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「子宮体がんに対する内視鏡(腹腔鏡・ロボット支援)拡大手術についての指針」について
「子宮体がんに対する内視鏡(腹腔鏡・ロボット支援)拡大手術についての指針」について
更新日時:2025年4月3日
日本産科婦人科学会会員 殿
公益社団法人日本産科婦人科学会
理事長 加藤 聖子
婦人科腫瘍委員会
委員長 川名 敬
本邦において、2014年に子宮体がんに対する腹腔鏡下手術が、2018年にはロボット支援下手術が保険適用となり、子宮体がんIA期に対する内視鏡手術(腹腔鏡・ロボット支援下手術)は広く普及してまいりました。2021年の時点で、全適応症例の53%が内視鏡手術で実施されています。さらに、2020年の保険改定では子宮体がんに対する腹腔鏡下傍大動脈リンパ節郭清術が適用になりました。また、近年、子宮体がん手術においてもロボット支援下手術を実施する施設が増加してきています。しかし、内視鏡(腹腔鏡・ロボット支援)手術での実施は歴史が浅く、また、高難度新規医療技術でもある内視鏡傍大動脈リンパ節郭清術まで行う拡大手術は手術経験を持った術者が行う必要があり、検証を行いながら安全に普及していくべきと考えられます。そこで、日本産科婦人科学会は、日本婦人科腫瘍学会・日本産科婦人科内視鏡学会・日本婦人科ロボット手術学会と協議の上で、子宮体がんに対する内視鏡(腹腔鏡・ロボット支援)悪性腫瘍手術で、特に子宮全摘出術、付属器摘出術および骨盤リンパ節郭清術に加えて拡大手術である傍大動脈リンパ節郭清術を実施する施設に施設登録を義務付け、「子宮体がんに対する内視鏡(腹腔鏡・ロボット支援)拡大手術登録施設」として施設登録のもとで安全に実施し普及させることとしました。
- 当該手術を施行している施設あるいはこれから施行しようとする施設は、腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮体がんに限る)および腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮体がんに対して内視鏡手術用支援機器を用いる場合)にかかわる特掲診療料の施設基準を満たし、内視鏡傍大動脈リンパ節郭清術を3例以上実施した上で、日本産科婦人科学会に対して施設登録を義務付け、保険適用として上記術式を施行できる施設を 「子宮体がんに対する内視鏡(腹腔鏡・ロボット支援)拡大手術登録施設」として学会HPに公表する。
- 「子宮体がんに対する内視鏡(腹腔鏡・ロボット支援)拡大手術登録施設」には、子宮全摘出術、付属器摘出術および骨盤リンパ節郭清術に加えて傍大動脈リンパ節郭清術を実施する施設を「登録施設」とし、子宮全摘出術、付属器摘出術および骨盤リンパ節郭清術のみを実施する(傍大動脈リンパ節郭清術は施行しない)施設は登録施設としての登録は不要とする。なお、登録施設は術者として内視鏡傍大動脈リンパ節郭清術を3例以上実施した経験を有する常勤の医師が所属する。
- 登録施設は、子宮体がんに対する内視鏡(腹腔鏡・ロボット支援)手術を施行した全症例を日本産科婦人科学会の腫瘍登録に登録する義務を負う。
- 子宮体がんに対する内視鏡(腹腔鏡・ロボット支援)手術を実施する場合、患者に対して、国内外の治療成績や自施設の実績等を提示し、当該治療の内容、合併症及び予後等他の術式との差異が分かるように説明を行い、文書を用いて同意を得る。また、患者から要望のあった場合、その都度治療に関して十分な情報を提供する。
- 常勤の日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡あるいはロボット支援手術)と日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医の協力体制の下で、あるいは常勤の鏡視下(腹腔鏡・ロボット支援)手術手技に十分習熟した日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医が実施する。
- K879-2で子宮体がんに対する鏡視下(腹腔鏡・ロボット支援)手術を実施する場合、保険適用に認められている子宮体がんIA期と考えられる範囲で実施すること。また、K627-2で腹腔鏡下傍動脈リンパ節郭清術を実施する場合は、術前の画像診断で比較的大きい腫瘍径のリンパ節腫大を認める場合には、慎重に適応を判断する。