公益社団法人 日本産科婦人科学会

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平成30年度第5回倫理委員会議事録

更新日時:2019年5月7日

平成30年度第5回倫理委員会議事録

日 時:平成31年2月12日(火)午後6時30分~8時30分
場 所:日本産科婦人科学会事務局「会議室」

出席者
   委員長:苛原  稔
 副委員長:三上 幹男
   主務幹事・委員:桑原  章
   委 員:石原 理、織田 克利、河端 恵美子、久具 宏司、桑原 慶充、齊藤 英和、
     榊原 秀也、佐藤 美紀子、澤 倫太郎、関沢 明彦、竹下 俊行、寺田 幸弘、
     山上 亘、山中 美智子
 欠席者:倉澤 健太郎、杉浦 真弓、阪埜 浩司
<敬称略>
 

 定刻に、苛原委員長が開会を宣言した後、平成30年度第4回倫理委員会議事録(案)【資料1-1】および平成30年度臨時倫理委員会議事録(案)【資料1-2】を確認した後、定例の検討を開始した。

1.登録関係
(1)本会の見解に基づく諸登録<平成31年1月31日現在>
 齊藤委員より、登録・調査小委員会の諸登録について報告があった【資料2-1】。

(2)医学的適応による未受精卵子、胚(受精卵)および卵巣組織の凍結・保存に関する見解の一部改定について
 齊藤委員より、医学的適応で未受精卵子と胚のみの凍結を実施対象とする複数施設から、申請時の倫理審査を行う必然性に対する疑問があること、ガイドラインなどで推奨されている医学的適応による未受精卵子と胚のみを凍結する施設においては、施設内倫理審査を省略することを可能とする見解改訂案【資料2-2】が提案された。加えて、桑原委員より、抗がん剤投与による妊孕性低下のみが適応となっている現在の見解を変更することも、併せて提案があった。

 石原  理委員:卵巣組織の凍結は実験レベルであり、施設内倫理審査は必須と考える。本来、卵子・胚の凍結と卵巣組織の凍結は、別の見解にした方が良い。
 桑原  章委員:卵巣組織の凍結を行う場合は、施設内倫理審査が必須と認識している。誤解が生じないように、「原則必須で、卵子・胚のみを扱う場合は、倫理審査を省略できる」と記載したい。
 久具 宏司委員:「医学的適応」という定義が曖昧で、卵巣組織と卵子・胚では施設要件も大きく異なるので、いずれは見解名の変更も含めて再検討が必要と認識しているが、それには十分な時間が必要である。事務作業の簡素化が今回の発案理由であるなら、見解本文は変更せず、細則のみを変更して、理事会承認とすることが良い。
 苛原  稔委員長:適応の範囲などの検討は、改めて十分議論する必要があるので、現段階では、手続きのみの変更が良いと考える。

(3)着床前診断に関する臨床研究申請・認可について
 榊原委員より、PGDに関する審査小委員会の結果が報告された【資料3-1、当日差し替え資料1】が報告された。

(4)「網膜芽細胞腫」症例の審査結果に対する申請施設からの意見および患者支援団体からの質問への回答案について
 榊原委員より、網膜芽細胞腫非承認の審査結果に対する申請施設からの意見および患者支援団体からの質問をうけて開催された臨時倫理委員会(2018年12月開催)における議論を踏まえ、着床前診断に関する審査小委員会(2019年1月29日開催)で今後の審査基準、審査結果に関する見直しが行われたこと、その内容を含む申請施設および患者支援団体への回答案【資料3-2】が説明された。

 苛原  稔委員長:着床前診断に関する審査小委員会は、施設内倫理審査委員会の質、遺伝学的検査(診断)の科学的妥当性、そして重篤性の判断を行うこととする。判断が明確な場合は、最終案を倫理委員会へ答申する。重篤性や倫理面で判断が困難な事例では、その論点を整理して、倫理委員会へ答申することとする。倫理委員会はその答申をうけ、特に倫理面や重篤性の判断などを行い、最終的には理事会判断で、実施の可否を検討することとしたい。
 榊原 秀也委員:当該症例の審査結果は、既に施設へ回答しており、過去の審査結果を撤回するものではない。今回の回答案は、本会内部での議論の経緯を含めた各質問に対する回答である。今後、同様の症例が審査される場合、あるいは当該症例が新制度で改めて申請された場合は、今回の審議内容に基づいて審査することとしたいが、今回の回答は、そこまで踏み込んで明言はしていない。
 

2.臨床研究審査小委員会について
 三上副委員長より、小委員会での各審査結果が報告された。加えて、改正倫理指針で必要とされる、「他の研究期間への情報の提供に関する記録」の手続きが、一部の施設で行われておらず、問題を指摘されていることが報告された【資料4】。

 山上  亘委員:「改正個人情報保護法に抵触する」という指摘には、誤解が含まれる。しかし、改正倫理指針を遵守する立場から、当該施設を含め、一部のデータ登録参加施設から、実施済みの報告がないので、遵守するように案内を行いたい。また、各施設での注意喚起、確認のため、申請様式1を改めたい【当日資料3】。
 

3.PGT-A特別臨床研究に関して
 竹下委員より、臨床研究の進捗状況が説明され、各施設からの意見をまとめたことが報告された【資料5】。また、今後の研究の見通しが説明された【当日資料2】。
 

4. 母体血を用いた出生前遺伝学的検査に関する検討委員会について
 久具委員より、NIPTに関する指針案(委員会最終案)【資料6】が説明された。

 苛原  稔委員長:9月から数回に分けて行われた検討委員会の最終案が、倫理委員会に提示された。すでに日本医学会には本案を提示しており、日本医学会内の専門委員会で検討するとともに、関連団体(人類遺伝学会、小児科学会、日本医師会、日本産婦人科医会)に提示して、ご検討いただくようにお願いした。 3月の理事会で承認が得られれば、パブリックコメント【当日資料4】を集めて、さらに最終指針とするよう、慎重に検討したい。
 山中 美智子委員:年齢制限を設ける根拠が、不明確であることを指摘したい。陽性的中率が高い妊婦は、何歳でも適切な遺伝カウンセリングを行ったうえで実施できる必要がある。
 久具 宏司委員:元の指針でも、明確な年齢制限はない。年齢制限を設けるかどうかは、各施設で判断していただきたい。
 関沢 明彦委員:連携施設での説明・情報提供と同意をもって遺伝カウンセリングに代えることができる、と記載されているのは、いかがかと思う。遺伝カウンセリングをしなくてもNIPTが実施可能であるかのように読めてしまうので、語弊がある。説明・情報提供と同意により、遺伝に関するカウンセリングを行うこととする、または、遺伝に関するカウンセリングとすることができるなど、記述を再検討していただきたい。
 山中 美智子委員:遺伝看護専門職に関する記載が削除されたのはなぜか?
 河端 恵美子委員:看護協会が認定する遺伝専門看護師も、NIPTに関する遺伝カウンセリングに関与できるようにしていただきたい。
 久具 宏司委員:委員会では、遺伝カウンセリング学会、人類遺伝学会を代表する委員から、産婦人科医や看護師が行う情報提供と説明は、遺伝カウンセリングではないとの度重なる指摘があり、訂正した経緯がある。
 苛原  稔委員長:分娩を取り扱わないが、遺伝的に高度な診療を行っている施設などでの実施を可能にしてほしい、との意見もある。今回いただいたご意見やパブリックコメントを参考に、今後、現行案を最終案に仕上げていきたい。また、この指針は、必要に応じて、定期的に見直すことが必要であると考えている。
 

5.セントマザー産婦人科医院からのAIDの適応に関する質問に関して
 苛原委員長より、セントマザー産婦人科医院からのAIDの適応に関する質問【資料7】が示された。同意する意見はなく、このような適応は認められないことが確認された。
 

6.その他
 桑原幹事より、4月14日(日)の午前中に倫理委員会企画シンポジウムが開催されること、同日の午後にART登録施設を対象とした遺伝学的検査に関する説明会(事前予約制)を行うことが案内された。
 

次回委員会は3月26日(火)18時30分より、学会事務局会議室において開催予定であることを確認し、20時30分に会議を終了した。

今後の委員会開催予定:3/26(火)18時30分より、5/14(火)18時30分より

【資 料:】
1-1.  平成30年度「第3回倫理委員会」議事録(案)
1-2.  平成30年度「臨時倫理委員会」議事録(案)
2-1. 「登録・調査小委員会」報告
2-2.  医学的適応による未受精卵子、胚(受精卵)および卵巣組織の凍結・保存に関する見解の一部改定案
3-1. 「着床前診断に関する審査小委員会」報告(*当日差し替えあり)
3-2. 「網膜芽細胞腫」非承認の審査結果に対する申請施設からの意見および患者支援団体からの質問書についての回答改定案
4.   滋賀医大からの連絡内容、データ提供の届け出用紙(*当日差し替えあり)
5.   PGT-A実務者アンケート
6.   NIPT指針案、細則案
7.   セントマザー産婦人科医院からの質問状

[当日配布:]
1.  平成30年度第4回着床前診断に関する審査小委員会 施設の審査結果一覧
2.  パイロット試験を踏まえた次期臨床研究の見通し
3.  日産婦様式1 日本産科婦人科学会への情報提供に関する記録
4.  パブコメ案

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