08DEC2006

平成18年度第1回倫理委員会議事録

日 時 :平成18年10月12日(木)17:00〜19:00
場 所 :日本産科婦人科学会事務局「会議室」
出席者:委員長:吉村泰典
     委 員:安達知子、稲葉憲之、大川玲子、齊藤英和、白須和裕、竹下俊之、 宮崎亮一郎
         幹 事:阪埜浩司、久具宏司、高倉 聡

配付資料
【資料1】平成17年度第6回倫理委員会議事録
【資料2】名古屋市大・IVF大阪クリニック・セントマザー産婦人科医院よりの着床前診断審査小委員会
【資料3】精子の凍結保存に関する見解(案)
     参考資料:日本生殖医学会倫理委員会報告「精子の凍結保存について」
     補足資料:「医学的介入により造精機能低下の可能性のある男性の精子の凍結保存」に関する日本不妊学会の見解
【資料4】A-PART日本支部から臨床研究課題審査申請種類一式(再申請)
【資料5】施設内倫理審査委員会の理想的構成について(案)
【資料6】着床前診断審査小委員会よりの答申

1. 議事録確認
(1)平成17年度第6回倫理委員会議事録【資料1】
 平成17年度第6回倫理委員会議事録を確認した。
2. 報告事項
(1)9月分諸登録について
@ ヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究に関する登録
  申請5件〔審査 受理3件、照会2件〕:62研究
A 体外受精・胚移植、およびGIFTの臨床実施に関する登録
  申請3件〔審査 受理 2件、照会1件〕:656施設
B ヒト胚および卵の凍結保存と移植に関する登録
  申請5件〔審査 受理3件、照会2件〕:563施設
C 顕微授精の臨床実施に関する登録
  申請3件〔審査 受理3件〕:413施設
(2)会議開催
@ 登録・調査小委員会を開催した(第1回5月16日、第2回6月2日、第3回6月28日、第4回7月24日、第5回8月30日、第6回9月28日)。
A 着床前診断審査小委員会
 慶應義塾大学よりのLeigh脳症に関する申請(5月10日)、名古屋市立大学・IVF大阪クリニック・セントマザー産婦人科医院よりの申請(6月30日)、慶應義塾大学ならびに名古屋市立大学・IVF大阪クリニック・セントマザー産婦人科医院よりの申請(9月29日)についてそれぞれ協議した。
(3)名古屋市立大学・IVF大阪クリニック・セントマザー産婦人科医院から新規に「着床前診断に関する臨床研究施設認可」に対する申請がなされ,「着床前診断に関する審査小委員会」が発足した。【資料2】

3. 協議事項
(1)精子の凍結保存に関する見解について【資料3】
 吉村委員長より平成15年9月30日付けの「医学的介入により造精機能低下の可能性のある男性の精子の凍結保存」に関する日本不妊学会の見解(資料3・補足資料)、平成18年9月1日付けの日本生殖医学会倫理委員会報告「精子の凍結保存について」(資料3・参考資料)の内容が説明された。
 吉村委員長:精子の凍結保存に関する見解が日本生殖医学会から出されている
が、これをもとに本会としての精子の凍結保存に関する見解(案)をたたき台として作成した。これについて議論していただき決定したものを理事会に提出したい。
 阪埜幹事より精子の凍結保存に関する見解(案)(資料3)の内容が説明された。
 吉村委員長:日本産科婦人科学会では従来、精子の凍結保存に関する見解を示してこなかった。これを作るということについてはいかがか。
 安達委員:作成することは問題ないと思う。対象は悪性腫瘍患者になるのか。
 吉村委員長:例として悪性腫瘍のことが書いてあるが精子凍結保存に関する一般的な見解を示そうと思う。
 安達委員:AIDに用いる精子の凍結保存についても対象となるのか。
 吉村委員長:AIDについては別途定めているので考える必要はない。
 白須委員:どういうものが対象になるのか。
 吉村委員長:毎回病院に来ることができない場合に精子を凍結しておくこともありうる。
 安達委員:長期間海外に単身で海外に赴任している場合とかもある。
 久具幹事:疾患によりやむを得ず凍結保存するものを対象とするのか、さまざまな便宜をはかるようなものまで広く対象とするのかをまず決める必要がある。
 安達委員:便宜をはかるようなものまでここで詳細に決めるのは難しい。疾患によるものに限定した方がいい。
 大川委員:個人の意志があるのに精子の凍結保存をしてはいけないという場合があるのか。全く規制をしないのも心配だと思うが。
 吉村委員長:それに関しては言及しないでいいと思う。また、規制をしなくても特別心配なことはないと思われる。未成年者のこともあるので、少し幅広く−将来造精機能機能が低下する可能性のある男性の精子の凍結保存に限定した見解−とするのがよいか。しかし、このタイトルだと加齢による低下も入ってしまうが。
 白須委員:将来造成機能が低下する可能性に加齢によるものが含まれるとかなり広い範囲になってしまう。
 久具幹事:保存期間は何歳までというような規定をすることで解決できると思うが。
 大川委員:男性の生殖可能年齢はどう判断するのか。
 吉村委員長:男性の生殖可能年齢は何歳までと規定するのは難しい。医学的介入によるものに限定する不妊学会の見解に沿ったものがいいか。
 竹下委員:今年の9月に生殖医学会からでた見解はどういう経緯ででたのか。
 吉村委員長:最高裁の判断を意識して作ったものである。日本産科婦人科学会でも精子の凍結保存に関する見解を作った方がいいのではないかという声がある。現在はマスコミ等から質問があった場合、生殖医学会の見解に準ずると答えている。日本産科婦人科学会の見解も平成15年の不妊学会・本年9月の生殖医学会の見解に沿うようなものにしたいと思う。
 安達委員:マスコミはどういうケースについて聞きたがっているのか。
 吉村委員長:マスコミは病死に関わらず、例えば事故死でも凍結していた精子がある場合にそれを使うことがあるのかを気にしている。
 安達委員:医学的介入がある場合に限って見解を出しておけば、それ以外の場合もそれに準ずるということでいいのか。
 白須委員:特別な状況に限った見解を出していても、それ以外の理由での精子凍結を禁止することはできない。そうであれば、死亡した後の精子の保存や第三者への提供、商業的な介入など精子の凍結保存に関することで問題がある事項を列挙するような見解の方がいいのではないか。
 安達委員:第三者への提供することができないとあるが、第三者とはどういう人をさすのか。
 吉村委員長:本人が生存中の配偶者にしか用いることができないということである。
 久具幹事:第三者という言葉は本来曖昧であるが、配偶者とすると内縁の問題がでてくる。
 吉村委員長:凍結精子の売買・譲渡は禁止するとした方がすっきりすると思う。
 久具幹事:売買はいいが、譲渡はだれに譲渡することを禁止するかということになる。
 吉村委員長:凍結精子の売買は禁止とすると金銭の授受がなければいいのかということにもなる。
 阪埜幹事:AIHに関する会告はないので、AIHに踏み込むように取られる文章は載せることができないと思う。また、第三者に譲渡という表現を使うと内縁の人は第三者ということになってしまう。凍結保存期間、死後廃棄ということだけにするのが一番単純な方法である。今回、問題になっているのは死後廃棄していなくて死後に凍結保存精子が使われたことにある。この場合会告は精子の凍結保存期間に関する見解となる。
 大川委員:不妊治療のためにとっておいた精子でない場合は使い方の規定を決めておかなくてはいけないと思うが。
 竹下委員:使い方に関しては入れなくていいと思うが。
 吉村委員長:4の項に関しては凍結精子の売買を禁止するとするか。譲渡に関しては言及しない。タイトルはどうするか。悪性腫瘍に特化するか。
 白須委員:悪性腫瘍などで医学的介入により造精機能の低下がある場合は、罹患疾患の治療と造精機能の低下との関連などについて説明する必要があるので不妊学会も見解を出している。
 安達委員:悪性腫瘍に特化すると、それ以外の保存期間についての問題が残る。
 吉村委員長:なぜ、この見解が必要かというと患者が死亡した後に凍結精子を用いて妊娠した事例があり、非常に大きな社会問題になったということである。患者が死亡した時の凍結精子の扱いが一番の問題である。
 久具委員:そういうことであれば悪性腫瘍に特化せず、精子の凍結保存全般に関する見解が必要と思われる。

 これらの議論の後、以下のような方向で文章を阪埜幹事が作成し直し、委員・幹事に配布、次回倫理委員会にて再度検討することとした。
 タイトルは精子の凍結保存に関する見解とする。
 項目1に精子の保存期間について示すこととした。「凍結精子は本人から廃棄の意思が表明されるか、あるいは本人が死亡した場合、廃棄される。」(案の項目2より変更)
 項目2に保存の同意に関して示すこととした。(案の項目3より)
 項目3に凍結精子の売買を禁止することを示すこととした。(案の項目4より変更)
 項目4に案の項目1の後半部分の「精子凍結保存の方法ならびに成績、・・・同意文書を保管する。」を示す。
 項目5で医学的介入により造精機能の低下がある場合について言及する。

(2)A-PARTについて【資料4】
 吉村委員長:A-PARTより資料4のような臨床研究課題審査申請−研究課題:複数施設における悪性腫瘍未婚女性患者における卵子採取、ならびに凍結保存の臨床研究の実施−がなされている。登録調査小委員会にて審査を行い再申請に対して照会を行っている。本日は本申請について審議は行わないが、このような申請が出ていることを御理解いただきたい。

(3)理想的な施設内倫理審査委員会のあり方について【資料5】
 吉村委員長:着床前診断などさまざまな研究に関して施設内倫理審査委員会を通った段階で日本産科婦人科学会の倫理委員会に申請してもらっている。しかし
ながら、施設内倫理審査委員会がうまく機能していない施設もあり、また、理想的な構成についても日本産科婦人科学会倫理委員会として案を出していなかっ
った。
 着床前診断の審査の過程でどのような施設内倫理審査委員会が理想的であるのかという問い合わせがあったという経緯もある。理想的な施設内倫理審査委員会のあり方について議論していただきたい。
 吉村委員長より資料5に基づき施設内倫理審査委員会の理想的構成について(案)の説明があった。
 安達委員:理想的な構成についてだと拘束力があるわけではないのか。
 吉村委員長:拘束力があるわけではないが、こういうことを理解して施設内倫理審査委員会を行って欲しいということである。その施設内倫理審査委員会で審
議し承認された研究課題等を登録調査小委員会等に提出してもらいたいということである。
 阪埜幹事:日本産科婦人科学会の生殖補助医療実施医療機関の登録と報告に関する見解の2−(4)で倫理委員会について述べられている。―b)倫理委員
会は中立を保つため委員構成に配慮が必要であり、中立的な外部委員を複数入れることが望ましい。c)倫理委員会委員長を施設責任者・実施責任者が兼ねるこ
とは望ましくない。−とあります。現時点での規定はここまでである。これを理想的にはこうして欲しいという形にするのか会告(見解)自体を厳しく変更する
のかということになる。
 吉村委員長:この見解に沿う形をとるとBは−複数の外部委員をおくことが望ましい−となり、Cは施設内倫理審査委員長になることは望ましくない−となる。
 稲葉委員:今回の提案は三省(文部科学省・厚生労働省・経済産業省)合同のヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針を参考にしているのか。
 阪埜幹事:三省合同の倫理指針に沿う形にしている。
 宮崎委員:理想的構成とはこのような施設内倫理審査委員会にすることを希望するということであるのか。従来の会告と文言が異なっても問題ないか。
 吉村委員長:問題はないと思う。理想的には施設内倫理審査委員会をこのようにして欲しいという希望を出すことになる。こうしなければならないとするのはなかなか難しいと思う。
 安達委員:これはどういう形で出すのか。
 阪埜幹事:会員へのお知らせという形で出すことになる。
 吉村委員長:会告として出すのは難しいと思われる。文章は提案された通りでよろしいか。
 高倉幹事:C―審査対象となる研究の責任者および担当者は施設内倫理審査委員会の委員長となることはできない。―とあるが施設内倫理委員長は毎審査ごと
に決める訳ではないので、この文章は難があるかもしれない。
 稲葉委員:C−審査対象となる研究の責任者および担当者が当該審査の倫理審査委員会の委員長になることは望ましくない。−とするのがよいと思う。また、
タイトルは−施設内倫理委員会の理想的構成および運営について−とすればよいと思う。
 白須委員:以前にも話が出たことがあるが大学等大きな施設は既に施設内倫理委員会が設置されており特に問題はない。問題になるのは主に個人のクリニック
である。個々のクリニックでそれぞれ施設内倫理委員会を持つことはなかなか困難であるので、各地方部会に倫理審査委員会をおいて、そこで審査するようにす
ることを努力目標にするという案も出たと思う。そういうことを検討できないか。
 吉村委員長:検討はしているが、さまざまな問題があり各地方部会に設置するのは現実的には難しい。理想的な施設内倫理審査委員会がもてない場合はどこで
それを代行するかということになるが、現時点では生殖補助医療に関しては日本産科婦人科学会の登録調査小委員会が施設内倫理審査委員会の職務を代行して
いる。施設内倫理審査委員会の構成が内部の関係者が大半を占め不適当であったため録調査小委員会が代行したがその時に理想的な構成について質問があった
ので、今回、理想的構成について検討することとした。
 以上の議論の後、原案を一部修正の上、倫理委員会として承認された。
 修正点
 タイトル−施設内倫理委員会の理想的構成および運営について−
 項目C−審査対象となる研究の責任者および担当者が当該審査の倫理審査委員会の委員長になることは望ましくない。−

(4)着床前診断審査小委員会からの答申について【資料6】
本日配布された資料6を各委員が通信にて審査を行うこととした。 

(5)その他
特になし

先頭へ戻る