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病気を知ろう:産科の病気

前置胎盤

前置胎盤とは

 胎盤が正常より低い位置に付着し、胎盤が子宮の出口(内子宮口)にかかっていたり覆っていたりする状態を「前置胎盤」といい、その頻度は、全分娩の0.3~0.6%といわれています。また、前置胎盤のうち5~10%では、胎盤と子宮が癒着して胎盤がはがれない「前置癒着胎盤」となる可能性もあります。
 胎盤は、お母さんと赤ちゃんをつなぐ血液・酸素・栄養のとても豊富な組織です。前置胎盤は、胎盤が赤ちゃんよりも子宮の出口付近に位置しているため、ほぼ100%帝王切開で分娩となり、お母さんにとっても赤ちゃんにとっても危険性の高いハイリスク妊娠なのです。

どのような人がなりやすいの?

 前置胎盤の発症メカニズムの詳細については、まだよくわかっていませんが、流産手術などにより子宮の内膜が傷ついたり、炎症などが起きると、前置胎盤も起こりやすくなると考えられています。つまり、高齢妊娠、 喫煙、多産婦(1人以上お産をしていること)、多胎(双子以上)、帝王切開の既往、流産手術や人工妊娠中絶術既往、その他子宮手術の既往などが原因として挙げられます。
 近年では、妊娠の高齢化、不妊治療の普及、帝王切開分娩の増加などにより前置胎盤の頻度も増加しています。特に帝王切開については、その頻度が増すごとに「癒着胎盤」の発生率も上昇することが知られています。

どんな症状がありますか?

 一般的に前置胎盤は無症状ですが、腹痛を伴わない突然の性器出血(警告出血)や大量性器出血を認める場合には、産婦人科に緊急受診が必要になります。これらの症状は、お腹が大きくなり張りやすくなる妊娠28週以降に増加するといわれています。

いつ頃診断されるの?

 前置胎盤の診断や分類には、経腟超音波検査を用います。妊娠の早い時期に前置胎盤と診断されても、妊娠が進み子宮が大きくなると徐々に胎盤が上にあがり、最終的には前置胎盤でなくなる例が多くあります。このため、妊娠中期は「前置胎盤疑い」として、妊娠31週末までに診断します。
 前置胎盤と診断が確定した場合は、胎盤と子宮口の位置関係によって図のように分類されます。癒着胎盤を疑われる場合には、追加でMRIなどの精密検査が必要となることがあります。

妊娠中の管理方法は?お産はいつ頃?

★ 妊娠中
 前置胎盤では妊娠28週以降に性器出血頻度が徐々に増加し、人為的早産となりやすい。従って妊娠31週末までに前置胎盤か否かの診断をつけます。そして、他院に管理を依頼する場合には、妊娠32週までに紹介受診が完了するようにします。
前置胎盤と診断された際には、出血することもあるため、基本的には安静にして無理な運動や性交渉などは控えた方がいいでしょう。入院管理の時期についての決まった考え方はなく、妊娠中に出血を認めた場合はその時点で入院管理となり、お腹が張らないように子宮収縮抑制剤の投与を行います。
 お産に備え、貧血を認める場合は妊娠中から鉄剤などを内服または点滴し改善しておきます。また、33~34週頃から自分の血液をストックしておく「自己血貯血」を2~3回行い、手術には輸血の準備など万全の態勢を整えてから行います。

★ 分娩~産褥
 お産は帝王切開が原則となり、妊娠37週末までに帝王切開を施行するのが望ましいとされています。しかし、帝王切開の予定より前であっても、出血が起こった場合には出血量や赤ちゃんの発育の具合で緊急帝王切開を行う場合もあるので、前置胎盤と診断された場合は麻酔科やNICUのある総合病院・大学病院での管理が望ましいでしょう。
 出血が大量になると、赤ちゃんだけでなくお母さんの生命に危険が及ぶこともあり、どうしても出血が止まらない場合や事前に癒着胎盤と診断された場合には、子宮を摘出することがあります。

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