わたしのON/OFF 明日に繋がるoff

わたしのON/OFF 明日に繋がるoff 八木 洋也 筑波大学医学医療系産科婦人科学 講師

 この度、吉川裕之教授より、「わたしのON/OFF」というタイトルで原稿執筆の依頼をいただきました。何を書こうか迷いましたが〜ありのままで〜書いてみようと思います。
私のON
 まず、「ON」について。私は筑波大学、産科婦人科学の講師として働いております。医師になって14年目になってしまいました。専門は周産期医学です。お母さんと赤ちゃんにとって今できるベストのケアを行い、ベストの分娩に導けるよう、教員、研修医の先生達と一丸となって診療にあたっています。それ以外にも、細々と胎児遺伝子治療を目指した研究や、医学教育も行っており、てんやわんやですが、充実した毎日を過ごしております。
私のOFF
 続いて「OFF」について。最優先は、ありきたりですが、家族です。家族と過ごす休日は、日々の心身の疲れを癒やしてくれるので、私にとって最も大切な時間です。もう一つ、私にとってかけがえのないものがあります。それは、1月に1回くらい、親父達が集まってやる趣味のバンド練習です。私たちのバンドはボーカル、ギター2人、ベース、ドラムの5人編成で、恥ずかしながら私はボーカルを担当しています。主に1970年代のゴリゴリのロックンロールをカバーしています。RainbowとかLed Zeppelinとか、知りませんよね。練習前後はくたびれた親父達ですが演奏が始まると、別人のようにかっこよくなります。5人のうち、私を入れて3人が医師で、多忙な先生達ですが、どんなに忙しくても練習にはバッチリ楽曲を合わせてきます。難しい曲が「ビシッ!」と合ったときは、全員が無言でニヤニヤしてしまうくらいしびれます。頭を空っぽにして没頭できる、とても大切な時間です。私がこの貴重な「OFF」の時間を保てるのは、ひとえに筑波大学産科婦人科の医局員の多さにあると思います。そして、この医局員数を維持できているのは、幸いなことに最近の入局者が多いのも事実ですが(2年前は5人、1年前は4人、そして今年は7人の予定!)、何よりお子さんを産んでも、産休後に戻ってきてくれる女医さんが多いからだと思います。今の周産期グループは常勤スタッフ7人中、4人が女性(1人産休中)です。女医さん達は全員お子様がおり、全員日中はバリバリ仕事をします。お迎えなどで早めに帰宅しなくてはいけないこともありますがそこは助け合いで、時に支え、支えられで診療を行っております。本当に感謝しております。最後に、産婦人科に入ろうか迷っている男性医師に一言。男性は月経とか分娩とか、女性の痛みがわかりません。わからないからこそ、親身に寄り添って症状を丁寧に確認して治療にあたれます。その気持ちは患者さんに伝わります。「男」であることが産婦人科医になる上で不利になることはほとんどありません。学会のHPで小西 郁生がおっしゃっている通り「女性を守りたい!」という気持ちこそが、産婦人科医になるための必要十分条件だと思います。

2015年10月現在