日 時:令和2年3月24日(火)午後6時~8時20分
場 所:日本産科婦人科学会事務局「会議室」
<報告・協議事項>
1. 登録関係
(1)本会の見解に基づく諸登録【資料2-1】
下記の説明が行われた。
1.ART登録数(令和2年2月29日現在)
2.ARTオンライン登録状況(令和2年3月20日現在)
3.学会見解に基づく諸島癆の更新申請
4.安全管理調査票
〇更新申請、安全管理調査票は、例年どおり、570施設から返送を受けている。
(2)平成30年度登録・調査小委員会報告「2017年分の体外受精・胚移植等の臨床実施成績」表6および表11の学会誌掲載データ訂正について【資料2-2】
表11(学会機関誌第71巻11号誤データの掲載ページ:2514ページ、2518ページ)の累積データの訂正を予定している。今後、6月頃の学会誌に訂正号として掲載する予定。
(3)登録・調査小委員会の所管・業務内容についての検討WGの件【資料2-3】
以下について説明が行われた
〇登録・調査小委員会の所管・業務内容についての検討を行う新たなWGを発足することとなり、理事会で承認を受けた。
〇生殖内分泌委員会、倫理委員会、データベース管理小委員会のメンバーで構成した。
〇学会期間中の4/26(日)にこのWGの第1回目を開催する。
〇ART登録に関わる登録・調査小委員会業務の継続的な運営のためには、体制を検討し直す必要がある。PGT-AやPGT-Mについても、適切な登録体制を構築する必要がある。
(4)ART登録施設の実施責任者に対する「専門医」が資格要件である旨の連絡について【資料2-5】
以下について報告が行われた。
〇今回の専門医資格がなくARTを実施していたという事例が生じたことを踏まえて、ART実施責任者には、理事長名による注意喚起の書類を送って、確認を行う予定とした。
(5)着床前診断に関する臨床研究申請・認可について【資料3-1】
着床前診断に関する審査小委員会の状況について以下の報告が行われた。
これまでの累計数
・施設申請161件《承認102施設(うち19施設は条件付)、照会10施設、審査中49施設》
・症例申請:908例《承認796例、非承認28例、審査対象外36例、取り下げ5例、照会26例、保留4例、審査中13件》(承認796例のうち118例は条件付)
〇最近、申請書類の不備が多いという点が問題になっている。見解を2年前に変更し、検査結果や第3者カウンセリングを厳密に求めるようになってから、差戻しになるものが増えている。今回の申請に関しては、欠落している情報について照会を行うこととした。
〇PGT-Mについては、過去の実績がある施設であることを、施設認可の条件に求めている。それに対して、PGT-Aの施設認可については、外部の検査会社の精度管理が合格であれば、これまでの実績がなくとも認可とした。
(6)学会ホームページの着床前診断に関する審査小委員会の画面に、申請上の注意点、申請チェックリスト、よくあるご質問Q&Aを掲載する件について【資料3-2、3-3】
以下の説明が行われた。
〇着床前診断に関わる申請内容の不備を減らす目的で、チェックリスト(資料3-2、3-3)を作成した。今回作成した申請内容のチェックリストについては、資料3-3について理事会に上程し、3/12にHP掲載を行った。
〇チェックリストを作成したのは、不備がある場合には審査が遅れることを申請者に理解してもらい、事務局や委員会側の負担を減らすことが目的である。
2. PGT-M倫理審議会について
(1)第1部の報告【資料4-1、4-2、4-3】
以下の報告が行われた。
〇倫理審議会第1部の会議後アンケートを実施した結果をまとめた。委員(医師と医師以外)、関連学会傍聴者、患者会傍聴者、メディアに分けて集計した。
〇当事者の考え方を適応の可否に入れるべきだということについては、回答者の属性によらず一致しており、当事者の意見を踏まえて適応を考えてゆくということの重要性が高いと考えられた。
〇倫理審議会第1部の振り返りと会議後アンケートを合わせてまとめたスライドを作成した。次の倫理審議会第2部で、最初に提示する予定である。
(2)PGT-M審査小委員会の審査の流れについて【資料4-4】
以下の説明および議論が行われた。
〇着床前診断に関する審査小委員会における申請書のチェック、仕事の分担、審査の流れについて、仕事量を削減するための提案をまとめた。
〇申請時にチェックリストを活用して、申請書類の確認の手間を減らす。
〇申請の要点をまとめた一覧表を申請者に記載してもらうことを考えたい。
〇申請が非承認となった場合には、なぜ非承認であるのかということについて、クライアントへの説明が必要である。
〇今後、審議会の結果を踏まえて、PGT-Mの適応の変更に関する検討を進める。
〇当事者の意見を適応の可否に反映させるため、申請にクライアントからの手紙も添えることを今後考える必要がある。
〇PGT-Mの適応を変えたあとで、審査を同じ委員で行うと、これまでのPGT-Mの承認と同様の考え方のままで適応に変化がないという状態も懸念される。
〇審議会での意見に基づいて、適応決定のあり方を策定する必要がある。
(3)PGT-M倫理審議会第2部の4月19日の開催について
以下の報告および議論が行われた。
第2部は、一旦延期されて4月19日を予定していたが、再延期を行うのか決める必要がある。
〇患者会の方が参加することを予定しているので、COVID-19の問題の状況を考えると、再延期はやむを得ない。
〇第2部、第3部の間を詰めて行うということにしてゆくという方向で、考えるべきであろう。
3. 臨床研究審査小委員会について
以下の報告が行われた。
〇これまでに承認された実施中の臨床研究一覧は学会ホームページに掲載した。
〇「周産期登録事業及び登録情報に基づく研究」について、研究計画書の版の日付を表紙に加筆する軽微な変更があったため、学会HP掲載データの差し替えならびに、会員に一斉メールを配信することにより、その旨の周知を行った。
4. PGT-Aに関する小委員会について
(1)PGT-A臨床研究の進捗状況について
以下の報告が行われた。
〇12月に、ART施設に対する最初の承認を行った。現在、57施設が臨床研究に参加している。ただ、大学病院では、研究倫理審査待ちの状態が多い。大学病院では、研究計画を立てて倫理審査を通すのに、6か月程度かかることが多いようである。
〇PGDの許可を得ている119施設の内、2/3程度の施設がPGT-Aの本研究に参加している。検査施設については、11施設で精度管理の基準をクリアしており、5施設が検討中である。
〇臨床検体の流れについては、クラウドにデータを挙げて、すべてのプロセスを見るということを行っている。すでに、およそ100検体が承認を受けている。ボックスという、クラウド上のサーバとZOOMを用いて、週に1回会議を行っている。概ね、順調に進んでいる。
(2)PGT-A臨床研究の結果が出た後の進め方・運用について【資料5-1】
以下のPGT-Aの今後の進め方について議論が行われた。
〇現在スタートしている2つの研究の内、反復流産不成功例の研究結果が早めに夏から秋にかけて出る予定なので、2020年度中には、運用について考えておく必要がある。
〇PGT-Aは、海外ではすでに一般的に実施されているという現状はあるが、日本においては、やはり、倫理的な問題も絡んでくるので、それも踏まえ考えてゆく必要がある。
〇最終的には、PGT-Aの開始の是非に関して、公開討論で行ってもよい。
〇当事者の立場に立って適切な説明を行い、当事者がPGT-Aを受けるかどうかを選択するということで、問題はないと考えている。
〇PGT-Aについては、一昨年前にすでに公開討論会を行っているが、議論の混乱を避けるために、PGT-Mとは別に進める必要がある。
(3)PGT-Aに関する見解違反の対応について【資料5-2】
以下の報告および議論が行われた。
〇①研究実施に際して実施体制に懸念がある施設、②倫理的な問題があると噂される施設、について、責任者を呼んで事情聴取を行った。
事情聴取の内容を踏まえ、重大な問題があると判断した施設については研究に参加する時期を遅らせて認める方向で考えたい。
〇理事長、倫理委員会委員長名で学会員全体に対して厳重注意の文書を送る予定である。
5. 母体血を用いた出生前遺伝学的検査について
(1)NIPTの新指針に関する動き
以下の報告および議論が行われた。
〇小児科学会からの要望も取り入れて、新指針のすり合わせを進めている。
〇日本人類遺伝学会との話し合いでは出生前カウンセリングという言葉をどうするのか、ということが課題となっている。
〇日本人類遺伝学会からは、遺伝カウンセリングは医師のすべてに必須の技術であるという考え方である旨のご意見を伺った。かなり広い概念で遺伝カウンセリングを捉えるようになっているという、大きな変化を感じた。
〇出生前診断では妊婦に寄り添う姿勢が必要であるというという出生前カウンセリングという言葉が創出された経緯がある。
〇遺伝カウンセリングの概念が以前と異なり、より広い意味を含む内容へと変容してきていると感じている。遺伝カウンセリングという言葉に産婦人科医の専門性を含んだ内容も含まれる方向に変化が出てきている。
〇遺伝カウンセリングの捉え方について、医学教育モデルコアカリキュラムの一部にも含まれる、医師に不可欠な素養であるという考え方になってきている。
〇出生前に関わる遺伝カウンセリングとして、妊娠を継続して診てゆくという産婦人科医としての哲学を含めて議論を進めて欲しい。
〇これまで出生前カウンセリングの言葉が出てきた経緯を聞くと、これは非常に良い言葉であると思う。一方で遺伝カウンセリングという言葉もまた、非常に多くの議論の上に成り立ってきた言葉である。
〇出生前カウンセリングの言葉の認知度は低い現状がある。出生前カウンセリングの概念に基づいた見解を、日産婦として出してゆくことが必要であると考えている。
〇改定したNIPTの指針のなかでは「NIPTに関わる遺伝カウンセリング」の文言としたい。
6. 「生殖医療に関する遺伝カウンセリング受け入れ可能な臨床遺伝専門医 」について【資料7】
以下の議論が行われた。
〇「生殖医療に関する遺伝カウンセリング受け入れ可能な臨床遺伝専門医 」は、臨床遺伝専門医であって、講習を受けた者を日産婦の倫理委員会が認めていた、という経緯がある。このあり方について、生殖内分泌委員会に検討をお願いして、検討してもらうということを考えている。
〇生殖内分泌委員会では、これまで取り扱っていない内容なので、そこに移行するのは難しい。
〇日本産婦人科遺伝診療学会の方で、この専門医についても対応するのがよいのではないかという意見がある。
〇これまで倫理委員会が対応してきたが、整理を進めてゆく必要があると考えている。今後、理事会に上げて、方向性について意見を伺うようにしたい。
7. 日本医学会倫理研修教育研修会について【資料8】
2020年5月19日に予定されている、第6回研究倫理教育研修会に関する資料の確認が行われた。
8. 倫理委員会で扱っているその他の案件について【資料9】
(1)第3者が関与する生殖補助医療に関するワーキンググループについて
以下の報告が行われた。
〇親子法の中で、DVが原因で戸籍に載せられていない子供がいるという状態をどうするか、という話し合いの一部として、代理懐胎の問題が出ている。法務省と厚労省の間で調整中である。
(2)子宮移植に関するワーキンググループについて
以下の報告が行われた。
〇子宮移植は、日本医学会で検討が進んでいる、Rokitansky症候群などの患者が対象である。死体移植については、子宮が対象となっていないので、現状は、生体移植ということになる。
〇医学会としては、数か月で結論を出したいと考えている状態である。ただ、移植学会では反対する意見もある。
(3)ヒト受精胚へのゲノム編集技術などを用いる生殖補助医療研究に関する委員会について
以下の報告が行われた。
〇ゲノム編集技術についての臨床応用を目指して発足したが、現在、コロナ対策のために進んでいない。
9. 各小委員会での審査書類のPDFデータ化について(ART、PGT-M施設認可など)
以下の説明が行われた。
いろいろな委員会の中で、資料のPDF化を進めたい。これは、働き方改革の一環でもある。
10. その他
倫理委員会の開催予定について
<2020年度>
次回:2020年5月12日(火)18時より事務局会議室
2020年8月4日(火)18時より事務局会議室
2020年11月10日(火)18時より事務局会議室
2021年2月2日(火)18時より事務局会議室
2021年3月16日(火)18時より事務局会議室
<2021年度>
2021年5月11日(火)18時より事務局会議室
以上の日程について、決定となった。