公益社団法人 日本産科婦人科学会

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令和2年度第4回倫理委員会議事録

更新日時:2021年5月24日

令和2年度第4回倫理委員会議事録

日 時:令和3年2月2日(火)午後6時~8時
*Web会議形式にて開催

出席者
 委員長:三上 幹男
 副委員長:苛原  稔
 委員・主務幹事:永松  健
 委 員:石原  理、岩佐  武、織田 克利、片桐由起子、久具 宏司、倉澤健太郎、
     桑原  章、桑原 慶充、小出 馨子、榊原 秀也、佐藤 健二、澤 倫太郎、
     柴原 浩章、関沢 明彦、竹下 俊行、松本 陽子、矢内原 臨、山上  亘
 オブザーバー:木村  正理事長、宮城 悦子臨床研究審査小委員会委員・審査委員長
 欠席者:阪埜 浩司
(敬称略)

<確認事項>
令和2年度第3回倫理委員会議事録(案)【資料1】
前回の議事録について、委員全体で確認した。

<報告・協議事項>
1. 登録関係

(1)本会の見解に基づく諸登録<令和 3 年 1 月 31 日現在>【資料2】
①ヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究に関する登録:94 研究(44 施設)
②体外受精・胚移植の臨床実施に関する登録:623 施設
③ヒト胚および卵子の凍結保存と移植に関する登録:623 施設
④顕微授精に関する登録:592 施設
⑤医学的適応による未受精卵子、胚(受精卵)および卵巣組織の凍結・保存に関する登録:(140 施設)
⑥提供精子を用いた人工授精に関する登録:12 施設

以下の報告が行われた。資料2に沿って説明。
*今年は、45万例の8000例だけが未入力ということで、未入力が少ないので非常にありがたい状況。2020年のデータ収集については、on-goingの状態。
今年の更新施設は36施設、オンラインシステム化が予定されている。
*現在、UMIN側と連絡を取りながら、ART症例登録システムの改修を進めている。2018年以前のデータを、検索対象から外すということを行った。このことで、サーバの負担や、検索にかかる時間の短縮を図ることができると考えている。もし、施設側で過去のデータが必要な場合は、事務局側に依頼して取り出してもらうということは可能。この件について、各施設にお知らせを回す必要がある。

(2) 着床前診断に関する臨床研究申請・認可について【資料3】
・施設申請173件《承認157施設(うち20施設は条件付)、照会8施設、審査中8施設》
・症例申請:968例《承認832例、非承認32例、審査対象外35例、取り下げ5 例、照会55例、保留2例、審査中7件》(承認832例のうち128例は条件付)

以下の報告が行われた。資料3に沿って説明。
*新規申請については、おおむね問題なく承認されたものが多かった。非承認となった1件については、見解では小児期に発症して成人までに重篤となるということで承認としていたが、今回の申請症例はそれに該当しないという判断で、非承認となった。1施設から多数例の照会症例があったが、大多数に対して承認とした。ただ、不十分として問題が指摘された点について、共通の付記をつけることとした。日産婦への申請の同意を取ったかどうかの確認と、第三者カウンセリングの内容の適切な記載ということについてである。審査に時間がかかりすぎて患者への不利益が生じることを回避するために、そのように判断した。
*施設認可について、検査会社と遺伝子解説担当者とが同一の組み合わせになっている施設が非常に増えていることが問題になっている。COIの観点から、こうした組み合わせでの申請は避けてもらうように依頼した。今後、そうした組み合わせでの申請は認めないということを伝えることとなった。

議論の内容
*社会の目から見ると、こうした状況は、COIという視点からは問題視されると考えられる。

2.着床前診断「施設倫理委員会に関する確認書」の回収について

以下の報告が行われた。
確認書を繰り返し出して、確認したことの返事をもらっている。
倫理委員会が適切に行われていなかった件、ICが適切に取られていなかった件、non-PGT-Aの禁止の件、性別の開示を行ったことが判明して研究の停止をした施設があった件、昨年は、3回それぞれについて注意を促している。
今後も、PGTが適切に実施できるように確認書を繰り返し取ってゆくこととしたい。

3.着床前診断非認可施設の不適切な対応について【資料4】

以下の報告が行われた。
審査小委員会の委員から、着床前診断にかかわる問題があるART施設について、報告があった。NT肥厚で紹介となった児に構造異常がありCVSを行ったところ、偶発的にご夫婦に正常バリアントの欠失が見つかった。その妊娠については、児の構造異常のために、その後、中絶となった。その方がかかりつけのART施設で妊娠をトライしようとしたところ、着床前診断でその欠失を確認できるといわれた。そして、患者さんがそのART施設で着床前診断ができるといわれたことを受けて、分娩対応をした施設に、着床前診断をするために分娩時の検体を渡してほしいと言ってきた。という事例が生じている。

議論の内容
*この情報だけであれば、患者ごしの噂のレベルであり、そのART施設に本当に問題があることを確定するのが難しい。できることとしては、着床前診断の全施設に対して注意を出すという方法がある。
*これまで、HP掲載や報道となった場合は、問題となった施設は事務局に呼んで注意してきた。今回は噂のレベルであるが、クリニックが特定できているのであれば、呼び出して注意を行う必要がある。
*全体にアラートを出しても、今回問題となっているクリニックの医師にそれが効果を生じるとは思いにくい。個別的に連絡を取るという対応のほうが良いと思う。
*地方連絡委員に依頼して、そこから施設に手紙を出すという形にする。着床前診断に関する審査小委員会で手紙を準備して実施する。

4.倫理的事項の周知について e-learning学生講義など【資料 5】

議論の内容
*倫理委員会が扱う倫理的事項(日本産科婦人科学会の見解、出生前診断、着床前診断など、会員 10 全員が知るべき倫理講習の必修化)について、生殖医学会で講演した。その内容について、木村理事長からの提案もあり、必修の倫理講習としてe-learning教材化を進める、というアイデアを検討している。e-learning化して、必修項目とする方向もある。
*現在の日産婦の見解は、ほとんど生殖医療にかかわるもので、それ以外は出生前診断のものだけである。そうした生殖倫理についての知識の確認は、生殖医学会の生殖医療専門医試験のところでは現在も厳しく行っている。また、日産婦の約束事であるためUniversalなものではないので、それを全員に周知させるということが適切かどうか、という問題がある。
*生殖医学会でも、生殖倫理についての説明を行っている。しかし、生殖医学会の会員ですら、最新の情報について正確には理解していないということがある。e-learningを作るということについては賛成である。
*ART施設や着床前診断の施設申請の際に、事前にそうしたe-learningを見ておくことを必須化する、というアイデアもある。
*専門医試験の時に使うなど、さまざまな使い方はできるので、ぜひ、e-learning化する方向で進めたい。

5.臨床研究審査小委員会について
(1)知財が発生する可能性のある臨床研究の取り扱いについて【資料6-1】

以下の報告が行われた。
民間企業が絡む知財が発生する可能性がある研究のために、日産婦のデータベースを利用したいという申請があった。主施設での倫理委員会での議論について添付されており、企業との契約についてもそこに入っている。日産婦のデータベースを利用する研究であるが、主施設と企業との間の契約のみでの申請となっている。外部の専門家からご意見をいただいたところ、学会として知財契約をして学会は対価を得るべき、成果物として学会は知的財産を主張するべきとの意見であった。

議論の内容
*学会が取り扱うデータベースを用いた研究で発生する知財について、どうするのかという問題である。個人的には学会も企業との契約を行うべきであり、データベース管理小委員会でご議論いただく必要があると考えている。他の領域のデータベースも関係している。
*臨床データを日産婦が収集する段階で、各施設が承認している研究倫理申請書の内容として、データの提供に伴い知財が発生するような利用についても取り決めがされているのか。もし、その取り決めがなされていない場合は、データを企業が利用することは問題が発生する可能性がある。各領域のデータベースは、まず、病院施設が各患者個人との間の契約に基づいており、そして日産婦が病院施設と契約してデータを集めているという構造である。そして、このデータベースのための情報提供が、各種の研修施設の要件とも結びついているということもあるため、企業へのデータ提供を行う場合に問題視されることも懸念される。その部分をきちんと議論しておく必要がある。 *日産婦が各施設と結んでいる研究計画書では、企業へのデータ提供による2次利用について想定した研究計画書は書かれていない。
*病院施設が提出したデータを、2次的に企業が利用することについては想定していない。そのため、研究計画書の申請内容にないことが行われることは、病院内での患者との信頼関係に支障が生じることが危惧される。
*今回この研究への承認は止めて、データベース管理小委員会でその点を含めて議論する方向とする。

(2)施設倫理委員会で修正承認を受けていない申請について、学会承認後に必ず施設倫理委員会の変更承認書と最新版の研究計画書を送っていただく件【資料6-2】

以下の報告が行われた。
施設の研究倫理委員会で修正が完了していない研究計画書の臨床研究審査小委員会内での修正について、施設内の修正と同時に進めてほしいとの依頼があった。施設側で、各種研究指針の統合に向けて審査の遅れている状態があり、修正承認を急がなければならない事情があり、例外的であるが、同時に進めたいという希望である。

議論の内容
*全国の周産期施設が協力する研究で、周産期委員会の中で急ぎ進めたいという状態と聞いている。施設内の研究倫理委員会の修正承認が出た後で、日産婦への修正申請ということを原則としているが、今回は特殊な事情があるということでお認めしたいと考えている。理事会での承認も得ている。

(3)手順書を求める臨床研究のデータベース登録項目について【資料6-3】

以下の報告が行われた。
*他のデータベースと日産婦のデータベースの間の連結を行いたいという研究申請に対しては、そのための手順を定めた手順書を定めている。より厳しい審査と手順を定めているという状態である。今回は、施設名を利用した連結を行う研究についても対応できるように修正を行うことにした。
*以前に、周産期と新生児のデータを突合したいという研究に対して、その突合に際しての個人情報の取り扱いに関する手順書を作成していた。日産婦事務局内で目の前で突合の処理をして、突合に用いたデータは消去して、外部にはデータを出さないという取り決めをしている。今回は、施設名との組み合わせでの研究もカバーできるような手順書に修正する方向で進める。

(4)PGT-A臨床研究の参加対象基準変更に伴う説明同意文書をホームページ上で公開することについて【資料6-4】

以下の報告が行われた。
これまでに承認された実施中の臨床研究一覧は学会ホームページに掲載
https://www.jsog.or.jp/citizen/jsogpolicy-3
されており、PGT-Aも臨床研究として掲載されている。研究計画書を欲しいという問い合わせがあり、他の研究では資料を掲載している。患者に対する説明文書を学会のHPに公開することとした。

議論の内容
*PGT-Aを実際受けた方が見た場合に、実際各施設で使用している説明文書と同じものでない場合に、問題が生じる可能性がある。
*同意書については、実際に同じ同意書を使っていただいていると考えているが、各施設が困らない範囲でHP上に公開することは問題ないと考えている。説明文書以上のものが必要であれば、個別に問い合わせをしてもらうことでどうか。
*各施設では、それぞれの施設が指定するフォーマットに従って、少し内容を変更したものを使用している場合がある。
*表示の仕方として、同意書(例)としてはどうか。医会でも、分娩誘発同意書は(例)をつけて示している。
*それらを考慮して、HP上への公開を進めたい。

(5)研究期間が経過している臨床研究について【資料6-5】

以下の報告が行われた。
いくつかの研究で、終了報告が届いていない。さらに、問い合わせに返信がないという施設がある。どのように解決するのが良いか困っている。倫理委員会の中で関係のある委員がいる施設については、それぞれの委員から、きちんと対応するように伝えることとなった。

6.NIPTについて
(1)無認定施設に関して

以下の報告が行われた。
無認可施設でHP上に掲載されている産婦人科医について、個別に問い合わせを進めている。胎児クリニックで日産婦の指針を守ってNIPTを行っていない施設の先生などからしばしば問い合わせが来ている状況。連絡をとってもそれに応じない方がいる。 現時点では、NIPT指針の運用が停止している状態のため、旧指針を遵守することを求める通知を日産婦のHP上では出している。改定指針の運用が開始した際には、懲戒の対象となる可能性があることも示している状況。

議論の内容
*各地域での呼び出しができなければ、中央で配達証明での送付を行う対応になる。
*連絡に応じない当該の会員に対して、配達証明での発出を予定する。

(2)厚生労働省「NIPT等の出生前検査に関する専門委員会」の報告について【資料7】

以下の報告が行われた。資料7に沿って説明。
*NIPTについてのファーストタッチに関わる情報については、産婦人科医師が積極的に伝えるという形ではなく、母子手帳配布時や助産師から情報提供という形に落ち着きそうである。システム作りについては、国が関与する協議体が指針策定と運用を行うという方向で、厚生労働省は議論を進めている。
*厚生労働省が設置する協議体において、NIPT実施施設の審査認証を実施するということが考えられている。その場合は、日産婦の指針に沿った認定がそれに代わることになると予想される。

議論の内容
*当事者が協議体に参加する場合に、当時者は妊婦であるということを厚生労働省に伝えている。ただし、妊婦の代表者はだれかということが難しい。その点について、検討が必要。
*NIPTを受けた妊娠女性へのアンケート調査の結果からは、やはり当事者である妊婦の意見をすくい上げることは大切と思う。

7.小児・AYA世代のがん患者に対する妊孕性温存療法研究推進事業について【資料8】

以下の報告が行われた。
がん生殖学会が中心となり、4学会合同会議を行っている。がん生殖医学会の中で、症例登録、施設認定のシステムが存在しているが、ART施設登録などとの関係の中で、日産婦ができることを仕分けしてゆく必要がある。厚労科研補助金による研究として、2021年4月から開始される予定。本会の体制が変わる次期から、登録・調査小委員会の中に小委員会を置いて、学会横断的に、登録などに関して議論を進めていきたい。

議論の内容
*海外では、がん生殖については保険診療で行われている内容である。その方向で進むことを期待したい。
*日産婦の見解では、医学的適応での卵子・胚・卵巣組織の保存ついて規定していて、それを実施する施設登録が行われてきた。本来は、その見解はがん生殖を見据えたものであるが、実際にがん生殖を行うために適切に機能するかについて懸念がある。
*サービスの一環として考えて、凍結保存を申請している施設が多い。埼玉では集約してがん生殖を行っている。東京は50施設程度あり、厳格な体制で、がん生殖を担う施設を地域ごとに集約する必要があるように感じる。
*本人の希望による凍結保存と、がん生殖を目的とした保存を適切に切り分けることが必要。また、保管をどこで行うのかということが重要で、現在の日産婦の認定施設で保管を行うのは危険と考える。
*この研究自体は、施設を絞って行うことが想定されている。医療界全体からの理解を得る必要がある。厚生労働省には、全国大学病院の会議体で周知してもらうように依頼している。
*JOFRのシステムがある。そこでは、Oncologyのデータを確実にとることを目的としている。日産婦の登録は、がんにかかわるデータを取る形になっていない。そのあたりの違いを認識して、細部を煮詰めてお互いの役割の違いを明確にしながら進めることが重要。
*現在、関連学会からそれぞれ委員が集まって、そうした点についても話し合いが行われており、また、今後、実務レベルでの話し合いが進み、倫理委員会へも報告があると思う。

8.PGT-Aに関する小委員会からの報告
(1)臨床研究の進捗状況について

以下の報告が行われた。
*2020年11月までの状況について、中間報告として生殖医学会で報告した。まだ、臨床成績を論じることができるほどにはアウトカムが出ている状態ではない。
*PGT-A研究の状況に関して、検査会社の各社から報告された結果をみると、ABCDの判定の違いが大きい。今後、臨床導入にあたっては、検査施設間の判定の違いを小さくする方策が必要。研究進捗については、2月に再度まとめる予定。
*今後、数多く行っている施設を中心に、モニタリングを行う予定。数日がかかると思うが、次回の3月16日の倫理委員会までに済ませたいと考えている。PGT-A特別臨床研究の情報交換会を、3月上旬までにWebで行う予定。2月末までのデータの集計を開始したい。4月中にPGT-A小委員会を開催して、4月25日の倫理企画セッションPart 2で報告討議予定。

議論の内容
*日産婦学術集会の段階で、ある程度アウトカムが出ているということであれば、見解改定をどのタイミングで進めるのかということを見据える必要がある。
*次の日産婦のキャビネットのタームまでに方針を固めてゆく必要がある。

(2)「インフォームドコンセントに関する確認書」の提出状況について

以下の報告が行われた。
PGT-A研究の適切な実施を目的として、PGT-A参加施設に対してIC取得の徹底を図るよう通知する確認書を配布した。確認書の未提出施設には、督促して回収を進める。

9.ミトコンドリア移植に関する問い合わせについて【資料9】

以下の報告が行われた。
卵子に対するミトコンドリア自家移植が行っている施設があることに対して、メディアからの問い合わせがあった。日産婦としては、臨床研究として行うことについては問題がないと考えている旨の返事を出す予定。

議論の内容
*かつて同じ問い合わせがあり、倫理委員会でも議論した。当時は、母子保健課まで確認をとって、問題ないという返事を得ていた。ただ、ミトコンドリア自家移植自体は、効果の面では、科学的には効果が証明されていない状態である。ただ、研究として、この技術を臨床応用することには問題がないと考えている。おそらく、この技術自体は、この施設以外に広がる可能性は低いと思う。
*このミトコンドリア移植を行っていた会社は現在なくなり、これ以上広がる可能性はないと考えている。かつて、海外でミトコンドリア自家移植によるART成績向上の有無についてのRCTが行われて、有意差がでなかったという結論である。ただ、この記事の内容自体は、誤解を招きやすい記載となっている。ミトコンドリア自家移植とミトコンドリア病に対する移植は、全く異なるものである。
*臨床研究の承認の書類について、「日本産科婦人科学会の倫理委員会で慎重に検討した結果、理事会において臨床研究として行うことの了承を得ました」という記載になっている。これは、対外的には、施設倫理委員会ではなく、日産婦が研究を承認する主体となっているような間違いを与える原因となっており、今後、その記載の方法について、修正が必要と考えている。
*ミトコンドリア移植に対しても倫理的問題があるという立場の方もいるが、そうした考え方の方は多くはないと思う。

10.第73回学術講演会・委員会企画、学会後の説明会について【資料10】

議論の内容
*第73回学術講演会での2つの倫理委員会企画について、日程と会場が決定した。2つの企画が行われる会場は場所が異なっているが距離が近いので今後、2つ目の企画については具体的な内容を確定してゆく必要がある。
*専門医機構の単位認定の対象となるかについては、一つの学術集会の中で、共通講習の付与単位数についての制限が最近厳しくなってきており、学術集会事務局からは、この倫理委員会企画に単位をつけることは難しいとの返事を得ている。

11.「PGT-Mに関する倫理審議会」について
(1)PGT-Mに関する倫理審議会第2部会議後(理事、委員会委員)アンケート結果【資料11-1】

以下の報告が行われた。資料11-1に沿って説明。
*第2部後のアンケートの結果において、医学的判断が優先という部分は、意見が分かれた。臨床倫理委員会を設置できるかということについては、疑問であるという見方が出ている。第三者カウンセリングについても、否定的見方が多い。また、日産婦の意見書と施設の臨床倫理委員会の判断が食い違った場合の問題について、回答者は懸念している様子があった。

(2)2021年2月7日開催「PGT-Mに関する倫理審議会(第3部)」での提案について【資料11-2】

以下の報告が行われた。
*倫理審議会第2部後のアンケート結果を踏まえて、第3部では、修正した提案を準備した。
*「成人に達する以前に」の文言の部分をどうするのかは、今後さらに議論が必要である。
*第三者カウンセリングについて、今後は、自施設内の遺伝カウンセリングを徹底して当事者の署名の入ったチェックリストを提出してもらうことで、第三者カウンセリングは必須としない方向で検討している。
*着床前診断に関する審査小委員会から提出される意見書は、医学的観点の判断ののち、患者の背景情報を勘案して最終判断という流れにすることとした。
*日産婦が主導して開催する、PGT-M臨床倫理個別審査会というものを設置することにした。そして、PGT-M審査小委員会と、その審査会の関係性を、明確なフローにまとめて説明する予定。

議論の内容
*サーベイで記載したが、当事者は申請者とは違うと考えている。当事者は排除される胚の側という考え方もある。胚の側の視点については、どのように担保されることになるのか。「成人に達する前に」の文言がなくなった場合には、その点はさらに重要となる。
*意見書作成の段階で、疾患にかかわる専門家を審査小委員会に加えること、臨床倫理個別審査会の委員の構成にも加えるということで提案して、審議会第3部での議論を待ちたい。

12.精子凍結保存の事例に関する会員からの相談について【資料12】

以下の報告が行われた。
*凍結精子の保存に関する問い合わせについて、成人前に白血病で死亡した方の凍結保存の精子について、遺族から保存を継続して欲しいという要望があり、それに対して施設としてどのように対応すべきか、という問い合わせがあった。

議論の内容
*今回は施設での保存の継続の希望という状況である。なくなった方からは同意が取れないという状態をどのように判断するのか、ということがある。
*見解には、死亡後は廃棄することが記載されているので、通常は、死後すぐに廃棄という考え方でよいと思う。ただし、これは日本産科婦人科学会での見解であって、他学会とは考え方が異なるかもしれないということはある。
*この死後生殖の問題は、難しい問題である。いくつかの裁判での判例があり、そこでは、日本産科婦人科学会の見解が参照されている。法律がないことが最大の問題である。海外では当初禁止していたが、英国での裁判事例では、結局、ベルギーで治療を受けて2人の子供を得たということが生じている。その後、当初禁止していた死後生殖を、後から認める立場の国も出てきている。そのため、こうした問題については、患者になるべく寄り添う形で我々は考えてゆく方がよいが、同時に、相続などの法的な問題との兼ね合いもあるため、慎重な議論は必要。

13.その他
(1)登録・調査小委員会の業務内容の検討状況について

以下の報告が行われた。
ART症例登録について、UMIN側と話し合いを行いながら、ロジカルチェックの強化や入力フォーマットの改変を進めている。

(2)それぞれの小委員会での進捗について【資料 13】

以下の報告が行われた。
*子宮移植に関するWG:日本医学会のほうで提言が近々出される予定。
*第三者が関与する生殖補助医療に関するWG:理事会内の提供配偶子に関する委員会で話がすすんでおり、そちらで骨子が固まったら、倫理委員会側にもフィードバックされて議論が進む予定。
*年度末に各対応をまとめた資料を幹事で作成して、次回の倫理委員会で報告していただきたい。
*2月7日の倫理審議会第3部をご視聴いただき議論を進めてゆきたいと考えている。

(3)今後の倫理委員会の開催予定について
<2020 年度>
次回:2021 年 3 月 16 日(火)18 時より
<2021 年度>
第1 回:2021 年 5 月 11 日(火)18 時より事務局会議室

【資 料:】
1.  令和2年度「第3回倫理委員会」議事録(案)
2.  「登録・調査小委員会」報告
3.  「令和2年度第4回着床前診断に関する審査小委員会」報告
4.  本会会員から寄せられた見解違反に関する情報
5.  20201212 理事会提案資料:生殖医療と生命倫理に関しての講演の必須化について
6-1. 知財が発生する可能性のある臨床研究の取り扱いについて
6-2. 臨床研究審査小委員会の方針まとめ
6-3. 手順書を求める臨床研究のデータベース登録項目について
6-4. PGT-A 臨床研究の最新版同意説明文書
6-5. 研究期間が経過している臨床研究について
7.  厚生労働省「NIPT 等の出生前検査に関する専門委員会」の報告
8.  小児・AYA 世代のがん患者に対する妊孕性温存療法研究推進事業の概要説明
9.  ミトコンドリア移植に関する問い合わせ
10.  倫理委員会企画および ART 施設への説明会について
11-1. PGT-M に関する倫理審議会第 2 部 会議後(理事、委員会委員)アンケート結果
11-2. PGT-M に関する倫理審議会第 3 部での提案について
12.  精子凍結保存の事例に関する会員からの相談
13.  2019-2020 倫理委員会業務まとめ一覧

[倫理見解集]
http://fa.kyorin.co.jp/jsog/readPDF.php?file=73/1/073010001.pdf

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