日本産科婦人科学会
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声明

    平成25年1月18日

    「卵子の提供による生殖医療」に関する報道についてのコメント

    公益社団法人 日本産科婦人科学会
    理事長 小西郁生
    倫理委員会委員長 落合和德

     不妊症のため子をもつことのできない夫婦のため、わが国では1948年からドナー精子を用いた人工授精(AID)が行われてきました。また近年では、生殖補助医療技術の進歩により、世界的に、第三者の卵子提供による生殖医療が盛んに行われるようになっています。一方、「精子・卵子提供による生殖医療」により出生した子の福祉も重要な問題であり、民法上の「親子関係規定」や子の「出自を知る権利」が大きな注目を浴びています。

     本会は、生殖医療に関する国内外の状況を踏まえながら、特に「精子・卵子の提供による生殖医療」は生命倫理に深く関わるものであるため、わが国の伝統・文化・法を十分に考慮し、広く社会的なコンセンサスを形成する必要があると考え、国民的な議論と法整備を含めた制度設計について「国の関与」を求めてきたところであります。

     その結果、平成10年、厚生科学審議会 先端医療技術評価部会において「生殖補助医療技術に関する専門委員会」が設置され、これらの課題に関する集中的な審議がなされ、平成12年12月に「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方についての報告書」が提出されました。これを受けて、平成13年1月厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課長から、本会に対して、「同報告書において『精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のうち、AID以外は同報告書における結論を実施するために必要な制度の整備がなされるまで実施されるべきでない』旨の見解が示されていることにご留意いただき、貴会会員に同報告書を周知いただくよう、特段の配慮をお願いします」との通達がなされています。

     その後、平成15年4月には、同審議会「生殖補助医療部会」から、「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告書」が示されました。この生殖補助医療部会は、医学、看護学、生命倫理学、法学といった幅広い分野の専門家が委員として加わり、またその報告書は、宗教関係者、患者、法律関係者、医療関係者等の有識者からも広く意見を聴取した上で纏められたものであり、現時点で、私たちが最も尊重すべき内容が盛られております。すなわち、「精子・卵子提供による生殖医療」において遵守されるべき基本的考え方は、「生まれてくる子の福祉を優先する」「人を専ら生殖の手段として扱ってはならない」「安全性に十分配慮する」「優生思想を排除する」「商業主義を排除する」「人間の尊厳を守る」であります。

     以上のように、本会は、従来から「精子・卵子提供による生殖医療」を実施するための制度の整備は国の機関においてなされるべきであると考えてまいりました。今、上記の厚生科学審議会報告書に基づき、国が、夫婦に対するカウンセリング体制の充実、民法上の「親子関係規定」等の法整備、子の「出自を知る権利」を保証するためのガイドラインを含めて、「精子・卵子提供による生殖医療」が適正に行われるための枠組みをすみやかに整備していくよう、引き続き求めて行きたいと存じます。
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