平成25年4月12日
公益社団法人 日本産科婦人科学会
理事長 小西 郁生
報道によりますと、最高裁判所は、平成25年2月12日、奈良県立奈良病院の産婦人科医2人が当直勤務の時間外割増賃金を県に求めた訴訟の上告審で、県の上告を退け、当直を時間外労働と認める決定を下しました。これにより、県に未払いの割増賃金の支払いを命じる一、二審判決が確定することになりました。
分娩を取り扱う施設の産婦人科医は、分娩対応を24時間体制で行う必要があります。適正な勤務条件を確保するためには、交代制勤務をとることが望ましいと考えられますが、そのような体制が可能な分娩取扱医療機関は、わが国ではごくわずかしか存在していません。大多数の施設では、夜間・休日について宿日直体制をとり、本来は「常態としてほとんど労働する必要がない勤務のみ」が認められている宿日直勤務において、産婦人科医にとっての通常の業務である分娩の管理および処置等が行われている実態があります。今回の訴訟に対する最高裁判所の判断は、そのような勤務において、適正な報酬が支払われていない実態の是正を求めたもので、きわめて画期的なものと考えられます。
分娩取扱施設の減少が大きな社会問題となっている今日、産婦人科医を増やすことは、わが国の産婦人科医療の持続可能性の確保のために必要不可欠です。しかし、産婦人科医の過酷な勤務に対して適正な報酬が支払われていないとすれば、そのような領域に新たな人材を呼び込むことは到底できません。
わが国の産婦人科医療の安定的確保と向上に責任を有する日本産科婦人科学会として、今後もこの問題の解決のために積極的に取り組んでまいります。そして、この問題を解決する方向に導くために、関係者が以下のように対応することを提言いたします。
記
以上