日 時:平成30年4月17日(火)午後6時30分~8時45分
場 所:日本産科婦人科学会事務局「会議室」
定刻に苛原委員長が開会を宣言し、平成29年度第4回倫理委員会議事録【資料1】を確認した。
1. NIPTに関連した「遺伝カウンセリング」の構築に関する厚生労働省班研究の進捗状況について
小西先生(独立行政法人国立病院機構京都医療センター院長)および山田先生(京都大学教授)より、NIPTに関連する「遺伝カウンセリング」の構築に関する厚生労働省班研究(小西班、平成26~28年度第一期、平成29~31年度第二期)」の進捗状況について説明があった。【資料2-1、2-2】
石原 理委員:未認可施設でNIPTを受けた妊婦に対する対応は検討されているか?検討されているとして、規制のあり方などに難しい問題を含んでいる。
関沢 明彦委員:CQとして対応している。
久具 宏司委員:未認可施設の存在を追認するものではない。未認可施設に対するレギュレーションは非会員なので難しいが、本会や研究班としては、未認可施設と知らずに検査した妊婦が現実に存在している以上、十分な対策を検討すべきと認識している。
倉澤 健太郎委員:遺伝専門医、認定遺伝カウンセラーが、関連する全てのカウンセリングを対応することが理想であるが、実際のニーズに応えるために現実的な対応も検討する必要があるかと思われる。
小西 郁生先生:学会で指針を作成し、一定の質を確保した実施体制と、判断が難しい症例に対する2次カウンセリングを保証するなどの方策を立てていただきたい。
河端 恵美子委員:医師、カウンセラー以外の職種の関与はどうか?
山田 重人先生:看護師の関与についても検討している。
山中 美智子委員:羊水検査に関してはどのような方向性か?
小西 郁生先生:NIPTと同様に遺伝カウンセリングが重要と認識しており、本会において議論することが必要と考える。
久具 宏司委員:羊水検査に関する本会の指針などを整備する必要がある。
苛原 稔委員長:倫理委員会内に出生前診断に関する小委員会を設けて指針を作成することとしたい。委員長は久具先生とし、メンバーは前回の委員会を参考にし、久具先生と倫理委員長で検討のうえ、次回倫理委員会で提案したい。
2. 登録関係
(1)本会の見解に基づく諸登録<平成30年3月31日現在>
齊藤委員より、登録・調査小委員会の諸登録について報告【資料3】があった。
(2)齋藤シーサイド・レディースクリニックからの提供精子を用いた人工授精に関する登録について
齊藤委員より、AIDに関する新規申請があったが、申請書類に提供精子によるARTが含まれており申請は却下となったこと、審査委員から見解違反の可能性があり調査するべきとの意見があったことが説明された。協議の結果、実際に見解違反している事実は見当たらないため、理由を説明して却下し、経過観察とした【資料4】。
(3)着床前診断に関する臨床研究申請・認可について
榊原委員より、PGD審査小委員会結果【資料5】が報告された。
3. 着床前診断の審査に関する見解、細則、様式の改定について
榊原委員より、前回倫理委員会での意見を加えWGで検討した見解、細則、様式の改定案【資料6-1、6-2、6-3、6-4】が説明された。次回理事会にて本案を協議し、承認されれば、会員からの意見を求めるとともに、5月13日に既実施施設を対象とした説明会を予定していること、その上で6月総会での承認を目指すことが説明された。
山中 美智子委員:重篤性の再検討はどうなっているか?転座を有する夫婦でも、2回流産しないと対象にならないジレンマもある。
榊原 秀也委員:今回はそれらを検討の対象としていない。
久具 宏司委員:今後、重篤性に関する議論が必要と考えるが、結論を得ることは難しい。また、習慣流産を対象に加えた経緯は、流産を繰り返す患者の心情に配慮したものである、合理的な議論が難しい。
4. 臨床研究審査小委員会について
三上副委員長より、専門委員会データベースの利用を希望する研究申請に関する注意点【資料7-1】、申請時の注意点、チェックリスト【資料7-2、7-3】、本会登録事業データベース利用に関する規約【資料7-4】、周産期、腫瘍、生殖データベース登録申請の記録提出用紙の差し替え【資料7-5】、学会ホームページの掲載【資料7-6】について説明があった。
5. PGT-Aに関する小委員会「PGS特別臨床研究」の実施について
竹下委員より、PGS特別臨床研究の進捗状況が説明された。
6. はらメディカルクリニック、小塙医院つくばARTクリニックの訴訟案件に関する対応について
苛原委員長より、凍結胚の取り扱いに関する法的係争事案2件に関して平岩顧問弁護士からの意見を参考に、回答案を作成することが説明された【資料8-1、8-2、8-3】。胚培養士が胚を扱うことに問題は無いこと、夫死亡時は妻に胚所有権があるので凍結したまま本人に返すことを妨げられないこと、胚移植時は改めて夫婦の同意が必要であることが確認された。
7. その他
苛原委員長より、倫理的な案件で会員へ迅速に案内する必要がある場合に関し、学会HPで迅速に周知できるようにすることが提案され、了承された。
次回委員会は、5月15日(火)18時30分より事務局会議室において開催予定であることを確認し、20時45分に会議を終了した。
【資 料:】
1. 平成29年度「第4回倫理委員会」議事録(案)
2-1. 出生前診断実施時の遺伝カウンセリング体制の構築に関する研究(経過報告)
2-2. 平成26~28年度厚生労働科学研究班による提言(2-1.の添付資料)
3. 「登録・調査小委員会」報告
4. 提供精子を用いた人工授精に関する登録申請内容
5. 「着床前診断に関する審査小委員会」報告(答申書、照会文案、議事録など)
6-1. 着床前診断に関する見解改定についての委員会提案
6-2. 〃 細則改定についての委員会提案
6-3. 〃 様式改定についての委員会提案
6-4. 原案に対する倫理委員会委員からのご意見
7-1.「専門委員会データベース情報」の利用を希望する研究申請を行う場合の注意点-個人情報保護の観点より-
7-2. 申請時の注意点
7-3. 申請時のチェックリスト
7-4. 本会の登録事業のデータベース利用に関する規約改定案
7-5. 周産期、腫瘍、生殖データベース登録申請の記録提出用紙(変更前、変更後)
7-6. 臨床研究審査小委員会ホームページの掲載案
8-1. 平成29年度第4回理事会議事録(案)より抜粋
8-2. はらメディカルクリニックからの書面
8-3. 小塙医院つくばARTクリニックからの書面、平岩顧問弁護士からの報告書
9. 報道記事など