果が報告された【資料2】。習慣流産(反復流産)の条件を満たさないため審査対象外となった案件が数件あること、個人クリニック(複数施設)から再申請があったが、施設内倫理委員会での審議が必要なレベルに達しないため申請却下となったことが説明された。
   森重 健一郎委員:今後の申請のためにも、申請に必要な条件、却下される条件を公開してはどうか?
   平原 史樹委員:具体的な生化学妊娠の定義(HCG値など)を明示することは困難である。客観的な所見を示して申請するように指導しており、詳細な条件の公表に関しては、今後の課題としたい。

(3)PGDデータのまとめについて
   榊原 秀也委員:本会事務局へ報告されているPGDに関するデータを過去にさかのぼり集計している。経過報告が無い施設が数施設あり、報告を催促すること、一部追跡困難な症例があることなどが気になるが、おおむね把握可能であり、次回倫理委員会で報告可能と考えている。
   苛原 稔委員長:今後の着床前診断のあり方を考えるために、一度、データをまとめる必要性が指摘されているので、次回、報告していただきたい。

2. 夫の同意を得ないままに行われた凍結融解胚移植に関する事情聴取について
   苛原 稔委員長:実際に施設名が報道されたり、当該施設から相談された事実は無いが、関係者から指摘を受けたため、当該施設の関係者を招き事情聴取した。当該施設では見解に従った対応が行われていた。問題は、妻が夫の署名を代筆して、移植が実施されたことであり、妊娠・分娩に至って、夫婦間で訴訟になっているとのことであった【資料3】。本件は、処分等の必要はないと考えている。
出席委員からも異論無く、本件は確認のみとなった。

3. PGS臨床研究について
   竹下 俊行委員:先日の倫理委員会終了後、PGS臨床研究に関する記者会見を行い、実施施設名を含む最新の進捗状況を公表した。その時点では施設内倫理審査中であった慶應義塾大学の倫理審査が先日あり、最終的に非承認となった。その理由、議論の経緯は不明であり、詳細を照会したいと考えている。施設内倫理審査で承認された施設で本研究を実施することに変わりは無いが、近々にPGS小委員会を開催し、情報の共有と意見交換を行う予定である。

4. その他
 下記事項に関して、話題提供、意見交換があった。
(1)「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」の改定について
   苛原 稔委員長:前回提案されたNIPTに関する指針の変更(附則の削除)案が、先日の理事会で検討された。将来的には指針の変更(附則の削除)を検討するべきとの意見であったが、現時点では時期尚早とのことで、変更は先送りとなった。

(2) 子宮移植に関して
   苛原 稔委員長:子宮移植に関する検討はしばらく行われていなかったが、議論を再開してほしいとの要望があり、子宮移植に関する小委員会を再招集する予定である。

(3)「胚培養士」の医療行為に関する懸念
   苛原 稔委員長:ART登録施設において「胚培養士」が医療行為を行なっている懸念があることに関して、日本卵子学会から相談があった。本件は生殖・内分泌委員会で検討することとなるが、倫理委員会でも意見を聞きたい。
   原田  省委員:ARTの概要や一般的手技を胚培養士が説明することは、チーム医療として望ましいことではないか?
   桑原 章委員:各症例に、胚個々の移植の可否を胚培養士が患者に直接説明しており、それが医療行為、診断行為になる懸念が指摘されている。医師の関与の有無が問題ではないか?
   澤 倫太郎委員:臨床検査技師は、検査結果、所見は説明しても、最終診断責任は医師が負うことを教育されている。医療系教育を受けていない胚培養士に、このような認識が希薄であることが懸念される。
   石原 理委員:各専門職が医療に貢献しつつ、最終的には医師が責任を負うチーム医療が行われていることを確認する必要がある。
   苛原 稔委員長:胚培養士の関連団体、日本生殖医学会とも協力し、生殖・内分泌委員会で今後検討を行いたい。

(4) ICMART用語集の翻訳に関して
   石原 理委員:ICMART用語集の日本語訳に関する本会としての対応を検討していただきたい。
   苛原 稔委員長:先日の理事会では、教育委員会用語委員会から、今回の用語集改定には間に合わないため、巻末で参照程度なら対応可能との意見であった。
   久具 宏司副委員長:用語集発行に間に合うかどうか、用語委員会に持ち帰り検討したい。

 

 次回委員会は平成29年5月16日(火)18時30分より、学会事務局会議室において開催予定であることを確認し、20時に会議を終了した。

 

【資 料:】
1.「登録・調査小委員会」報告
2.「着床前診断に関する審査小委員会」報告(答申書、議事録)
3. 事情聴取の記録

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