日 時:平成24年5月21日(月)午後6時00分~7時30分
場 所:日本産科婦人科学会事務局「会議室」
定刻になり、落合委員長の宣言により議事を開始した。次第に則り、まず平成23年度第4回委員会議事録(案)の確認が行われた。
次に、以下の順で報告・協議・質疑が行われた。
1. 登録関係
(1)本会の見解に基づく諸登録<平成24年4月30日現在>
①ヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究に関する登録:46研究(39施設)
②体外受精・胚移植の臨床実施に関する登録:568施設
③ヒト胚および卵子の凍結保存と移植に関する登録:568施設
④顕微授精に関する登録:506施設
⑤非配偶者間人工授精に関する登録:15施設
⑥ARTオンライン登録状況: 2011年分514施設241,866件
2012年分458施設 78,971件
⑦学会見解に基づく諸登録の更新申請
2011年更新申請:492施設 更新登録辞退:28施設
2012年更新該当施設:25施設
竹下 俊行委員:ARTの実施件数が増加しているとのことだが、震災の影響はなかったのか?
石原 理委員:あまりない。公費補助が3回に増えたことが増加に繋がっていると思う。
(2)着床前診断に関する臨床研究申請・認可について
申請件数:274例[承認238例、非承認4例、審査対象外17例、取り下げ1例、照会中9例、審査中5例、(承認238例のうち7例は条件付)]
(3)着床前診断の実施報告のまとめ及び「審査対象外」の答申について
今回は件数が少なかったので通信で行った。
新規申請2件、再審査1件について審議が行われ、新規のうち2012-11は「認可」、2012-12は転座保因者の核型および診断法について「照会」となった。再審査の症例(2012-3)については、照会事項に関してそれ以上の情報がないという回答であったので着床前診断の適応外となり「審査対象外」とすることになった。
また、「審査対象外」の通知方法について議論した結果、審査対象外は申請の条件を満たさないものであり、「着床前診断の適応外である」ことを盛り込むことを決めた。
2. 生殖医療連絡協議会における協議事項について
(1)ART施設における緊急時行動計画策定の手引き(案)について
すべてのART登録施設は非常事態などに際して、培養中あるいは凍結保存されている胚、卵子、精子などを守り、患者へのケアを継続できるように対応策を練っておく必要がある。4学会は各施設が個別の緊急時行動計画を策定することを推奨し、そのための手引きの案が策定され、生殖医療連絡協議会(日本産科婦人科学会、日本泌尿器学会、日本生殖医学会、日本受精着床学会の4学会)でそれぞれ検討した後に、共同で国への提言を行なう予定であることが報告された。
これについての取扱いを協議した結果、手順としては、日本産科婦人科学会生殖・内分泌委員会のリスクマネージメント委員会から常務理事会、理事会に上程し、パブリックコメントを求めた後に会告として出すことにする。生殖・内分泌委員会でも検討していただき、峯岸生殖・内分泌委員会委員長と落合倫理委員長の連名で6月9日の理事会に上程することを目指す。
(2)「第三者配偶子を用いる生殖医療についての生殖医学会倫理委員会の提言」について
日本生殖医学会倫理委員会は2009年3月に「第三者配偶子を用いる生殖医療についての提言」を学会に報告した。今回、これまでの慎重な議論を踏まえ、関係各機関に対して政策提言を行なう予定であることが報告された。
これに関しては議員立法の動きがあり、本会としては生殖・内分泌委員会に卵子提供WGを立ち上げ、上記の件をこれに委ねていく形で検討して行く方向となったことが落合委員長から報告された。
その他、生殖医学会で行った震災後の各クリニックの回復状況に関するART施設へのアンケート、承認薬ではないプロゲステロン腟剤の扱いの問題についての報告があった。
3. 非配偶者間人工授精に関する申請について学会から施設への照会事項とその回答について
最近のAIDの状況は、精子提供者の匿名性の確保と子どもへの告知をどう両立させていくか、精子提供者をどう選んでいくのかなど、未解決な問題が多い。
昨年度、日本産科婦人科学会倫理委員会登録・調査小委員会に申請された「非配偶者間人工受精に関する登録」更新の際に、各AID実施施設における、AID実施の記録、依頼者夫婦および精子提供者情報の管理実態について、登録・調査小委員会においてその現状を調査した。その結果、一部の施設において、適応や提供者の匿名性などに問題点が認められたので、これ対して指導を行う予定である。
4. 「『ヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究に関する見解/考え方』に関する改定WG委員会」立ち上げの提案について
平成14年の会告以降、様々な研究倫理指針が出され、各施設の倫理委員会が臨床研究を審査するようになり、本会の倫理委員会で審査する必要性とその範囲について再検討する必要があると考えられるため、倫理委員会内にワーキンググループを立ち上げることとなった。
メンバーは倫理委員の石原理先生を委員長とし、倫理委員会内から齊藤英和先生、久具宏司先生、榊原秀也先生、大川玲子先生、他に丸山哲夫先生(慶応大学)、阿久津英憲先生(国立成育医療研究センター)で構成することとなった。
日程としては12月の理事会への上程を目指して倫理委員会、常務理事会へ順次答申を出す予定。12月の理事会後に3ヶ月ほど会員の意見を求めた上で来年の総会で承認を得ることを考えている。
5. 「パーコール法による男女産み分け」に関する問い合わせについての対応報告
岐阜中央病院内科の早川先生から、パーコール法による男女産み分けに関する問い合わせがあった。榊原主務幹事から本件に関する学会のスタンスについて口頭で説明し、了解が得られたことが報告された。
6. 前回委員会において行ったセント・ルカ産婦人科に対する着床前診断に関するヒアリングについて、宇津宮先生より書状を受領した。
これに対して落合倫理委員長および平原着床前診断に関する審査小委員長の連名で回答したことが報告された。
7. 「出生前診断WG委員会」の報告について
3月30日に日本産科婦人科学会事務局にて同ワーキンググループの委員会が、4月15日に神戸にて遺伝医連絡会が開催され、「母体血でのダウン症診断、絨毛検査などのアレイCGH,SNPなどの検査に対して適切な情報提供とプレカウンセリングが必要である」というコンセンサスが得られたことが報告された。
今後の予定としては、次回倫理委員会を経て9月の理事会への上程を目指すことが確認された。最終的にはパブリックコメントの後、来年の総会に改定案を提出する予定。
8. 7月16日開催「遺伝カウンセリング講習会」について
最終的な受講申し込み者数は259名となったことが報告され、プログラム、認定証などの書類を確認した。
9. 倫理委員会の開催日程について
以下の日程を確認した。
[平成24年度]
第1回:7月31日(火)
第2回:11月27日(火)、第3回:平成25年2月21日(木)
[平成25年度]
第1回:4月23日(火)、第2回:5月21日(火)
以上で議事を終了し、閉会となった。