公益社団法人 日本産科婦人科学会

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不妊症及び不育症を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-A/SR)の先進医療実施方針について患者の皆さまへのお知らせ

更新日時:2022年3月22日

2022年3月22日

不妊症及び不育症を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-A/SR)の
先進医療実施方針について患者の皆さまへのお知らせ

公益社団法人日本産科婦人科学会
理事長 木村 正
倫理委員会委員長 三上幹男
不妊症および不育症を対象とした着床前遺伝学的検査に関する審査小委員会
委員長 苛原 稔

 厚生労働省よりの通達( 不妊治療に関する取組 )ならびに報道等がなされておりますように、4月からいわゆる不妊治療・生殖補助医療に対し、広範囲に保険が適用されます。その一方でPGT-A/SRに対する保険適応は見送られました。これを受けて、日本産科婦人科学会ではこれまで行ってまいりました特別臨床研究と同様の方針で、先進医療Aとして将来の保険適応に向けた研究の実施を先進医療会議に申請をいたしました。去る3月3日に行われました先進医療会議におきまして、重要な内容を含む医療であるので、より厳密な患者登録やモニタリング、統計解析を行いその医療の有効性を示さなければならない先進医療Bとして改めて申請するように指示がありました。先進医療Bは新規がん治療などでその有効性を探索し、保険診療を行えるようにするために行われてきた手法で、参加施設が守るルールや患者登録方法などが先進医療Aに比べ厳格になります。現在、なるべく早く先進医療Bのもとでこの医療の有効性を証明し、将来、保険で行われる体外受精と合わせて保険でPGT-A/SRを適応のある皆さまに提供できるように、鋭意医療チームを組み、申請の準備を行っておりますが、先進医療Bとして認可されるまでには一定の期間を要すると推察されます。また、先進医療Bは一般の新規医療と同様の先端的医療に関する研究ですので実施が認められる医療施設はごく少数で登録できる症例も限られ、事前の予定症例数を超えることは原則的に出来ません。その有効性を統計学的に証明できなければ保険収載は不可となり、有効性を証明出来ても保険収載には相当期間を要します。保険未収載の間は保険のルールに従い、PGT-A/SRを行う場合は体外受精・胚移植の過程全てを私費診療のもとで行なわねばなりません。このルールに従わない医療機関は保険医取り消しなどの厳しい行政処分を受ける可能性があります。私費診療であっても、本会会員がPGT-A/SRを行なった際の予後などは個人情報などを完全に消去した上で本年12月までは本会特別臨床研究として本会に報告され、それ以降は全例登録の形で日産婦ART登録をさせていただき、その結果を一般のART診療と同様に本会として追跡させていただきます。
 PGT-A/SRを行う適応(PGT-AおよびPGT-SRの実施対象について
「なぜPGT-Aの検査対象を限定するのか?」というご質問に対する参考資料)に合致する皆さまには当分の間、大変な経済的ご負担をお掛け致しますが、保険診療のルールに従って社会に受け入れられる形での実施を目指して、なるべく早い段階での先進医療Bの認可に向かうべく、研究体制をこの厳格な制度・条件の下で参加可能な医療機関を募り作ってゆく所存です。患者の皆さまにおかれましてはどうか上記事情にご理解とご協力をお願いいたします。

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