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産婦人科の“魅力”
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生殖内分泌学の魅力
2009年7月9日 久保田俊郎 (生殖・内分泌委員会委員長)
イブから現代まで
 長年、「イブ」を探す研究が行われてきました。ここでいう「イブ」とは、蛇の誘惑に負けて禁断の果実を食べて、アダムとともに楽園を追放されたあの女性ではなく、人類発生の最初の偉大なる母と考えられる女性のことです。最近の研究のトピックスから、南アフリカの大地で発見された骨を持つ女性が、この「イブ」、すなわち我々人類の共通の祖先ではないかといわれています。

 この「イブ」が生きた時代の地球を支配していたのは、ジュラシックパークで見るような恐竜たちであったでしょう。そして、地球の片隅でこっそりと生まれた人類は、考えることのできる大きな脳みそと、直立歩行で自由になった両手を使って、巨大な体格を持った支配者たる恐竜たちの目に留まらないように、いつも怯えながら、しかし片隅でそっとしかし確かな足取りを歩んでいたことでしょう。

 そして今、我々人類は地球の支配者になった(これは人類の立場からの独断と偏見ですが)わけですが、それでは、ジュラシックパークを我が物顔に闊歩していた恐竜たちに代わって、我々はどうして世界の支配者になれたのでしょうか?

 私は、それは子孫を確実に途切れなく拡大再生産してきた結果であると確信しています。もちろん、偉大なる脳みその良さを指摘したり、直立歩行により手の使用を言う研究者もあるでしょう。ある意味でどれも正解と思います。しかし、私はやはり途切れなく子孫が増え続けた、環境に適応して「Reproduction」できたことが最大の理由ではないかと思うのです。
ヒトの根源である生殖医学とヒトの体を支配・調節する内分泌機能
 この世界に生きる全ての生物は、生まれ、成長し、子孫を残し、死んでいきます。これはヒトと言えども例外ではありません。どんなにヒトが偉そうなことを言っても、未だ不死の薬はありません。すなわち、すべての生物の絶対で最大の仕事は、子孫を残すことにあります。もちろん、霊長類であるヒトは社会機能を営みますが、それも含めて、ヒトでも機能はすべて子孫を残すことに適した機能になっているといっても過言ではないでしょう。ですから、ヒトの体や病気を考える上では、この基本を忘れてはならないと思います。生殖機能は生物で最高に整備された機能であり、その機能は全ての臓器の機能を包含しているはずです。それを研究する生殖医学はヒトの全てを解き明かす学問といえるのではないでしょうか。

 しかし一方で、ヒトの体は多くの臓器が一定の規律に従って調和をしながら営んでいる偉大なる有機体なのです。言い換えれば、臓器の集合体です。個々の臓器はそれぞれの役割を果たすため、個々の働きをしないといけませんが、その上で重要なのは一定の規律に従って調和をとっていることです。このために、体にはすばらしいネットワークが張り巡らされています。これが内分泌・神経・免疫系の機能です。臓器はハードであり、ネットワークを担当する神経・内分泌・免疫はソフトとも言えます。その中で、内分泌系は情報を集め、適切な判断を伝える、まさに体の情報通信機能といえます。この情報通信機能がいかに重要かは、今のITネットワークの発展で世界が大きく変わったことでも実証できます。ITネットワークが世界を変えたことはこの20年の社会の変遷をみれば明らかです。これから発展するのは、このネットワークを上手に使った領域でしょう。そのためには、このネットワークがどのようなものであり、そのような機能があり、これからどのようになっていくのかは、極めて大事な我々の疑問点なのです。これを知れば、これからの社会、すなわち、医学と医療を征服できると思いませんか。
生殖内分泌学は未来のための医学である
 生殖医学と内分泌学の重要性についてお話ししましが、生殖医学の中で内分泌機能を研究するのが生殖内分泌です。そして、医療の面では、不妊治療や更年期障害、メタボリックシンドローム、骨粗しょう症などの女性医学を担当する学問です。また、不妊治療に革命を起こした技術である生殖補助医療も、生殖内分泌学の領域に入ります。

 聡明な皆さんには、すでにお分かりいただけたと思いますが、ヒトの根源機能を研究する学問である生殖・内分泌学の発展は、ヒトの機能全体を解明することに繋がります。そしてその応用である生殖医療技術は、これからの医学のまさに基本となる医療技術なのです。

 医学生や研修医のみなさん、生殖内分泌学のドアをノックしてください。きっと、20年後の皆さんは輝かしい医学や医療の世界で活躍されていることでしょう。未来は生殖医学を学ぶあなた方の物なのです。

(注) 当ページのコンテンツは、生殖・内分泌委員会 前委員長 苛原稔先生より2008年にお寄せいただいたものです。


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