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会員各位

平成29年5月18日


妊産褥婦の死亡診断書の記入についてのお願い


公 益 社 団 法 人 日 本 産 科 婦 人 科 学 会
理 事 長  藤 井 知 行
周 産 期 委 員 会 委 員 長 竹 田 省


 これまで我が国の死因統計(人口動態統計)は ICD-10 (2003版) を適用していましたが、2017年1月1日より死亡診断がICD-10(2013年版)に基づくことになりました。これにより、これまでは妊産婦死亡に含まれていなかった産褥うつあるいは精神疾患などによる自殺等も妊産婦死亡としてカウントすることが検討されています。

 我が国では2016年までは交通事故あるいは自殺は除外規定である「不慮又は偶発の原因」と考えられ、妊産婦死亡、後発妊産婦死亡ではないと判断されていました。しかし、英国その他の諸外国では以前から妊娠・分娩・育児により起こった精神疾患による自殺は妊産婦死亡であるとされ、国際的に妊産婦死亡の解釈に相違がありました。ICD-10(2013年版)1)には、間接産科的原因の規定に適合するという前提で、自殺を含む外因死等を妊産婦死亡に含めるべきであることが追記されました。大切なことは、「妊娠もしくはその管理に関連した又はそれらによって悪化したすべての原因」による自殺等が妊産婦死亡の対象となることです。通常、妊娠・分娩・育児中に女性の不安・ストレスが増強することが知られており、精神科医による病名が確定していなくても多くの妊産褥婦の自殺はこの範疇に含まれると考えられます。

 これまでも、循環器疾患・悪性疾患などの疾患が妊娠の生理的作用によって増悪することも知られ、以前から妊娠中又は妊娠終了後1年未満の間接産科的妊産婦死亡あるいは後発妊産婦死亡となっていました。

 これらのことに言及した死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル平成29年版(添付)が厚生労働省医政局、政策統括官(統計・情報政策担当)から発行されました。「妊娠もしくはその管理に関連した又はそれらによって悪化したすべての原因」による自殺あるいは基礎疾患での妊娠中から出産後1年未満の死亡を診断あるいは検案した場合には、死亡診断書(死体検案書)の死亡の原因のⅠ欄に記入することをお願いします。
 産科的原因の例(死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル9頁)に沿って(ア)は直接死因、(イ)はその原因、(ウ)には死亡時期を記載します。妊娠中であれば「妊娠○週」、分娩中であれば「妊娠○週の分娩中」、産後であれば「分娩した妊娠週数、産後○日」と記載します。
 しかし、妊娠・分娩・産後1年未満の死亡であっても、「妊娠もしくはその管理に関連した又はそれらによって悪化したすべての原因」ではないと医師が判断した場合には、直接死因をⅠ欄(ア)に記入しますが、前述の死亡時期はⅡ欄に記載し、この場合には妊産婦死亡、後発妊産婦死亡にはカウントされません。

 最近の東京、大阪の調査で我が国の妊産褥婦(分娩後1年未満まで)の自殺者は約100人と推計され、妊産婦死亡が約50人であることから、今回の改訂で妊産婦死亡が激増し臨床現場で混乱することが危惧されています。

 以上のことから日本産科婦人科学会員には次のことをお願いします。
◆妊娠中又は妊娠終了後1年未満に妊娠の生理的作用によって悪化したうつ、精神疾患、不安状態による自殺等は妊産婦死亡、後発妊産婦死亡と認識して死亡診断書(死体検案書)を作成する。
◆妊産婦死亡、後発妊産婦死亡の場合には、Ⅰ欄の最後に死亡した妊娠・産後の時期をマニュアルに従って記載する。
◆今回加わった「自殺」だけではなく、妊娠中又は妊娠終了後1年未満に妊娠の生理的作用によって悪化した「悪性疾患」「既往疾患」などによる死亡も妊産婦死亡、後発妊産婦死亡であることを再認識し、死亡診断書(死体検案書)を作成する。
◆産科的原因ではない場合であっても、妊娠中又は妊娠終了後1年未満の死亡については、II欄に妊娠・産後の時期をマニュアルに従って記載する。


(参考)
*「産科的原因」(妊娠もしくはその管理に関連した又はそれらによって悪化したすべての原因)とは
 ①妊娠時(妊娠・分娩・産じょく)の産科合併症、関与、義務の怠慢又は不適切な処置から生じたもの
 ②妊娠前から存在した疾患又は妊娠中に発症した疾患が妊娠の生理作用によって悪化したもの

*「妊産婦死亡」は、妊娠中又は妊娠終了後満42日未満の女性の死亡で、妊娠の期間及び部位には関係しないが、妊娠もしくはその管理に関連した又はそれらによって悪化した全ての原因によるものをいう。ただし、不慮又は偶発の原因によるものを除く。直接産科的死亡と間接産科的死亡に細分される。

*「後発妊産婦死亡」は、妊娠終了後満42日以後1年未満における直接又は間接産科的原因による女性の死亡。


(参照)
1)疾病、傷害及び死因の統計分類提要 ICD-10(2013年版)準拠 第2巻 総論 P151
2)平成29年度版 死亡診断書記入マニュアル 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/toukei/manual/


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