全国周産期医療データベースに関する実態調査の結果報告

 「全国周産期医療データベースに関する実態調査」を平成17年11月22日付けで、各都道府県の本会地方部会長に理事長および学会のあり方委員会委員長からお願いしました。この調査にご協力下さいました地方部会長をはじめ、多くの会員の先生方に心より感謝申し上げます。多くの都道府県では医会の先生にもご協力を戴きました。平成17年12月1日現在において、1) 大学およびその関連病院の実態調査のデータに含まれていない病院、有床診療所、助産院などの「分娩取り扱い施設」と「分娩は取り扱わないが妊婦健診(22週以降)を行っている施設」のリストアップと2) 常勤医数(大学などでは医員含む)などの調査を依頼しました。大学およびその関連病院はすでに入手したデータを用いております。
 これまで、全国の分娩施設数は産科および産婦人科を標榜する施設数から5000以上あるとされ、分娩に関与する産婦人科医師数も11,000人以上存在するとされてきました。

1) 現在の回答状況
 今回の調査は、回答率を100%にするべく努力してまいりましたが、東京都の20以上ある支部のうち、4支部からは未回答でした。その4支部の医療施設についてはホームページなどから指定される数値を分娩取り扱い数と医師数の合計には入力しました(*印の数値)。
 助産所数と妊婦健診のみの施設数については、それぞれ、1都2県、1県から回答がありませんでした。

2) 全国の分娩施設数
 病院数が1280、有床診療所数が1783で、合計3063が分娩を取り扱う施設数でした。その他に自施設で分娩を取り扱う助産所としては257が報告されました。調査時点からさらに分娩施設が減少している傾向もあり、現在の分娩取り扱い施設数は約3000と予想を大きく下回る結果でした。

3) 分娩を取り扱わない産科施設数
 つまり、妊婦健診のみ行う施設が、1677施設ありました。うち、148施設が病院でした。しかしながら、多くは少数の妊婦健診を扱い、(セミ)オープンシステムを導入していない施設で、婦人科中心の施設と考えられる。

4) 分娩に関与する全常勤医数
 大学の医員は、実態としては常勤医であるので、常勤医数に含めた。全国の合計は7985名で、約8000名という結果であり、従来考えられていたよりもはるかに少ない人数であることが判明した。

5) 病院の常勤数
 大学病院(本院80、分院30)を含め、10名以上は98(7.2%)で、その他の病院は8施設しかなかった。1名が187施設(17.1%)、2名が299 施設(26.5%)、3名が286施設(22.0%)、4名が159施設(12.1%)、5-9名が236施設(14.4%)であった。医師数の合計は5474名で、1施設あたりの平均は、4.3名であった。しかし、これは大学病院の人数が平均値を上げており、中央値としては3名であり、4名以下の病院が78.4%を占めている。
 集約化の第一段階の目標である5名以上の病院は、334施設(21.4%)であり、このうち、東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都、兵庫で170施設と半数以上を占めている。
 2名以下の病院が50%以上である地域は20県であり、60%以上が7県(岩手、福島、新潟、石川、福井、滋賀、山口)、最高は福島県の71%であった。
 1名の病院は、山形、福島、石川、高知、熊本で30%以上であった。最高は石川県の40%であった。

6) 有床診療所の常勤医数
 1名が1214施設(71.5%)、2名が452施設(23.8%)、3名以上が99施設(4.6%)であった。過去に比較するデータはないが、複数の常勤医を有する有床診療所の比率は、1名の施設が分娩取り扱いを中止することのために、増加しつつあると考えられる。あるいは、分娩をやめる施設と医師を複数化して分娩を続ける施設に2極化しつつあるのかもしれない。

7) 分娩施設の平均医師数
 今回の解析では大学病院を含めたため、平均常勤医数は2.45名であった。分娩を取り扱う大学病院は107施設(本院 80、分院27)で、その常勤医数は1838名である。したがって、大学病院を除いた分娩施設の平均医師数は、1.74名(5147/2956)であった。大学病院を除いた場合、2名以下の常勤数であることが確認された。
 大学病院を含めた医師数で、平均が2名以下であったのは青森、岩手、福島、岐阜、滋賀、愛媛、佐賀、大分の8県であった。

8)医師1名あたりの出生数
 出生数は平成16年のデータを用いた(総数1,110,721人)。各都道府県に届けられた出生数に基づいて計算しているので、里帰り分娩や県境を越えた分娩など住所と異なる都道府県での出生は考慮していない。また、人口密度にも影響を受けるので、各都道府県の適性医師数を検討する数値としては使えない。医師1名あたりの労働も、分娩数以外に拘束時間、当直回数、ハイリスク妊娠の取り扱いなどのほうが大きく影響するものである。あくまで参考値として考えてもらいたい。

平成18年6月14日

          社団法人 日本産科婦人科学会
学会のあり方検討委員会
委員長  吉川 裕之

分娩取り扱い施設数及び常勤医師数のデータ