「母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)」指針改訂についての経緯・現状について
日本産科婦人科学会 理事長 木村 正
倫理委員会委員長 三上幹男
平素より本会の運営に絶大なご支援を賜り誠にありがとうございます。2020年6月20日に行われました定時総会において報告致しました「母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)」に関する指針(厚労省での検討結果を経て運用予定)に関し、代議員の先生方からご承認をいただき誠にありがとうございました。
総会でもご報告いたしましたが、ここに指針改訂の概要・現状についての経緯説明、および①改訂指針(厚労省での検討結果を経て運用予定)、②改訂細則(厚労省での検討結果を経て運用予定)、③旧指針をホームページ上でお示しいたします。だだし、現状では「改訂指針の運用は2019年6月付の厚生労働省子ども家庭局母子保健課課長通知により凍結されており、この課長通知の取り扱いをめぐる厚労省の検討結果を待たねばなりません。ですので、旧指針③に従っての診療をお願いいたします。
「母体血を用いた出生前遺伝学的検査」指針改訂についての経緯
2019年6月に日本産科婦人科学会で承認・報告された「母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)に関する指針」については、2019年6月21日付の厚生労働省子ども家庭局母子保健課長通知に鑑み、運用を中止しておりました。
ここ数年、従来の「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査の指針」が遵守されず、検査についての適切な情報提供がなされないまま行われる認定施設以外の医療機関でのNIPT実施が急増し、妊婦に混乱と不安を引き起こしていることが問題となっております。指針の改訂・運用によって、妊婦やその家族への正しい知識を提供することに加え、これまで以上に妊婦に寄り添ったNIPTの検査体制が確立されることを目指して日本産科婦人科学会では検討を進めてまいりました。さらに日本小児科学会より出された指針に対する基本姿勢(2019年3月5日)、日本人類遺伝学会より出された意見表明(2019年3月29日)をもとに、日本産科婦人科遺伝診療学会のご協力もいただき、指針の改訂作業を行い、理事会で承認を得たのちに両学会にさらに修正を加えた改訂指針を送り検討をお願いいたしました。その結果、両学会より、「受け入れ可能、適切な形での支援は惜しまない」、という返事を頂きました。その上で日本産科婦人科学会では、2020年6月20日に「母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)に関する指針(2000年5月30日 改訂)」(厚労省での検討結果を経て運用予定)を総会で承認頂きました。現在、この改訂指針の運用については現在厚生労働省が前回課長通知をどのように取り扱うかについての検討結果を待っています。再度確認いたしますが、現状では、旧指針③に従っての診療をお願いいたします。
今回の改訂においてこれまでの指針に加えて下記の内容を実施することを書き込みました(以下の内容は厚労省での検討結果を経て運用予定)。
以上