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若手医師育成プログラム
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第64回カナダ産科婦人科学会(SOGC)
参加報告
2008年11月12日 新井隆成(金沢大学)
 第64回カナダ産科婦人科学会(The Society of Obstetricians and Gynaecologists of Canada: SOGC)のAnnual Clinical Meeting(ACM)が2008年6月25日より6月29日まで、冬期オリンピック開催地として有名なカナダのカルガリーで開催された。SOGCは1944年に創設され、現在、産婦人科医のみならず家庭医、看護師、助産師、関連保険専門家3000名以上の会員を有している。SOGCは毎年多くの継続的な医学教育プログラム(Continuing Medical Education: CME)を運営しており、中でもこのACMは、産婦人科と関連サブスペシャリティにおけるCMEの世界的基準を設定する目的を持って行われている。すなわちSOGCが行う全CMEの頂点に位置づけられたイベントである。
 日本産科婦人科学会は、SOGCより招待を受けた落合和徳常務理事、嘉村敏治次期学術集会長、日本産科婦人科学会産婦人科医育成奨学基金制度の一環として選抜された若手医師3名とコンダクター1名を派遣した。選抜された若手医師は、慶応大学小林佑介先生、藤田保険衛生大学西山幸江先生、金沢大学土肥聡先生である。3名はSOGC-Junior Member Committeeの若手医師およびフランス、米国から参加した若手医師とともにACMにおいて企画された国際レジデントプログラムにフル参加し、大いに交流を深めた。

 SOGCのACMは毎年International Women’s Health Symposia Dayに始まる。今回は特にSOGCが行ってきたInternational Women’s Health Programが10周年を迎えたことから、このシンポジウムは本学会のハイライトとして扱われていた。これまでSOGCが押し進めてきた「全女性の性的、生殖的健康と権利を守る活動」を踏まえて、特に発展途上国の先住民女性、若者、難民、国内避難民、そしてHIV感染の女性に対する支援活動における今後の見通しを立てることが、今回のシンポジウムにおける第1目標に掲げられていた。SOGCがFIGOや発展途上国とともに行っている活動等が発表され、今後の活動に向けた活発な討論が繰り広げられた。このような国際貢献活動を学会のオープニングにおいて継続的に行っていることは、誰の目にもSOGCとは何を目的にどんな活動を行っている団体なのかが明確になる点で、すばらしい企画であると印象を強く持った。日本から参加した若手医師たちは、受付で “Special Guest”と書かれた名札、カナダの国旗とSOGCのロゴがプリントされたおしゃれなザックを渡され(写真)、国際色豊かな学会の雰囲気にややカルチャーショックを受けながらも、明日からのレジデントプログラムへ向けて臨戦態勢に入った。
第64回カナダ産科婦人科学会(SOGC) 写真01
中にはたくさんの今学会資料。

 “Resident Professional Development Program”と銘打たれたレジデントセッションは3日間、4つのセッションに分かれて行われた。会場は約30名分の椅子とスクリーンが用意された比較的狭い部屋、SOGC-Junior Member Committeeの事務担当者1名がいる以外このセッションの運営は若手医師によってすべてまかなわれていた。まず初日は、カナダの若手医師たちが発表。レジデントセッション代表の女性若手医師が「カナダにおけるfellowshipの専攻方法や利点/欠点」についての発表、それについての討論が行われた。その後3名のfellowがそれぞれ婦人科腫瘍学、泌尿婦人科学、周産期学について発表を行った。レジデントにとっては差し迫った最も興味深いテーマであり、多くの質問が発表者に向けられ、時には参加者同士が英語をフランス語に通訳し合うというカナダならではの雰囲気の中、活発な討論が行われた。
 FIGO初の女性プレジデントDr. Dorothy Shawが講義を行うというサプライズも用意されていたが、最高の盛り上がりを見せたのはレジデントセッション2日目に行われた海外からの参加者が発表を行うセッションであった。あらかじめ与えられたテーマについて日本、米国、フランスからの参加者が発表を行い、それについて討論が行われた。今回のテーマは4つ。
  1. Contraception「避妊薬」
  2. Breech presentation 「骨盤位」
  3. Therapeutic abortion 「治療的流産」
  4. Hot Topics currently being discussed within your country「自国のトピックス」
 フランスから参加の若手医師の発表後、日本チームの登場。日本チームは昨日の作戦会議で、ジョークを交えながら明るく発表することを計画。これが見事に参加者の心をつかみ、会場は大きな盛り上がりを見せた。カナダ若手医師からの活発な質問にも日本チームは物怖じしない堂々とした対応を見せ、英語、フランス語が飛び交う友好的な国際レジデントセッションとなった。日本チームへの拍手の大きさは、その発表内容とパフォーマンスに対する確かな反応であった。
 ACM期間中は多くの教育セッション、シンポジウムが行われていたが、産婦人科医だけでなく、女性の健康に関わるすべての人たちを意識したプログラムが用意され、幅広い会員層を有するSOGCの活動内容を肌で感じ取ることができた。

 また参加者が交流する場として、連日のようにレセプションが行われ、日本から参加の若手医師たちもOpening Reception、Resident Fun Nightに参加した。Opening Receptionでは、落合、嘉村両先生から、SOGC会長のDr. Guylaine Lefebvre、副会長のDr. Andre Lalonde、FIGO会長のDr. Dorothy Shaw、そしてACOG会長のDr. Sabaratnam Arulkumaranといった女性の健康維持活動を世界的にリードするビッグネームを紹介され、彼らはとても刺激的で貴重な時間を過ごした。レジデントセッションに参加したメンバーが集ったResident Fun Nightでは、参加者全員が打ち解けて互いの状況を意見交換し合い、次回の京都で行われる日本産科婦人科学会に参加する若手医師とは再会を約束し合っていた。

 全日程を終えた後、世界遺産Banffへ観光ツアーをおこなった。過密スケジュールの中、日没が午後10時というカルガリーだからこそ叶ったツアーであった。季節は初夏、8月には雪が降るBanffへの観光はこの頃が最高の季節。学会期間中雨一滴、雲一つない晴天が続いていた。すべての緊張感から解き放たれた参加メンバーたちは、世界で3番目に世界遺産に登録された雄大なロッキー山脈の景色に包まれ、束の間の休息時間を過ごした。そして夜のカルガリーに戻ったとき目にした、オリンピックタワーに灯された聖火の光景も忘れることができない思い出の一つとなった。
 今回SOGCのACMに参加して印象に強く残ったのは、SOGCが「女性の健康と権利を守る」をスローガンに学会をあげて国際貢献活動を継続的に推進していること、産婦人科医だけでなく家庭医や助産師など産婦人科医療に関わるすべての人たちのために学会が運営されていること、そして若手医師たちがとても自主的で元気であることである。このような世界基準を肌で感じ取った日本の若手医師たちが、今後の活動を通して日本発の世界基準を創造していってくれることを期待したい。

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