日本産科婦人科学会
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声明

    平成25年12月7日

    子宮頸がん予防のHPVワクチン接種の今後の展望について

    公益社団法人 日本産科婦人科学会
    理事長 小西 郁生

     厚生労働省からHPVワクチン接種勧奨の一時中止勧告がなされてから約6ヶ月が経過した。この間、厚生労働省の予防接種に関する合同部会等で、ワクチン接種後の副反応に関するデータ収集が行われるとともに、国民の注目する「慢性疼痛」に対して専門的に対応する17の医療機関が設定された。厚労省および真摯に検討にあたられている専門家の皆様に対して深甚なる敬意を表したい。一方、世界の趨勢をみると、近い将来に子宮頸がんをこの地球上から消滅させることを目指して、本ワクチン接種が粛々と進行している。また、世界保健機構(WHO)や世界産科婦人科連合(FIGO)からは、本ワクチンの効果と安全性を再確認するとともに、日本の状況を非常に危惧する声明がなされている。本ワクチン接種の勧奨中止が現状のまま継続されることになれば、十数年後には世界の中で日本だけが子宮頸がん罹患率の高い国となる可能性が懸念されるところである。
     しかしながら、この間、ワクチン接種後に慢性疼痛等で苦しむ少女の映像がメデイアで繰り返し報道された結果、たとえ接種勧奨が再開されたとしても、接種率がただちに回復する状況にないことは明らかである。したがって、私たちには、副反応を発症する可能性のある女子と同じ目線に立ち、「中学1年生~高校1年生の女子が、安心して接種を受けることができる」環境を確立していくことが改めて強く求められている。
     そのためには、第一に、副反応に関する情報の公開が最も重要である。現在、厚労省で収集されているデータの解析結果、すなわち、ワクチン接種の副反応としての慢性疼痛の正確な発生頻度、詳細な症状とその後の経過、ワクチンとの因果関係の有無等が、客観的なデータとして公開され、広く国民に周知されることが大切である。またワクチンを供給する製薬会社には、個々の医療機関に対して、副反応に関する詳細な情報を周知することが強く求められる。
     第二に、慢性疼痛に対処できる医療ネットワークの形成が急務である。副反応としての頻度はきわめて稀であるとしても、もしも疼痛が慢性化する場合にただちに専門機関へ紹介し、早期診断・早期治療を行うシステムを構築することがきわめて重要である。この間、さまざまの研究会等で慢性疼痛に関する議論がなされ、これはワクチン接種だけでなく採血だけでも起こりうること、早期に専門的に対処すればほとんど治癒することが判明してきている。本会は、日本産婦人科医会等とも連携しながら、副反応にただちに対処するネットワークを形成し、「安心してワクチン接種を受ける」環境を構築していきたい。
     第三に、ワクチン接種におけるインフォームド・コンセントの徹底が求められる。もしも接種勧奨が再開された場合には、接種現場における詳細な説明と同意、すなわち、子宮頸がんという悪性疾患に関する説明とともに、ワクチン接種のリスクとベネフィットが接種希望者に対して詳しく説明される必要がある。またより安全で疼痛を感じることの少ない筋肉注射法が周知徹底されることも求められる。これらについても、本会が主導してワクチン接種医療機関への指導を行っていきたいと考える。
     わが国において、子宮頸がんは20~30歳代の若い女性において、近年、その罹患数、死亡数ともに増加傾向にある。したがって、その発症を予防し、たとえ発症しても早期発見・早期治療によって若い女性の妊孕能、そしてその生命を守っていくために、HPVワクチン接種と子宮頸がん検診という予防の二本柱がとても大切である。今後も、本会は子宮頸がんの予防と撲滅のための対策を総合的に講じていきたい。

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