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生殖補助医療(assisted reproductive technology: ART)の実際
2009年6月23日 
齊藤英和 (倫理委員会 登録・調査小委員会 委員長)

Q1. 生殖補助医療(以下ART)の成功率はどのくらいですか?一般的に何回ぐらいまで行うものなんですかか?

A1. ARTには大きく分けて「体外受精」「顕微授精」「凍結融解胚移植」があります。
  ARTの成功とは、生児を得ること、と定義するのが妥当ですが、転院などで分娩まで経過を追えない症例もあります。妊娠(世界的には胎嚢を認めた妊娠)した率を成功と考える場合が多く、分母には治療したすべての症例、または胚移植した症例を用います。
  2006年の成功率を治療周期総数から見ると、体外受精で19%、顕微授精で15%、凍結融解胚移植で28%という数字が出ています。
  凍結融解胚移植は、すでに受精した凍結胚がある患者さんへの治療なので患者さんの選択がすでにされており、体外受精や顕微授精よりも高い妊娠率が得られます。また、融解後着床できると思われる良好胚を選択して凍結してあることも、原因のひとつと考えられます。さらに、凍結融解胚移植周期は、自然周期、または自然に近いホルモン補充周期を用いるので、体外受精や顕微授精の治療周期に比べて、着床しやすいといわれています。
  これらの治療で妊娠率に最も影響を与える因子は女性の年齢であり、30歳代中ごろから妊娠する能力が顕著に低下します。
  この治療は、何回でも受けることはできますが、妊娠する方のほとんどが、5回までに妊娠していると思われます。

【成熟卵】 第一極体を放出した卵子で、卵を取り巻く顆粒膜細胞が放射状に並んでいる卵子です。

Q2. 他の婦人科疾患の患者さんと比べて「配慮が必要な点」 や「苦慮している点」は、ど んなところですか?

A2. 妊婦さんと一緒の外来だと、不妊治療を受けている患者さんはストレスを受けやすいので、外来時には、なるべく別の場所や時間帯にする必要があります。
 不妊の原因は女性だけでなく男性の場合もあるので、夫婦両者が一緒に治療に向き合えるように、配慮しなければいけません。
 さらに排卵時前後に行う様々な処置や、体外受精の場合の採卵とその前後の処置など、治療が休日に重なることも生じるため、スケジュールも工夫する必要があります。
 いろいろと治療の説明に時間がかかるので、不妊治療に精通している不妊コーディネーターと一緒に、これから行われる治療をよく理解してもらった上で受けられるように配慮するのが大切ですね。


【ICSI】精子の濃度が低いときや、精子の動きが弱いときに、精子1個を細いガラス管に捕らえ、卵細胞の中に入れる操作。写真はちょうど精子を入れ込むところです。

Q3. 一般的に、費用はどのくらいかかるんですか?

A3. ARTは自費診療ですので、費用は各施設まちまちですが一般的に、体外受精が約20~50万円ぐらい、顕微授精が約25~60万円ぐらい、凍結融解胚移植が約10~20万円ぐらいだと思われます。

【8 細胞期胚】       

          精子と卵子をあわせてから約72時間(3 日)後に
      受精した卵子は、8細胞にまで卵割します。

Q4. 他の専門領域と比較して、不妊・生殖医療にかかわる産婦人科医のやりがいや魅力は、どのあたりに感じますか?

A4. やっぱり妊娠が成立したときの患者さんの喜びに接することができた時ですね。
  不妊治療を受けている患者さんは治療後、月経が来るまでの間、非常に大きな期待を抱く傾向がありますが、月経がくるたびの落胆も大きいんです。この落胆を何度も繰り返している方が多く、妊娠したときの喜びは、治療を行ったわたしたち医師にも深く伝わってきます。
 また、卵や精子を直接見ることができ、きれいな質のよい卵を採取できたときの喜びや、受精し分割した胚が透明度の高い等分割した胚のとき、本当に美しいものを見ている喜びがあります。


【胚盤胞期胚】
受精した卵子は、約5 日後に内腔に液を貯めた胚盤胞期胚になります。

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