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原因不明習慣流産例に対して行う夫リンパ球免疫療法に
おけるリンパ球への放射線照射について
原因不明習慣流産に対して夫リンパ球免疫療法が行われてきましたが、最近のメタアナリシスではその有効性を示すデータが得られていません。加えて2002年に米国FDAが本療法は臨床研究に限定して行われるべきとの勧告を出して以来、その実施数は世界的に減少していると考えられます。2009年の厚生労働科研不育症研究班(「不育症治療に関する再評価と新たなる治療法の開発に関する研究」主任研究者 齋藤滋、分担研究者 竹下俊行)による現在のわが国における夫リンパ球免疫療法の実態調査によると、現在でも同療法を実施している施設は2002年当時の4分の1に減少していることが判明しました。重大なことに、実施している施設の中に、接種するリンパ球に放射線照射を行っていない施設が少なからず(34%)存在することが明らかになりました。
移植片対宿主病(GVHD)は輸血の副作用の中でも最も重篤なもののひとつで、輸血血液中のリンパ球によって引き起こされます。平成21年2月、厚生労働省は、「輸血療法の実施に関する指針」及び「血液製剤の使用指針」の一部改正を行い、GVHDが放射線照射血液を使用することによって予防できることを明記しました。リンパ球を濃縮して接種する夫リンパ球免疫療法では、放射線照射せずに実施すればGVHD発症の可能性はきわめて高いと考えられます。
日本産科婦人科学会では、生殖・内分泌委員会報告(日産婦誌56巻6号)において、夫リンパ球免疫療法が輸血療法であり放射線照射が必須であることを明記しています。本会員の先生方におかれましては夫リンパ球免疫療法を行う際にはこのことに十分留意し、リンパ球には必ず放射線照射を行ってから接種されることを周知徹底されることをお願い致します。
2010年2月16日
社団法人 日本産科婦人科学会
理事長 吉 村 泰 典
周産期委員会委員長 齋 藤 滋