わたしのON/OFF 明日に繋がるoff

わたしのON/OFF 明日に繋がるoff 林 昌子 日本医科大学多摩永山病院勤務 講師・医局長

私のON
 私は産婦人科医師になって18年目です。入局当時は仕事に明け暮れる生活でした。研修制度の切り替え時期に当たり、後輩の人数が極端に少ない時期でしたので、バリバリ働いており、それはそれで濃厚な良い時期でした。その後結婚し、2人の子供の妊娠出産を経てみると、事態は大きく変化し、仕事を頑張れば家庭内が荒れ、家庭を大事にすれば仕事が出来ない、という事態に直面しました。思うように仕事がこなせずに、「仕事現場に自分が居る意義」について疑問に思うことも有りましたが、幸か不幸か人員不足もあったために、出来る範囲での仕事を行うだけでも歓迎してもらえたため、仕事を続けられました。もちろん家族の支え合いも重要でした。我が家は家事のシェア(夫婦で50%ずつ担当)、「母子家庭と父子家庭の繰り返し」、両親の協力、さらに子供の理解で成り立っています。現在は医局長の立場で、主に週4回の外来と、手術を行い、当直業務も担当しています。また、週1回は病棟カンファレンスも行って若者たちと議論を交わしています。
私のOFF
 趣味と言えるものは色々あります。音楽、スキー、釣りなど、下手の横好きではありますが、時間を見つけては楽しんでいます。日本産科婦人科学会のNST管弦楽団ではキーボードを担当しています。演奏の前は曲に合わせて弾く内容を考え、音を作成します。初回練習の前は毎回、全体の中で最も効果的な音を弾きたいと工夫し、試行錯誤して苦しみますが、大抵、演奏が終わると、達成感のため満足している自分に気づきます。また、失敗して落ち込むことも有ります。まるで論文作成のようだと思います。
世の中には仕事も家事も子供の相手も完璧にこなす「スーパーウーマン」が居るようですが、私は残念ながらそのようにできません。仕事に疲れると家事はおろそかになります。仕事で学校のイベントに行けないと、子どもは「来なくてよかった」と言いながらも何となく怒っています。それなので、休みの日は極力、子どもの相手をとしようと心がけています。
 ところが、子どものペースに合わせるのは大変ですし、家にいれば結局、掃除や食事の支度等で子供の相手をせずに過ごしてしまいます。そこで、我が家は、親の趣味を子供に押し付けるという作戦に辿り着きました。夏休みは海で子供たちと1日中泳ぎ、冬は休日を見つけてスキーに行きます。その他、海釣りなどにも出かけて楽しんでいます。
 「スーパーウーマン」のように、仕事に人生を捧げているような人と同等に仕事をし、かつ、専業主婦並みに家事もこなす、というのは理想ですが、私には難しいので、自分の出来る範囲で精一杯仕事をし、精一杯遊んで、「適当」に過ごし、産婦人科を出来るだけ長く続けられればと思っています。

2019年5月現在