公益社団法人 日本産科婦人科学会

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卵巣腫瘍

更新日時:2018年6月16日

卵巣腫瘍とは

卵巣は子宮の左右に一つずつあり、通常では2~3cmぐらいの大きさです。ここに発生した腫瘍が卵巣腫瘍であり、大きいものでは30cmを超えることもあります。卵巣腫瘍には様々な種類がありますが、その発生起源から表層上皮性・間質性腫瘍、性索間質性腫瘍、胚細胞腫瘍などに大別され、それぞれに、良性腫瘍、境界悪性腫瘍、悪性腫瘍があります。

どのような症状がありますか?

卵巣腫瘍の症状には腹部膨満感(お腹が張って苦しい)、下腹部痛、頻尿などがありますが、小さいうちは無症状で経過することが多く、大きくなったり腹水がたまったりしてから症状が出現することが多いのです。時に腫瘍が破裂したり、茎捻転といって腫瘍がお腹の中でねじれてしまうと突然の強い下腹部痛が出現することもあります。

診断方法は?

診断の手順としては問診に続き、まず外診・内診と超音波検査が行われ、卵巣腫瘍の有無を診断します。また、これにより良・悪性の診断もある程度可能です。超音波検査により腫瘍が嚢胞性(ふくろ状)の場合の多くは良性腫瘍ですが、充実性部分(かたまりの部分)と嚢胞性部分が混在する場合や全体が充実性の場合などでは悪性腫瘍や境界悪性腫瘍を疑います。さらに、詳しく調べる必要があると判断された場合、MRI検査や腫瘍マーカーの測定が行われます。担当医はこれらの結果から総合的に良性腫瘍なのか悪性腫瘍や境界悪性腫瘍なのかを判断します。しかしながら、その精度には限界があり、最終的には手術で摘出した腫瘍の病理組織検査によって診断が確定します。

治療法は?

治療は手術療法が原則であり、悪性腫瘍の場合、その多くは術後に抗がん剤による化学療法が必要となります。手術療法は術前の諸検査により良性腫瘍と診断された場合、腫瘍だけを摘出し、卵巣実質を温存する術式が選択される場合が多いです。また、最近では多くの施設で体への負担が軽い腹腔鏡下手術が行われていますが、腫瘍の大きさや性状、腹部手術の既往などによりその適応は制限されていますので、担当医とよくご相談下さい。境界悪性腫瘍の場合、開腹(お腹を開けて)して子宮、両側の卵巣・卵管、大網(胃と大腸の間の膜)を切除することが基本となります。さらに悪性腫瘍の場合、それに加えてリンパ節の摘出や腫瘍の拡がりによっては腸管や腹膜などの合併切除が必要となることがあります。ただし、境界悪性腫瘍や悪性腫瘍であっても、その種類や拡がり(進行期)によっては健常側の卵巣・卵管や子宮を温存することが可能な場合がありますので、以後の妊娠・出産を希望している方は、担当医とよくご相談下さい。

卵巣悪性腫瘍はその種類と拡がり(進行期)により術後抗がん剤投与の必要性やどの抗がん剤を使用するかが決まってきます。卵巣悪性腫瘍の90%以上は表層上皮性・間質性腫瘍(上皮性卵巣がん)に分類され、若年者を中心に発症する胚細胞腫瘍や性索間質性腫瘍は数%程度、その他には胃がんや大腸がんなどからの転移性腫瘍も見られます。上皮性卵巣がんの場合の術後投与する抗がん剤の種類はタキサン製剤(パクリタキセルなど)とプラチナ製剤(カルボプラチンなど)を用いることが一般的で、ごく初期を除き、病気の進み具合(進行期)や顔つき(組織型)によって、3~4週間隔で、3-8コースの治療を行います。手術に引き続きこの抗がん剤投与を受けた場合の5年生存率はI期(卵巣に限局)で約90%、II期(骨盤内臓器に限局)で約70%、それ以上に進行しているIII・IV期では約30%です。最近はベバシズマブやオラパニブという新しい種類の薬剤(分子標的治療薬)を、これまでの抗がん剤とともに投与することができるようになり、生存率の向上が期待されています。悪性胚細胞腫瘍の場合、シスプラチン、エトポシド、ブレオマイシンという3種の抗がん剤が用いられることが一般的です。この治療を行うことで悪性胚細胞腫瘍の予後は以前より飛躍的に改善されましたが、腫瘍の進展が早いため、できるだけ早期に治療を開始する必要があります。

 

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