公益社団法人 日本産科婦人科学会

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令和元年度第2回倫理委員会議事録

更新日時:2019年11月27日

令和元年度第2回倫理委員会議事録

日 時:令和元年8月6日(火)午後6時~8時20分
場 所:日本産科婦人科学会事務局「会議室」

出席者
   委員長:三上 幹男
 副委員長:苛原  稔
 主務幹事・委員:織田 克利
 委 員:石原 理、岩佐  武、片桐 由起子、久具 宏司、倉澤 健太郎、桑原  章、
     桑原 慶充、小出 馨子、榊原 秀也、柴原 浩章、関沢 明彦、竹下 俊行、
     阪埜 浩司、松本 陽子、矢内原 臨、山上  亘
 オブザーバー:木村  正理事長
 欠席者:佐藤 健二、澤 倫太郎
<敬称略>
 

 定刻に、三上委員長が開会を宣言した後、自己紹介に続き、令和1年度第1回倫理委員会議事録(案)【資料1】を確認し、議事次第の順番を入れ替えて定例の検討を開始した。

1.登録関係
(3)着床前診断に関する臨床研究申請・認可について<令和1年7月31日現在>
 榊原委員より、PGDに関する審査小委員会の結果【資料3-1】が報告された。そのうえで、榊原委員より、小委員会では審査に3時間以上を要し、積み残しができてしまう状況であることから、施設認定と一部のPGT-SRについてはメール審議で判断することとし、PGT-Mと一部のPGT-SRに議論を注力したいとの提案がなされ、承認された。

(4)「網膜芽細胞腫」症例における再申請について
 榊原委員より、当日配布資料3-3(着床前遺伝子診断の現状について)をもとに説明がなされた。さらに、当日配布資料3-2(再申請の案件:IVFなんばクリニックからの網膜芽細胞腫の症例について)の説明がなされた。2019年7月23日の審査小委員会の議事録、初回申請時の審議内容、平成30年12月25日の臨時倫理委員会での議論についても再度説明があった。

 榊原 秀也委員:PGT-Mにおける「重篤」な状態として、従来、死亡に至らないまでも、人工呼吸器を必要とするなど、生命維持が極めて困難な状態を目安にしてきた。昨年度に、網膜芽細胞腫の申請例について、重篤性の定義について議論がなされた。その際、日常生活が著しく損なわれるものについても重篤と考えるのが当初の定義であったことが確認された。今後、個々の症例においては検討することとなった。この度、本件について再度申請があり、改めて重篤性についての解釈が問われている。
 苛原  稔副委員長:初回申請の際には、小委員会でも委員の立場によって見解が異なり、決められなかった。倫理委員会内でも意見が分かれた。理事会でもすぐには結論を出せず、段階を踏むことが重要であるとの認識で一致した。
 榊原 秀也委員:QOLが著しく損なわれるものも重篤と考えうるが、線引き、規定は難しい。症例をみながら決めることとなった。重篤性についての議論を継続していく旨、3月に回答した。今回、本症例についての審査、適応の線引きについて、再度検討することとなるが、症例としての結論は出しにくく、過去の議事録にあるとおり、小委員会では承認・非承認を決めることができないので、他の学術団体を巻き込んで議論しないと決められないのではないか、という結論に至った。本症例については原因遺伝子が特定されており、遺伝性であり、技術的にはPGT-Mが可能である。国立がんセンターの眼科医師の説明では、視力の低下はあるものの現時点で生命予後は良好と見込まれる。本症例についての重篤性と併せて、承認、非承認、保留の判定についてどのように考えるか、こうした症例を踏まえて、今後の議論をどのように進めるかが問題である。
 三上 幹男委員長:重篤性についてどう決めるかという点について、木村理事長からは、いろいろな会を巻き込むことが必要とのご意見であった。
 苛原  稔副委員長:1998年当初は、FISHが可能かどうかで判断がなされていた。技術は発展してきたが、申請される疾患は、筋ジストロフィーが主であった。そのため、生命予後が不良なもののみを扱われるような状態、思い込みが続いていた。小委員会では、小児科医師の立場から100%の浸透率ではないので行うべきでないという意見が出され、認可しないという返信となった。その後、患者さんや医師から要望書が届いたため、倫理委員会で再度検討を行った際に、今の時代において容認してよいのではないかという意見も多かった。それを踏まえ、12月25日に臨時倫理委員会が開催されたが、本会のみでは決めることのできない内容を含んでいる。不可とはいえないが、本日この場で、可ということもできない。この機に、他の関係者を含めた議論が必要と考える。小児科の医師と産婦人科の医師では考え方が異なる。小児科の医師は、子どもの生命予後、産婦人科の医師は、両親をみることを主においている。時代によって治療が異なるので、治る病気も出てきている。筋ジストロフィーがゲノム編集で治癒しうるという状況もありうる。生命予後はよくても、今回の遺伝性腫瘍を端緒とし、遺伝性・家族性の腫瘍全般に関わる話になってくるため、遺伝性・家族性の関連学会をも巻き込むような大きな議論となりうる。産婦人科学会だけにとどまらず、幅広い意見を求める審議会・検討会が必要な時期に来ている。保留として検討することがよいのではないか。最終的には、産婦人科学会が決定することになると、個人的には考えている。
 三上 幹男委員長:学会の枠組みを超えた横断的な議論を経て、日産婦が決めるやり方が必要と思われるが、今回の症例について、どう考えるか。
 阪埜 浩司委員:待っている患者さんがいる中で、却下であったものについて、保留という判断が許されるのか?重篤性の基準について満たさないという判断を前回はしている。今回、審議中なのか、保留なのか、却下なのか、前回と異なる結論だとすれば、理由が必要となる。今回、重篤性について文言は変えていない。解釈は時代とともに変わりうる。現時点で結論を出せないのであれば、カウンターパートとして次に何をするのかを示す必要がある。前回は、「重篤性について見直していくことを検討して参ります」と回答している。以前、倫理審議会が存在していた。倫理委員会とは別に、第三者、非会員が入れるような審議の場を作るのはどうか?リプロダクティブヘルスライツの概念も普及してきて、今後決められないことも出てくると予想される。基準変更、解釈の拡大という議論だけが先行するのは、避けなければならない。
 三上 幹男委員長:「審議中」という回答に加えて、審議のあり方まで示すのは重要である。
 苛原  稔副委員長:小委員会で却下、倫理委員会でも却下となった。要望が再度出てきた時点で、前向きな意見が多くなった。内容によって、我々の判断が揺れることもありうる。再申請に至る経緯としては、重篤性を考える重要な機会という側面もある。他の学会を入れることにより、主体性が失われることにならないかについても、気を配る必要がある。倫理審議会を設置するとしても、我々が主体性を持つことが重要である。
 阪埜 浩司委員:倫理審議会について規約があるか、確認しておいてほしい。
 三上 幹男委員長:病気で判断するのではなく、患者さん個々に判断していくことも必要である。
 木村 正理事長:特定の病気でなく、トータルで判断する考え方はよいと思う。審議会のメンバー選定において、日産婦が恣意的に選んでいるわけではないことについて、理解を得ることが必要である。
 阪埜 浩司委員:審議会の答申については公開し、意見を募り、倫理委員会の意見をまとめ、会員にもオープンにして決める。恣意的とはとられないのではないか?
 苛原  稔副委員長:マスコミも含めて、公開議論でもよいのではないか。恣意性もクリアされ、対外的にも理解が得られやすい。
 阪埜 浩司委員:倫理審議会で一般の人に入ってもらってもよい。
 久具 宏司委員:再申請を出してよいといった時点で、適切とはいえない面があったのではないか。もう一度提出してもらえば、新たに検討することを認めるような形になってしまう。議論の内容によっては、その症例に対して失礼な状況も生じ得る。1回目の対応のみで再提出がなくても、その後審議してよいはずで、もう一度申請してもらう理由には必ずしもならない。再申請を許容しておきながら、学会としての対応が変わらないのでは、納得が得られにくい。
 苛原  稔副委員長:再申請については、認めるか否かについて言及しておらず、再申請を拒むものではない、というものであった。
 榊原 秀也委員:重篤性について今後も検討していく、という回答を受けた先方が、自発的に出してきたものと考えている。
 桑原  章委員:前回は、生死に関わるかが重視されていた。しかしながら、もともとは、死ななくても重篤なものがあった。
 木村  正理事長:1990年代の吉村先生の説明、議論の記録はあるのか?議論を再開する根拠として、資料があるほうが説明はしやすい。
 榊原 秀也委員:吉村先生の発言は、12月25日の臨時倫理委員会議事録に残っている。
 三上 幹男委員長:かつては、筋ジストロフィーが主であった。今回の症例は、日常生活が損なわれるという点において、初めての申請であり、かつての議論の類とは異なる。見解を忘れていたというわけではなく、解釈として、新たな概念が出てきた、ということである。
 片桐 由起子委員:今までに対象となったことがある疾患が明記されるとよいのではないか。新たなものが出てきたり、同一疾患でも判断が異なったりする場合がある。
 榊原 秀也委員:同じ疾患でも重篤度は変わりうる。新しい治療法で変わってくる場合もある。網膜芽細胞腫についても、生命予後に関わるなどの病状により、委員の意見も変わってくる可能性はある。ただし、症例ごとに決めても、マスコミはシンプルな表現に置き換えうる。
 片桐 由起子委員:診断に至るまでの情報が不十分で、対象とならない場合もあるのではないか?
 阪埜 浩司委員:審議結果には、理由を付けて返却している。
 関沢 明彦委員:同一疾患でも異なる判断がなされたもので、理由、判断基準が明記されている例があるとよい。
 苛原  稔副委員長:疾患名は個人情報とも関わりうる。マスコミは、センセーショナルな記載表現となりうるので、注意が必要である。
 三上 幹男委員長:倫理委員会の規約において、倫理審議会を設置することができる。これを設置して、もう一度重篤性について審議する。今回の症例申請についても、そうした審議中であるという判断となる。審議は公開で実施していけるようなものとしていく。
 竹下 俊行委員:昨年12月25日の臨時倫理委員会における議論では、認めたいという意見が多かった。浸透率が100%でないという審査小委員会委員の意見を受けて、見送られた。マスコミ・世間を入れてその議論をしたら、網膜芽細胞腫は対象とすべきという方向に流れるのではないか。筋ジストロフィーと網膜芽細胞腫で、同様に解釈できるような説明がなされるかもしれない。
 三上 幹男委員長:両親の話、当事者の話も必要となる。本人不在で判断することにも矛盾を感じる。その点も、リプロダクティブヘルスライツに関わる。
 苛原  稔副委員長:この腫瘍とは別の全ての遺伝性腫瘍とならないように、歯止めをかけることも重要である。
 久具 宏司委員:家族の意向が強くなると、日産婦で議論する意義そのものに関わってくる。
 榊原 秀也委員:現在は、施設内倫理委員会で審議する前に、本会の倫理委員会へ症例申請することとなっており、審査小委員会は、見解に基づいて、症例の医学的な妥当性を判断する場であって、最終的には、施設内倫理委員会で着床前診断の実施について審議していただく。ScientificなこととEmotionalなことの議論は別である。「承認、認可」ではなく、「適応あり、適応なし」の用語のほうが適切ではないか?また、学会が決めていいのかという問題も残っている。微妙な症例についての施設の責任は重いものであり、覚悟をもってもらう必要がある。PGT-Mは、そうした施設しか認められない形が必要である。
 三上 幹男委員長:倫理審議会を設置することとし、構成員については検討し、方向性について理事会で諮る。
 倉澤 健太郎委員:厚生科学審議会内で、NIPTも含め、重篤性という議論も出ていた。倫理審議会を作る前に、一度、厚生労働省へ相談に出向いて、国レベルでやってもらえるかどうかを打診してみてもよいのではないか?
 苛原  稔副委員長:審議会を国主導とした場合、患者の言葉を代弁する人は少なくなる傾向がある。倫理学者が多くなる。臨床側の発言が少なくなる懸念はある。形式は非常によいが、患者の意見を吸い上げるという視点では、日産婦主導であるほうがメリットはある。
 三上 幹男委員長:アプローチしていくことも必要である。
 石原  理委員:学会は、Regulationに基づいて決めることは可であるが、最終的な審査は、施設内倫理委員会の責任となるはずである。日産婦のやるべきことと、患者さんの側にいる施設のやるべきことを、明確にするべきではないか?各施設の倫理委員会の信頼性の問題はあるが、本来は、別の次元の話である。科学性、安全性、有効性、コマーシャリズムの排除の担保は学会であるが、倫理性は、本当に学会が担保するものなのか?
 木村  正理事長:「承認」が学会でできるのかという点を考えると、これまでのポリシーと大きく異なるため、倫理審議会でどこまで話すことは可能か、検討が必要である。こちらで準備しながら、厚生労働省にかけあうことも、検討はしてよいと思う。密室で決めているということが指摘されるため、本議論をオープンにしてもよいのではないか?
 榊原 秀也委員:個人情報のことを考えると、議論としては、疾患についてとならざるを得ない。この症例についてではなく、重篤性について、ということになると思われる。
 三上 幹男委員長:まとめると、倫理審議会設置の準備、厚生労働省への相談、審議会の議論内容について理事長、副委員長、榊原委員を含め検討、以上をもって理事会に上程することとしたい。
 倉澤 健太郎委員:日本では、公的なものがなく、日産婦が肩代わりしてきたという背景は、踏まえておきたい。

(1)本会の見解に基づく諸登録<令和 1 年 7 月31 日現在>
 石原委員より、登録・調査小委員会の諸登録について報告があった【資料2-1】。登録数が初めて減少に転じたこと、妊娠予後未入力率が10%以上と高くなっており、入れ替わりも目立つようになっていることを受け、原因を確認中であることも併せて報告があった。

(2)乾マタニティークリニック、明理会中央総合病院におけるART 施設登録抹消について
 石原委員より、【資料2-2】【資料2-3】について説明された。

 石原  理委員:乾マタニティークリニックの院長が逝去された。凍結配偶子など、福島県立医科大学などに引き取られ、ほぼ完了に近い状態となった。ただし、引取先が決まらないパターンとして、返答が得られない、連絡先が変更された、長期保管となっている凍結物の照合ができなくなっている、の3つが報告されている。現実問題として、これ以上進めることは困難であり、ずっと永久に保存しておくこともできないため、倫理委員会のご判断を仰ぎたい。十分に誠意をもって対応されており、凍結胚等の処分は、やむを得ないのではないか。
 明理会中央総合病院においても、凍結配偶子、胚などの移動をさせていたが、決着がつかないものがある。資料2-4の登録抹消に関する内規の通り、慣例として、東京産科婦人科学会から働きかけてもらうように依頼することは可能である。
 三上 幹男委員長:胚の廃棄の同意が得られておらず、連絡がつかない。ART施設が機能していないときの前例は、どのようになっているか。
 桑原  章委員:有効期限が過ぎていて、連絡がつかなくなれば廃棄するという同意はとれており、保管期間を超えて連絡がない場合の廃棄については、本会見解において許可されている。
 三上 幹男委員長:患者の同意なく廃棄する方法が規定されているという認識でよいか。
 桑原  章委員:その同意が取得されていることとなっている。
 久具 宏司委員:本当に、実際の同意書で書かれているのか?
 石原  理委員:確認されているはずである。ただし、民事的な解釈は別となる。
 三上 幹男委員長:登録・調査小委員会の内規の変更は必要か?
 桑原  章委員:内規において、停止とすることは可能であるが、停止後も、極力患者さんへの連絡をとり、同意はそのままで停止届を提出し、同意なく廃棄がなされないように、病院としての努力義務は果たしている。
 阪埜 浩司委員:統一書式の同意書で、凍結胚の廃棄について同意書上の問題はないはずであり、東京産科婦人科学会で確認しておいてもらえばよい。
 三上 幹男委員長:手続きを踏んでいれば、廃棄は可能である。いずれの施設も登録抹消で、凍結保存物の廃棄を可とする。
 

2.PGT-A に関する小委員会について(苛原副委員長)
 (1) 検査会社向け「出生前診断・着床前診断における遺伝学的検体検査品質管理に関する説明会」:7月 2日(火)開催
 (2) 実施施設向け「着床前胚染色体異数性検査の次期臨床研究に関する説明会」:7月19日(金)、8月 2日(金)開催

 苛原  稔副委員長:PGT-Aの次期臨床研究計画ついて、理事会、総会の承認を受け、現在、プロトコールを作成中であり、特に重要なのは次の2点である。
 ・検査会社が重要となるが、日本では約10施設である。本会会告を守るよう、企業に向けて説明会を実施した。
 ・実施候補施設として、68施設を対象に、説明会を2回実施した。説明を行い、質問を受けた段階である。
 プロトコールについては、臨床研究審査小委員会の審査に諮った結果、修正を要することとなり、8月31日の理事会を目処としている。
 三上 幹男委員長:PGT-Aの研究計画を臨床研究審査小委員会で審議しているが、組織上の問題として、審査側の構成が内輪になっていることを指摘されかねないため、小林 浩先生に審査委員長を依頼した。構造的な問題についての議論が必要ではないか?倫理委員会を主導とする研究を倫理委員会内で検討することの妥当性は、問題ないか?徳島大学の倫理委員会で先に承認してもらう方向性について、ご了承いただきたい。
 苛原  稔副委員長:倫理委員会と臨床研究審査小委員会は、もともとは別々であったが、同じ倫理委員会内になった。整合性をとる必要は確かにある。PGT-Aについては、早くスタートしなければ本会のコンプライアンス、求心力にも関わるので、スピードも必要である。この2-3年間待ってもらっている施設に対する理解も重要となる。
 三上 幹男委員長:状況は理解できるが、倫理的に手順を踏んだ上で審査を迅速に進めたい。重要性は十分認識している。
 関沢 明彦委員:NIPTでは、NIPTコンソーシアムで承認、各施設内倫理委員会承認という流れであった。
 竹下 俊行委員:本件については、総会まで通っている。審査小委員会でしっかりとしたプロトコールができれば、進めていくことができる。
 苛原  稔副委員長:6年経過してようやくここまで来たので、確実に進めていただきたい。
 

3.臨床研究審査小委員会について(三上委員長)
 (1)PGT-Aの次期臨床研究に関する研究計画について審査を行った。
 (2)「様式1(日産婦提出用)他の研究機関への情報の提供に関する記録」、「様式2(施設提出用)他の研究機関への既存情報の提供に関する届出書」の差し替えについて【資料4-1、4-2】

 山上  亘委員:周産期、婦人科腫瘍、生殖の各データベース登録事業において記録を残すために使用する本会所定の様式が、HPからダウンロードできるようになっているが、そこに記載されている理事長名、ならびに、データベースを所管する周産期、婦人科腫瘍、登録・調査小委員会の委員長名が6月22日本会改選前の情報となっており、各データベース登録事業及び登録情報に基づく研究の修正申請を現在それぞれ行っているところではあるが、齟齬が生じているため、現状に即したこの変更を先にお認めいただきたい。
 本件について、承認された。

 (3)申請に関するチェックリスト項目追加、周産期・婦人科腫瘍・生殖データ入力フォーム画面のHP掲載について【資料4-3、4-4】

 山上  亘委員:登録の二次利用を行う場合の申請の要否について、事務局負担軽減のためのチェックリストが用意されている。内容を変更したところ、申請を要するにも関わらず、申請不要に回るケースがあったため、内容を精査したところ、申請者資格について不備が生じていたので、必要な修正を行う予定である。
 

4.母体血を用いた出生前遺伝学的検査の現状について

 苛原  稔副委員長:6月22日の理事会において、改定後の新指針が承認され、同日の総会でも了承されたが、その前日に、厚生労働省母子保健課から連絡があり、厚生労働省内で審議会を作って審査することとなった旨が記載された要望書が、当時の理事長宛てに届いた。新旧理事長、久具先生と相談のうえ、新指針を公開はするが、今後については、厚生労働省の審議会の結論を待つこととなった。行政側の審議で、2-3年などと長期化しないようにという点は、口頭にて確認した。審議会については、現在準備中で、秋から始動するのではないか。委員については、本会とは関係のない方が選ばれる見込みである。ただし、二点課題があり、一点は、旧指針で提出されている施設認可申請が20件たまっており、なんとか審議を再開する必要がある。日本医学会の小委員会で検討することとなる点を久具先生と確認した。もう一点は、理事長、倫理委員長とともに、日本医学会へ8月中旬にお伺いして、このたまっている約20件についても相談する予定である。日本医学会の下請けの形で日産婦が施設認定・登録部会の実務を行ってきた経緯があるが、発足当初は費用も件数も少なかったものの、現在は、症例数も約1万件となり、データを収集するだけでもマンパワー・費用がかかるため、日本医学会と相談したい。
 木村  正理事長:本会と日本医学会との間で交わされた覚書きが、もともと不平等な内容であった。日本医学会の傘のもとでのガバナンスに期待していたものの、それがまったくない中で、本会の下請け作業のみが残った。そのため、①覚書きについての交渉が必要である。年度ごとの自動更新で今年度も走っているが、見直しは随時可能であり、その条項に基づいて進める。②施設から提出されてたまったままの認可申請について解消をはかる。③旧指針に則ってさらに申請があった場合に、どう対応するのかを検討する。この3点について、相談する予定である。
 三上 幹男委員長:本会が依頼するための根拠として、当日配付資料を準備した【資料5(当日配布)】。本スライドを公開したいと思うので、内容についてもご検討いただきたい。
 関沢 明彦委員:医療機関名など、事例について具体的に出すことが許容されるか?
 三上 幹男委員長:削除すべき点については、関沢先生、久具先生、苛原副委員長にもご確認いただく。
 木村  正理事長:確定数でないものは、推定とする。世に出すことには意義がある。まずは、門田医学会会長との交渉で用いることから始めたい。
 苛原  稔副委員長:無認可施設への対応も含まれることから、審議会の結論は、すぐに出ないものと見込まれる。厚労科研の募集中で、いまだに不確定な点が多い。
 

5.第三者が関与する生殖補助医療に関する小委員会について
 苛原副委員長より、【資料6】第三者が関与する生殖補助医療に関する小委員会について法務省アンケート結果報告書案(暫定)の説明がなされた。

 苛原  稔副委員長:平成15年頃から、法務省、厚生労働省、学術会議など出されているが、法制化が止まっている。特定生殖医療の法案がまだ通っていない。法務省では、AIDで生まれた場合の出自の考え方についての検討を行い、民法特例を目指している。法務省からの依頼で、AIDに対する考え方についての調査を行った。法務省に提出しているが、Priorityは日産婦となっている。法務省での審議待ちである。親子法に関する審議会で審議されているが、本件についての結論は、一切出ていない。女性の再婚に関する、親子推定の議論が主となっていた。親子法については、この秋の特別国会に出されるが、民法特例については、先延ばしになっている。産んだ人が母親であるという最高裁判例を民法特例にすべきか議論されている。今後動き出すので、我々も準備が必要なため、委員会としても議論していきたい。
 石原  理委員:嫡出推定に関する委員会については、昨年11月から行われており、熱心に議論されている。しかしながら、議事録の公開は限定されている。生殖医療の第三者配偶子を用いて生まれたものが対象となっている。発言者名などは黒塗りとなっている。7月下旬に最終報告が出ているはずであるが、現時点では非公開である。ただし、離婚後の300日問題が主で、戸籍のない子どもの扱いについての議論に矮小化されている。
 

6.その他
 三上委員長より、【資料7】について説明がなされた。倫理委員会業務まとめ一覧を作成し、今後の問題点を把握し、明確にしていきたい。

 次回委員会は、11/12(火)18時より学会事務局会議室において開催する予定である。

以上の議論をもって、20時20分に会議を終了した。

【資 料:】
1.  令和1年度「第1回倫理委員会」議事録(案)
2-1. 「登録・調査小委員会」報告
2-2. 乾マタニティークリニック登録停止届など
2-3. 明理会中央総合病院登録辞退届など
3-1. 「着床前診断に関する審査小委員会」報告
3-2. 着床前診断の実施に関する再申請(当日配布)
3-3. 着床前遺伝子診断の現状について(当日配布)
4-1. 様式1(日産婦提出用)他の研究機関への情報の提供に関する記録差し替え版
4-2. 様式2(施設提出用)他の研究機関への既存情報の提供に関する届出書差し替え版
4-3. チェックリスト項目追加案
4-4. HP掲載案
5.  NIPTの現状(当日配布)
6.  法務省アンケート結果報告書案(暫定版)
7.  倫理委員会業務まとめ一覧

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