第69回日本産科婦人科学会・学術集会でイクボスのはじめかた~公平性と多様性の両立「お互いさま」を目指して~男女共同参画・ワークライフバランス改善委員会
産婦人科未来委員会
共同企画
今年は、男女共同参画・ワーク・ライブ・バランス改善委員会と産婦人科未来委員会の共同企画としてワークショップを開催した。昨年の第68回学術講演会のワークショップで日本産科婦人科学会は「イクボス宣言」を行ったが、実際にはどのようにしたら良いのかはわかりづらい。そこで、今年の企画は「イクボスのはじめかた」とした。
Part1では岡山大学医療人キャリアセンター地域医療人材育成講座教授の片岡仁美さんとANA人財戦略室人事部ダイバーシティ&インクルージョン推進室長の宇佐美香苗さんに講演いただいた。次いで、Part2では女性クリニックWe!富山の種部恭子さんと秋田赤十字病院の富樫嘉津恵さんの司会でワークショップを開催した。
課題1.
短時間勤務で産休明けに復帰した医師の代わりに、夜の呼び出しや夜間の雑用を担っていた。復帰した医師は産休分を取り返すように手術の執刀を優先的に割り当ててもらっており、自分の執刀の機会は減った。結婚したが夜も不規則で無月経になり、妊活のために離職した。規模の小さな病院では人数が少なくカバーしきれない。
<問題点>
「働き続ける女はなりたくても母親になれない」「母親になった女は一線から退くしかなくなる」両者の間に深い溝
<解決策>
対立の根を探るため、それぞれからヒアリングを行う。両者の間に上司が入って対話する。
働き方だけでなく、キャリアアップにつながる仕事の割り振りについても公平に
課題4.
准常勤や非常勤だと、当然報酬は少ないのは理解できるが、業務内容も常勤の穴埋めで、労働力が充足していると、端に追いやられ、意欲を削がれる。
課題5.
男性医師(他科)と結婚して間もない女性産婦人科医師Aが当直明けに弛緩出血の救命センター搬送事例に対応。本来の当直交代時間には帰れず、一生懸命に対応している様子をみて、「あとは日曜日の日直医師に任せて」とは言い出せなかった。帰宅予定時間に帰らなかったことなどで不満をいわれ、結局そのことがきっかけでAは常勤をやめて非常勤になった。帰宅するように強く指示すべきだったのか。
課題9.
「バリバリ頑張ってきた子持ちの女医の先達」は漬物石だ。このような先例がいると、トーンダウンさせて仕事することができない
課題12.
病院が赤字。時間外勤務を減らすよう指導が入っており、指導医の時間外勤務の手当はほぼない。平日夜の患者家族への病状説明などは無報酬。しかし、手術は増やせ、外来再診は減らせ(待ち時間を短く)、臨床研究や治験はやれ。すべて正しいけどすべて矛盾している。医師の良心だけに期待するようなシステムが限界に近いことに病院上層部が気づいていない。
課題13.
最もケアすべきは「イクボス」たる使命を課せられた主任教授のような立場の人ではないか。