不妊症とは
愛し合う仲の良いカップルがその愛の結晶である子供を持つことを望むのは、人間として極めて自然な感情であり、大切にされなければなりません。いのちとは体という入れ物は変わっても、祖父母から両親へそして私たちに連綿と受け継がれてきたものです。すなわち、今ここに生きている我々は基本的に次の世代を残す力は皆持っているのだと言えます。
しかし、なんらかの原因で子供に恵まれないカップルがいらっしゃいます。精子、卵子が作られる時から受精卵がお母さんの子宮内に着床し胎児が育まれるまでの極めて沢山の出来事のどこかにトラブルが生じ、一定期間子供を求めているのに恵まれないときに不妊症という状態になります。
まずは産婦人科医に相談を
月経が順調に来ている方なら年間12回から13回の排卵がありますが、その中で妊娠に結びつくような周期は3割程度のみと考えられています。すなわち、子作りとはあせらずたゆまずのぞむ必要もあります。また、加齢により妊娠する力は低下してゆくことも事実です。結婚年齢が上昇している昨今では、気になることがあるときはまずは我々産婦人科医師に相談していただきたいと思います。
検査と治療
その治療は原因を明らかにするための「スクリーニング」より開始されます。例えばホルモンの値のチェック、腫瘍の有無、パートナーの精液所見、そして卵管の通過性などの検査がそれに該当いたします。そして原因が絞り込まれたら、それに即した治療法が選択されます。体外受精・胚移植法あるいは顕微授精法を総称して生殖補助技術(Assisted Reproductive Technology: ART) と呼びます。体外受精は不妊症治療の一方法であり受精から初期胚発育の周辺で「お母さんのおなかの中では、少し環境が悪いかな?」と想定されたときに施行されます。すなわち、付属器(卵管と卵巣)が癒着し卵管の動きが悪かったり、卵管自体が通らなくなってしまった例、あるいは子宮内膜症などの骨盤の中に炎症をきたすような例などに施行されます。顕微授精法は精子の数が少ないなど受精の過程の一部に問題があると考えられたときに施行されます。図に体外受精・顕微授精の概要を示します。

①卵巣に針を刺し、卵を採取します。
②体外で精子と受精させます(上段:顕微授精、下段:通常の体外受精)。
③受精を確認し、卵の分割を待ちます。
④子宮内に受精卵を戻します。
我が国の成績
我が国では現在20万件近い生殖補助技術が行われています。本会ホームページより「ARTオンライン登録受付中」のバナーを開いていただき左下の「ARTデータ集」をクリックしてください。我が国での治療数、年齢別の治療成績などがご覧になれます。