公益社団法人 日本産科婦人科学会

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平成21年度第3回倫理委員会議事録

更新日時:2018年8月2日

平成21年度第3回倫理委員会議事録

日 時:平成21年12月4日(金)午後6時30分~8時30分
場 所:日本産科婦人科学会事務局「会議室」
出席者:
   理事長:吉村 泰典
   委員長:嘉村 敏治
   副委員長:久具 宏司
   委 員:安達 知子、石原 理、齊藤 英和、榊原 秀也、澤 倫太郎、竹下 俊行、堀 大蔵、
矢野  哲、山中美智子、渡部 洋

   嘉村敏治委員長より開会の挨拶があり,委員会が開始された。

1.平成21年度第2回倫理委員会の議事録(案)につき検討され、会終了までに異議なく前回議事録は承認された。【資料1】

2.登録関係報告事項
   (1)本会の見解に基づく諸登録(平成21年11月30日現在)
斎藤登録調査小委員長から【資料2】に従って下記のような報告があった。
   ①ヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究に関する登録:46研究
   ②体外受精・胚移植の臨床実施に関する登録:623施設
   ③ヒト胚および卵子の凍結保存と移植に関する登録:623施設
   ④顕微授精に関する登録:505施設
   ⑤非配偶者間人工授精に関する登録:16施設
   齊藤英和委員:登録施設は11月30日現在623で、毎月の審査状況を資料2の2に示す。 毎年20前後の新しい施設が増えている。今年も11月までに16施設が新規に登録された。 ARTオンライン登録状況について、2007年は16万件の登録であったが、2008年は11月30日現在で約18万件の登録を頂いている。最初の治療から妊娠までの項目は入力されているが、妊娠から出産までの画面については記載されていない例があり、もう一度通知して12月いっぱいで締めたい。2009年度分は来年の11月30日に締める予定であるが、すでに14万件が登録されている。2007年までの登録で、色々な問題点があったので、2010年の登録から登録画面を資料の項目について、変更することが報告された。また、自治体の登録はポップアップメニューで選べるようにする。子宮外妊娠を異所性妊娠、内外同時妊娠を異正所同時妊娠に画面を修正する。2007年のデータはPDFファイルであったが、ホームページにはグラフを示しており、今後は年齢別の妊娠率、堕胎率などのデータをホームページにアップしていきたい。
   吉村泰典理事長:自治体入力はどうなるのか?
   齊藤英和委員:自治体入力は別に項目を作り、106自治体をポップアップメニューで選べるように、2010年からできる予定である。
   嘉村敏治委員長:7番に移植胚数別妊娠率があるが、年齢別に出すことはできるのか。
   齊藤英和委員:年齢別かつ移植胚別の妊娠率等を載せている。
   矢野 哲委員:異正所同時妊娠に性という字はいらないか。
   久具宏司副委員長:なくても良い。
   嘉村敏治委員長:性を入れるかどうかということであるが、用語委員会で決まっているのか。
   久具宏司副委員長:異所性妊娠の方は決まっているが、こちらはまだ決まっていない。
   齊藤英和委員:異正所同時妊娠の後に(内外同時妊娠)を付けることでよろしいか。
   嘉村敏治委員長:登録に関する報告、2010年から開始する登録画面の変更についてはよろしいか。
   特に異議無く承認された。

   (2)着床前診断に関する臨床研究申請・認可について
   榊原秀也委員から【資料3】に従って報告があった。 現在までの処理状況は、申請件数:151例(承認122例、非承認4例、審査対象外14例、照会中1例、取り下げ1例、保留1例、審査中9例) 承認111例のうち3例は条件付であることが報告された。
   10月の小委員会では、15症例の申請があり、認可が10例、審査対象外が3例、照会が1例、保留1例であったことが報告された。保留1例は初めて申請があった施設で、施設の認可について少し照会が必要ということで、その確認できてから認可することになった。照会症例は、流産回数が1回、化学流産が5回で、適応から外れる症例であるが、クライアントは高齢であり、化学流産の定義も決まっていないことから、委員会としては5回の流産、化学流産の詳細を聞き、検討したいということで照会とした。審査対象外の3例について、1例は夫が染色体転座保因者で、初回の妊娠は胎児奇形があったため羊水検査で13トリソミーと診断され中期中絶を施行。2回目は15トリソミーであった。13トリソミーで人工妊娠中絶を行っているので審査対象外としたが、夫が染色体転座保因者でありワーキンググループで検討して頂くことにした。2例目は、染色体異常が認められない夫婦で、流産した3回の染色体検査は全て数の異常ということで、審査対象外とした。3例目は今回初めて申請があった施設で、症例は、夫に染色体均衡型転座を認め、習慣流産であったため、承認症例であった。しかし、施設基準等を検討した結果、検査技術担当者が相応しいことを調べた上で、倫理委員会にかけることにした。平原委員が研修施設や申請施設の倫理委員長から聴取した結果、研修・実習歴には問題ないと判断するとのことで、承認となった。
   嘉村敏治委員長:今の3-1、3-2についてはいかがか。
   山中美智子委員:“細胞遺伝学認定士がいること”というのは条件になっているのか
   榊原秀也委員:条件にはなってはいないが、ディスカッションの中で今後その方向が望ましいだろうということになった。
   山中美智子委員:この条件があることは望ましいが、今まではそれが明確でなかった。今までの所にも、今後はその方向で行くのか。
   嘉村敏治委員長:施設基準の改訂は、後で出て来るので、そこで検討する。
   久具宏司副委員長:照会とした症例2について、5回の化学流産の詳細を確認するとのことであるが、実際、どのような回答があれば承認とするのか?
   榊原秀也委員:化学流産の定義自体がハッキリしないということが話題になって、5回の化学流産が曖昧で、詳しく聞かないと分からないという議論になった。
   久具宏司副委員長:この照会文では、5回の化学流産を確認するだけではなく、42歳と高齢であることも考慮するとしている。この照会が何を照会しているか不明であり、対象外とするのか、認めるのか、どちらかにするしかないと思う。
   榊原秀也委員:2歳で化学流産を5回して可哀想だから認めたいというニュアンスが流れて…。もし若くて化学流産5回だったらレスキューしてあげないのかという意見もあった。純粋に、化学流産のことだけに絞って照会としたい。
   安達知子委員:化学流産をどの時期で判断しているのか不明である。例えば、血中hCGで判定したのか、時間が経って自然に出血が始まったことか、それとも、GSがみえる時期にGSを確認しないでいて出血したのか。
   久具宏司副委員長:照会理由が分かるような文章にしないと、何で照会となったか分からない。
   榊原秀也委員:照会文を検討する。
   吉村理事長:審査対象外の1例目が認められない理由は?
   榊原秀也委員:13トリソミーで中期中絶が行われていて、それが流産とはならないということであった。
   山中美智子委員:そういう風に突き詰めていくと、2回目の15トリソミーは?
   吉村理事長:2回目のために審査対象外ということであるなら理解できる。2回目は15トリソミーだから、関係ないと言えるかもしれない。
   安達知子委員:今までは、夫婦どちらかに染色体転座があって、流産を2回していれば染色体異常がなくても認可していた。染色体を調べたから分かったので、調べなければ認められることになる。
   嘉村敏治委員長:先程の文章を少し変えて,照会、対象外の理由が分かるようにして送付するように。その他については承認された。
   石原 理委員:研究方針であるから、できるだけ出生前診断、着床前診断をすることに道を開こうとするのか、それとも、できないようにするのかというポリシーの問題であり、そのスタンスを決めないといけないと思う。

3.着床前診断に関するWG報告(竹下WG委員長)【資料4】
   竹下俊行WG委員長:平成21末にはある程度の答申を出したいという方針でやってきたが、まだ、きちんとした形で答申を出せる状態に至っていない。資料4-1ですが、これは第3回、10月21日に開かれた第3回のワーキングの議事録である。まだ委員の方々がこの議事録に目を通してない状態で倫理委員会の方に先に出て来た。委員の先生方にお目通し頂いて最終案となることが報告された。
   資料4-2は見解の見直しについての諮問を受けたことに対して、第3回までの会議を踏まえた答申案である。私が書いたものそのままが今日の資料としている。
   概要は、着床前診断の見解を見直すべきという議論があり、それを受けて3回の会議を経た結論は、平成18年に出された見解(18年見解)の文言も変更することなく、解釈を加えて審査対象を若干拡大する旨の答申を出すに至った。資料4-2の1に書いているように、「出生児、あるいは死産児の検索により児の不均衡型転座が判明し、それによって両親のいずれかに均衡型転座があることが明らかになった場合、反復流死産の有無に関わらず審査の対象とする」という一つの合意を得た。第1子が死産、あるいは産まれてきて数週間で亡くなったというお子さんの染色体を調べたら、不均衡型転座が見つかった。それが契機となり、親の染色体を調べたら、どちらかに均衡型転座があったという場合、18年見解では反復流産ではないので審査対象外としてきた。しかし、不均衡型転座により不幸な転帰をとった児を持つ親が、着床前診断をそのような事態を回避する手段として利用したいと願う心情は理解しうる。このようなことから、この解釈を追加した。その説明の最後の5行は、審査対象としての重篤な遺伝性疾患は、変異遺伝子に起因する遺伝子病に限定してきたこれまでの立場から一歩進み、染色体異常によるものも含まれるという認識を示すものである。重篤性の判定は、個々の症例に応じて慎重に審議することによって行うことが妥当であると判断した。
   この見解集144ページの(4)で、本法は重篤な遺伝性疾患に限りうんぬんというところがある。この解説をみると、3番目のパラグラフに、本法では受精卵の遺伝子診断のみならず染色体異常や性判定などが可能である。しかしその目的はあくまで重篤な遺伝性疾患を診断することであり、疾患遺伝子の診断を基本とするということが書いてある。もしこの答申書を形にするということになれば144ページも変えなければいけない。今回の方針としては、遺伝子異常ではなく、第1子の不均衡型転座、いわゆる染色体異常もこの重篤性の判断ということで審査する方向になったので、このような形で答申を出したい。
   もう1点、答申案の2ページの2であるが、化学妊娠や子宮外(異所性)妊娠は流産回数に組み入れないとした。その理由については答申案に記載通りである。ところが、この会議のあとの着床前診断の小委員会に5回の化学妊娠という症例が出て来た。このような症例には着床前診断を行ってもよいとの心情を抱く委員は少なからずいた。着床前診断の位置づけは臨床的研究であり、着床前診断がこうしたクライアントにベネフィットをもたらすかどうかを検証するのも学会の責務のひとつであるとの観点から、症例を限定して承認するという考え方もあってよいとのことから追記として書いた。
   (1)着床前診断の審査のスピードが遅いとの指摘を受け、迅速化を計れないかということから、
   1)症例のサマリーの添付をしてもらうこと。サマリーのフォーマットは、榊原先生か平原先生に一任する。2)審査の簡略化。見解にある施設基準を満たした施設からの2回目以降の申請案件のうち、習慣流産の案件で、回数といろいろな条件が整っていれば、持ち回り審査でも良いとの意見があったが、具体的な指針を出すには至らなかった。
   (2)結果の報告用紙は表1のような形にした。
   (3)18年見解の一部改編。これは生殖医学の進歩に伴って現状と合わない部分が出てきたので、別紙1のように、いわゆる18年見解の146ページを変えたいということが報告された。改訂の要旨は、習慣流産に対する着床前診断に関する見解に対する考え方(解説)という所で、数字がかなり細かく書いてあるが、数字も新しく変わることから、数字は入れない方針で書き直したものが別紙1である。 実施医療機関の資格要件の着床前診断の実施者に関する規定が曖昧ということから、別紙1の要件1.のように実施医療機関の資格要件を変更した。2.の遺伝カウンセリングに関しても前の文面等を少し削って書き直した。それから3.の申請手続きはそれほど変わってはいない。4.として、重篤な遺伝性疾患の申請例に対するものと同様に審査小委員会を設置し、症例ごとに対応することにした。
   嘉村敏治倫理委員長:着床前診断に関する見解・解説の見直しは大変な作業であるが。現在までの議論を踏まえて答申案が提示されたが、いかがか。
   竹下俊行委員:別紙1の解説の序文的なところであるが、嘉村委員長にも指摘を受け、一部手直しをしたが、それでもわかりにくい。要は、着床前診断を行っても生児獲得率からみると、しない場合とあまり変わらないという主旨のことが書いてある。最後に、習慣流産したカップルがこのような流産の反復による身体的・精神的苦痛の回避を強く望む心情や、流産を回避する手段の選択肢の一つとして利用したいと願う心情は十分に理解しうるという文言は残した。
   吉村泰典理事長:圧倒的に前より良くなった。今回の資料4-2の見解の見直しについてという部分は、どこかに載せておいた方が良いと思う。見解の後とか、付記とかの形で載せた方が分かりやすい。このケミカルアボーションについては、追記が入って非常に分かりにくい。この辺は一般会員には分かりやすいように、もうすこし検討した方が良いのではないか。
   竹下俊行委員:第3回の議事録にも書いてあるが、このように文書にしないで、内規的な運用で行った方が良いとする意見が多かった。
   吉村泰典理事長:それは尊重したい。
   嘉村敏治倫理委員長:1の部分は、この見解のあとに載せるということか。
   竹下俊行委員:前回の会議で146ページの解説は大きく変えないという結論になったので、載せない方針であった。しかし、見解の見直しについては理事長がおっしゃるようにどこかに載せておいた方が良いかと思っている。
   吉村泰典理事長:この着床前診断のもともの見解はずっと以前に出たものであり、先生が指摘しているように、本法は重篤な遺伝性疾患に限り適用される。それと習慣流産の整合性というのはかなり無理をしている。例えば、本法は重篤な遺伝性疾患ならびに習慣流産において適応される、とした方が非常に分かりやすい。要するに性判別と遺伝子診断をどうするかという時に無理して作った文書であり、それが習慣流産にあてはまっていない。
   石原 理委員:含めるのではなく、並列にしたような書き方の方が良いということか?
   吉村泰典理事長:そうである。習慣流産が重篤な遺伝性疾患かどうかということであり、始めから無理があると思っていた。もしよろしければ、144ページの(4)の所を直した方がいいかもしれない。前から気付いていたことであるが、疾患毎に審査されるのではなく、症例毎に審査されるのでこれも直さないといけない。この辺を含めて、習慣流産についても記載した方がよい。このまま出すよりは、後3ヵ月ぐらいかけて改訂し、2月の理事会に通し、3月からホームページにさらして、6月の総会で認めて頂くということにしてはどうか。習慣流産に関しては今回の方が圧倒的にスッキリしている。だから、着床前診断に関する解説が長すぎるので、単純にした方が分かりやすい。
   久具宏司副委員長:答申ついての内規はやはり見解の解説の後に付けた方がよろしいのでは。
   吉村泰典理事長:その方がいいと思う
   竹下俊行委員:もし文書として残すとしたら、この2番は全部削除した方が良いという感じがする。
   久具宏司副委員長:2番の文字が大きい部分は、現時点での学会のスタンスとすると言っているのであまり揺れている感じはしない。
   竹下俊行委員:これは3回の議論を経てこうなっているので。
   久具宏司副委員長:内規という形でも良いが、どこかに書いておかないといつまでたっても化学流産何回というのが申請されてくる。1番の反復流産の有無に関わらず審査の対象にするというのも出しておかないと、流産するのを待っている人がいるかもしれない
   嘉村敏治委員長:ここが今回の改訂の1番メインの部分であり、以前、異所性妊娠の児を調べた時に染色体異常があるという症例があったが、あれは入らないということでよろしいか。
   竹下俊行委員:あれは入らない。
   吉村泰典理事長:個人的には細かい字は別として見解の付記に書いて貰って、習慣流産に関しては今回の改定案で良いと思う。しかし、着床前診断の見解に対する解説は、前の解説を見直した方が良い。
   竹下俊行委員:前の大浜ワーキンググループの答申を参考にして書こうと思って探したけどホームページには見あたらなかった。議事録は全部あった。
   吉村泰典理事長:あれはホームページには載ってないのでは。
   竹下俊行委員:この見解の解説ということで答申を出したのかもしれない。
   吉村泰典理事長:ワーキンググループで出て来た答申は、倫理委員会、理事会に出すというステップは必要と思う。公式見解として出さないといけない。
   嘉村敏治委員長:そうすると、このワーキンググループをもう少し続けて解説の改訂までを行うということで
   吉村泰典理事長:解説は必要な項目だけを残してして削っていくという方法で、144ページ(4)だけは変えて頂くということで。これは1人でやらないとだめで、末岡先生に頼んだら如何か? 着床前診断の解説の所を簡便なものにして頂いて、竹下先生の所でもう一回検討して頂く。
   竹下俊行委員:承知した。
   久具宏司副委員長:解説はゴジックになっているところだけでもいいような気がする。
   吉村泰典理事長:必要ないと思う。だから末岡先生には簡便にするように言って頂きたい。前から気になっているが、この140ページの会告、ヒトの体外受精・胚移植の臨床応用の範囲についての見解は必要か?削除してもいいと思うが。
   石原 理委員:使命は終えていると思う。
   吉村泰典理事長:体外受精の所にその他の生殖医療としての手段として行われる医療であるという文言が入っているからよろしい。着床前診断のところを大々的に替えることにして、目安には6月の総会に通すことにする
   久具宏司副委員長:体外受精・胚移植に関する見解の項目1.の所に書かれているので文言があるので必要ない。6月の総会に通すためには、2月の理事会に提出して、3月からホームページにさらすようにしなければならない
   嘉村敏治委員長:2月の理事会に間に合わせて改訂するということで、竹下先生よろしくお願いしたい。

4.遺伝カウンセリング講習会開催について起案【資料5】
起案した平原史樹委員が欠席のため榊原秀也委員から資料5について説明があった。着床前診断を行うにあたり、いろんなところで遺伝カウンセリングが行われているが、審査をしてみると審査対象外が多くある。遺伝カウンセリング行う専門医の方々に現在の着床前診断の現況、問題点について情報提供する必要があるということでこの講習会を企画したことが報告された。
   嘉村敏治委員長:これまで行われた2回の講習会の主旨も同じであったのか。この講習会は4年ごとに開催されているのか
   吉村泰典理事長:主旨は同じである。この講習会は人類遺伝学会の点数は付くのか。
   山中美智子委員:点数は付いたと思う。2001年に開催したとき、その後、毎年開催して3回受講したらこの専門医が受けられることになっていた。しかし、現在まで2回しか行われていない。人類遺伝学会の点数がつけば出席者は多いと思う。
   嘉村敏治委員長:これは日産婦主催ということで予算を伴うため、来年度の予算には計上した。いつ頃開催予定か
   榊原秀也委員:来年度に行うことにしている
   吉村泰典理事長:人類遺伝学会のセミナーの点数を集めるのは難しいので、是非点数を付けて貰って欲しい。
   嘉村敏治委員長:主旨もはっきりしているので学会主催で開催することでよろしいか。
承認された。

5. 出生前診断の適応に関する諮問WG設置について【資料6】
   榊原秀也委員:出生前診断の適応に関しての改訂は、前回の理事会に提出して世話人が決定し、現在、世話人の間で少しずつ通信で検討していることが報告された。年度内に作業部会を開きたいとの要望が出された。
   嘉村敏治委員長:改訂すること、世話人の人選については常務理事会を通っているので、作業部会を開催することは問題ない。特に異議無く承認された。

6.見解改定案の理事会提出ならびに学会機関誌掲載について【資料7】
   久具宏司副委員長:資料7が学会誌に掲載する雛形で、その骨子について説明があった。見解の改訂案は3つの部門で行われており、1つめは登録と報告に関する見解で、これは前回の倫理委員会で検討して頂いたものだ。これはリスクマネージメント委員会の答申を受けて改訂した見解案である。2つめはヒト胚及び卵子の凍結保存と移植に関する見解の改訂案で、これは胚や卵子は、誰が権利を有するのか、所有権が誰にあるかを見解の3項に新しい条文を加えたもので、下線部分が改訂された所である。3つめの習慣流産に対する着床前診断に関する見解の改訂は本日の議論を踏まえ、先送りにすることにする。今日は前2つの確認をお願いしたい。
   嘉村敏治委員長:これは常務理事会に提出されたので、次の理事会を通れば一般会員にさらすことになる。
   吉村泰典理事長:このヒト胚及び卵子の凍結保存の件はまだマスコミには出していないのか。
   久具宏司副委員長:まだ出していない、出す場合は、改訂理由を聞かれる可能性があるが、このような案件があったのでという説明は必要と思う。
   嘉村敏治委員長:登録と報告に関する見解では安全管理に対してダブルチェックを行うということが今回のポイントであろうか。
   久具宏司副委員長:ダブルチェックを行うにはどのような組み合わせがあるか分かりやすいように表に示した。
   嘉村敏治委員長:これに件に関してはよろしいか。
異議なく承認された。

7.実母による代理出産について【資料8】
   嘉村敏治委員長から根津会員が代理懐胎を行い、資料8のような新聞報道があったこと、代理懐胎を行った親子の記者会見があったことが説明され、学会としては吉村理事長、倫理委員長名で表8にあるようなコメントを出したことが報告された。
   嘉村敏治委員長:前回の常務理事会では、倫理委員会で処分をするかどうか,どのような処分にするかを検討するように指示された。そこで、皆さんのご意見を聞きたい。
   渡部 洋委員:前の時も倫理委員会で侃々諤々の議論があった。2,3人の方は除名という意見、譴責にするなど意見があったが、最終的にはあまり無益の時間を過ごすのは如何かということで厳重注意を繰り返すということになった。今回も厳重注意でよいのでは
   久具宏司副委員長:読売新聞の根津先生のコメントでは、現在2例が妊娠中で来年出産予定であると述べている。前の厳重注意の後で代理懐胎を行っているから見過ごすことはできない。何らかの対応をしなければいけない。
   石原 理委員:11月25日付でコメントを出したことは非常にいいことであるが、その中で、本会は代理懐胎の立法によるルール作りが早い時期になされることを希望する、と投げてしまうだけでなく、学術会議から2年も経っていることから、行動への道筋を出すなど建設的なことを考えては如何か
   安達知子委員:時代とともにいろいろ変わるかも知れないが、現在、学会として会員を守るために決めている会告に違反する方には注意をして、反復する方には厳重注意をする必要があるのではないか。
   嘉村敏治委員長:この立法によるルール作りに学会として何かできることはあるか。
   吉村泰典理事長:厚労大臣に手紙を書くことぐらいかと考える。
   石原 理委員:手紙一本でもいいからアクションを起こすことが大事と思う。
   澤倫太郎委員:法整備に関して議論することがあるが、禁止することに対しての法整備が凄く必要であるが、認める場合は、法整備はほとんどいらない。
   久具宏司副委員長:認める場合は法整備はいらなくて、認めるとなったら、どういった人を適応とするのか、代理母の条件など学会で決めなさいと投げてくる。
   安達知子委員:一番困るのは商業主義になること、また、その親が代理母になることは妊娠・出産に安全性が保てるかが問題である。
   澤倫太郎委員:アメリカでは何も規制が無く、間に弁護士が入るために透明化されている。商業主義について、根津ガイドラインは母親にしかしないことになっている。出産するものにとっては超高齢出産の危険性を考えなければいけない。
   吉村泰典理事長:学術会議の法律でも、原則禁止というところには当てはまるが、商業主義でなければ処罰されない。
   安達知子委員:娘のお母さんだから問題にならないし、娘の子供を産むということであれば美談にもなる。しかし、もし、息子の母親が代理母になったら、一般の人はかなりアレルギーを感じると思う。
   石原 理委員:そういう事例はフィンランドである。親が息子の子を産んだということになる。
   吉村泰典理事長:代理懐胎が禁止されている。学術会議も禁止している状況下で、根津医師が代理懐胎を行った。これに対して学会がどう対応するか。個人的な考えであるが、会員であれば処分が必要であるが、会員でなければ学会としては何も処分することはない。今回厳重注意にして、そのことを理解し頂くような添え書きをつけたら如何か
   澤倫太郎委員:総会では、前に除名にしたのに今回の処分は手緩い。また、会告の意味合いがないとの意見も出る可能性がある。しかし、会告に規定してなかったら、他にも代理懐胎をする人がたくさんいる可能性があるが、現在根津会員1人である。良識ある会員は会告を遵守している。
   吉村泰典理事長:その意見はいろいろな見識者から聞く。強制力のない日産婦の会告をみんな遵守している。これが産婦人科学会の良さかも知れない。日本の産婦人科医のいい点かも知れない。
   澤倫太郎委員:一般の方からきた匿名メールは非常にすばらしいことが書かれている。
   嘉村敏治委員長:以上の意見をまとめると、厳重注意にするということでよろしいか。
   承認された。
   添え書きは久具先生に下書きしていただくということで、よろしくお願いしたい。

8.その他
   嘉村俊治委員長:他に準備したものはないが、その他何かあるか。
特になし

嘉村敏治委員長の閉会の挨拶で会は終了した。

 

資 料:
1. 前回議事録案
2. 登録・調査小委員会報告
3-1 着床前診断審査小委員会報告
3-2 審査小委員会保留分取り扱いについて
4-1 習慣流産に関するWG議事録案
4-2 答申・習慣流産に関する見解(最終案)
5「生殖医療に関する遺伝カウンセリング相談受入れ可能な臨床遺伝専門医」制度に伴う認定講習会開催に関する件
6.WG設置のお願い
7.機関誌61巻1号掲載委員会提案
8.実母による代理出産新聞記事ならびにそれに対する学会からの発表文書
9.一般の方より代理出産に関する意見

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