HUMAN +女と男のディクショナリー
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3030日本では「母ぼたいほごほう体保護法」という法律にもとづいて、胎たいじ児が子しきゅう宮の外で生活できない時期(妊娠21週6日まで)に限って、その妊娠をやめることができます。これを「人工妊娠中ちゅうぜつ絶」といいます。人工妊娠中絶(以下「中絶」と書きます)に関する考え方は、国によって大きく異なり、まったく認めていない国(カトリックが国の宗教であるところに多い)から、妊娠した本人の意思だけで行うことができる国まであります。日本はその中間で、中絶できる条件は、下記の2つの場合だけです。 1. 妊娠の継続または分ぶんべん娩が、身体的または経済的理由により、母体の健康を著しく害するおそれの  あるもの 2. 暴行もしくは脅きょうはく迫によって、または抵抗もしくは拒絶することができない間に、姦かんいん淫されて妊娠  したもの本人とパートナーの同意書が必要ですが、パートナーがわからない、あるいはレイプなどのときは本人の同意書だけでできます。ただ、手術なので未成年の場合は親の同意をもらいます。日本での中絶は、上記の1によるものがほとんどです。◎ どんな手術? いつまでならできるの?妊娠初期(11週6日まで)と妊娠中期(12週~21週6日まで)では、やり方が異なります。初期では、多くの施設で前の日に子しきゅう宮の入口を柔らかくする器具を入れて、一晩おいてから次の日に麻ますい酔をかけて子宮の中の胎たいじ児、胎たいばん盤を吸いだす(または掻かきだす)方法をとります。多くの施設では日帰りで行っていますが、一部の施設では、特に持じびょう病がある場合などは一泊二日で行う場合もあります。妊娠中期では、入院して子宮の入り口を柔らかくする処置を受け、子宮収縮剤で陣じんつう痛をつけて分ぶんべん娩させることが多いです。同じ中絶をするなら初期のほうが女性のからだへの負担が小さく、回復も早いです。費用は健康保険は使うことができず、すべて自費診療になります。初期中絶で10万~20万円程度、中期中絶だと30万~50万円程度かかり、分娩費用と変わらなくなります。中期中絶の場合は、死産証明書を役所に出して火葬しなければなりません。この費用も別にかかります。いずれの場合でも最初に初診料がかかり、感染症や血液型などの検査をすることが多いので、ここにさらに1万~2万円の費用がかか14第一章 〜思春期〜人工妊娠中絶大阪大学大学院産科学婦人科学講座 木村 正Doctor

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