HUMAN +女と男のディクショナリー
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生物としての性行動は生せいしょく殖目的なので、子孫を残した後はしだいに衰えるのが自然かもしれません。しかし人間の性は生殖をはるかに超え、性の目的は「愛情や親密さの表現」「快楽」「男性・女性として自信を得る」「やすらぎ」などさまざまで、個人差も大きいのが特徴です。年齢制限はありませんが、加齢には身体機能の衰おとろえに加えて、さまざまな病気の影響も加わります。加齢とセクシュアリティについて、障害対策も含めて医学的知識を持ち、ふたりでゆったりと楽しみたいものです。 ◎ みんな性交痛で悩んでいる女性にとって閉へいけい経は人生の何回目かの曲がり角です。更こうねんき年期には心身の不調を感じる人も多く、ホルモン補充療法などの対策が提案されています。女性の性機能の変化として知っていただきたいのは、女性ホルモンの欠乏が腟ちつねんまく粘膜を萎いしゅく縮させ、性的興奮時の腟ちつじゅんかつえき潤滑液が減ることです。挿入時の痛みの原因になり、中高年女性のセックスレスの理由として、「自分が関心を失う」「夫が関心を失う」に次ぐ3位が「性交痛」です。閉経後の性交痛に対して、女性ホルモンは根本的な解決策となります。骨こつそしょうしょう粗鬆症などとは異なり、腟粘膜の萎縮がかなり進行してからでも、2週間から1ケ月治療すると回復します。また更年期障害の症状改善には、プレマリンやエストラジオール製剤が適切ですが、腟粘膜萎縮には全身作用が少ないエストリオール製剤も有効です。エストリオール製剤には経けいこうやく口薬と腟ちつざざい坐剤があり、後者は粘膜作用が十分で、全身作用・副作用ともに少ないという特徴があります。しかし腟前庭(尿道と腟が開口している所)の粘膜は改善に時間がかかり、このため性交痛が緩かんわ和しない人もいます。このような場合、あるいは女性ホルモンが使えない(または使いたくない)人には、腟潤滑を補充するゼリー剤をおすすめします。潤滑剤を多めに使ったコンドームの使用もいいでしょう。閉経後に性欲が低下し、夫の求めに応じるのが苦痛という人もいます。男性ホルモンの欠如が原因かもしれません。男性ホルモン補充はまだ一般的ではありませんが、かかりつけ医と相談してみてください。1002第五章 〜中高年期〜中高年の豊かな性生活国立病院機構千葉医療センター 大川玲子Doctor

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