母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)をめぐる一連の報道につきまして
令和2年6月22日
日本産科婦人科学会 理事長 木村 正
倫理委員会委員長 三上幹男
平素より本会の管理運営に絶大なご支援を賜り誠にありがとうございます。令和2年6月20日に行われました定時総会において報告致しました母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)に関する指針に関し、代議員の先生方からご承認をいただき誠にありがとうございました。
本件に関しまして、定時総会前の6月19日付読売新聞による報道をご覧いただくことで先生方に誤解がないようにお知らせいたします。この記事によりますと、本会は小規模診療所に拡大する方針を決めた、とあります。この度、日本小児科学会、日本人類遺伝学会と様々な協議・議論を重ね、それぞれの立場を尊重しつつ、この問題で不安を抱えておられる妊婦やそのご家族のために両会のご支援を頂くことで合意を致しました。この合意に対し日本医学会、日本医師会からも賛同をいただいております。今回の指針においては日本産科婦人科遺伝診療学会が行う講義及び実習を終了し試験に合格された先生が所属するご施設で、小児科の先生との連携をはじめいくつかの条件を満たした上で施設認定を行う形になっております。しかし、学会独自の指針は令和元年6月21日付厚生労働省子ども家庭局母子保健課課長通知により、一時凍結されている形になっております。よって、本年6月20日、私たちが記者会見を行ったのちに一部メディアによってなされた報道の通り、今後、厚生労働省の検討をいただく段階にあります。
現在、検査を請け負う企業が社会的合意を無視してこの検査を実施する誘いを産婦人科医に限らず、全科の医師に無定見に出している状況を認識しております。この検査は極めて重要、かつ非確定的な情報を妊娠中の女性に提供する専門性の高い検査であり、社会的な合意形成を行いつつ行うべき検査と考えます。どうか、会員各位におかれましては誤った情報に基づく行動をされないように改めてお願いを申し上げます。