公益社団法人 日本産科婦人科学会

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「子宮頸癌に対する腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮頸がんに限る)に関する指針」改定の報告

更新日時:2020年8月3日

2020年8月1日

「子宮頸癌に対する腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮頸がんに限る)に関する指針」改定の報告

日本産科婦人科学会 会員各位

 日本産科婦人科学会では、2018年に公表されたLACC試験の結果を受け、「子宮頸癌に対する腹腔鏡下広汎子宮全摘出術について」を本会ホームページに2019年1月22日付けで掲載しました。さらに、重要なお知らせとして「子宮頸癌に対する腹腔鏡下広汎子宮全摘出術に関する指針について」を2019年3月4日付けで公開し、当該術式を施行する施設の登録制度を運用しています。

 制度開始後に明らかとなってきた問題点について関係学会と協議の上、下記のように指針を改定することになりました。それに伴い名称も「子宮頸癌に対する腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮頸がんに限る)についての指針」と変更します。改定した指針の周知期間は2020年12月末までとし、2021年1月より改定した指針に準拠して診療を行うことになります。つきましては来年1月以降、改定指針を遵守していただきますようお願いします。

 なお、指針を遵守しなかった場合は、保険要件の施設基準(7)「関係学会から示されている指針に基づき、当該手術が適切に実施されていること。」に違反するものとみなされ、当該施設の保険診療が取り消されることがありますのでご留意ください。
 

日本産科婦人科学会 理事長 木村  正
日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会 委員長 八重樫伸生
日本婦人科腫瘍学会 理事長 青木 大輔
日本産科婦人科内視鏡学会 理事長 大須賀 穣


「子宮頸癌に対する腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮頸がんに限る)に関する指針」

  1. 腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮頸がんに限る)の施設基準を満たし、当該手術を施行している施設あるいはこれから施行しようとする施設は日本産科婦人科学会に対して施設登録の申請を行うことを義務付け、日本産科婦人科学会・日本婦人科腫瘍学会・日本産科婦人科内視鏡学会は保険適応として上記術式を施行できる施設を 「腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮頸がんに限る)登録施設」として学会HPに公表する。
  2. 登録施設は、腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮頸がんに限る)を施行した全症例を日本産科婦人科学会の腫瘍登録に登録する義務がある。
  3. 腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮頸がんに限る)を実施する場合、患者に対して、国内外の治療成績や自施設の実績等を提示し、当該治療の内容、合併症及び予後等他の術式との差異が分かるように、文書を用いて詳しく説明を行い、患者の同意を得るとともに、患者から要望のあった場合、その都度治療に関して十分な情報を提供する。
  4. 常勤の日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡)と日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医の協力体制の下で、あるいは常勤の腹腔鏡手術手技に十分習熟した日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医が、腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮頸がんに限る)を実施する。
  5. 腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮頸がんに限る)を実施する場合、先進医療等で認められていた適用疾患(IA1期・IA2期・IB1期・IIA1期の子宮頸癌)の範囲を超えない。
  6. 腫瘍細胞が腹腔内に曝露・散布されることがないように、腟管の切開や子宮の摘出方法に十分に留意する。
  7. 腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮頸がんに限る)を保険診療で行う際は、腹腔鏡下広汎子宮全摘出術を術者として3例以上実施した経験を有する常勤の医師が所属する施設で行う。

 

改定のポイント

  • 指針の対象を腹腔鏡下広汎子宮全摘出術→腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮頸がんに限る)として、事実上、腹腔鏡下準広汎子宮全摘出術、腹腔鏡下拡大子宮全摘出術等もそれに含めることとする。
  • 適応疾患として、IA2期、IB1期、IIA1期に加えて、IA1期も含めることとする。
  • 腹腔鏡下広汎子宮全摘出術登録施設・施行施設も、腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮頸がんに限る)登録施設・施行施設に変更する。
  • 登録・施行施設への申請に必須な婦人科腫瘍専門医、内視鏡技術認定医は、常勤医に限定する。なお、常勤医の定義は日本産科婦人科学会の定義に準じる。

改定に至った経緯

  • 子宮頸癌に対する腹腔鏡下広汎子宮全摘出術だけが対象となり、子宮頸癌に対する腹腔鏡下準広汎子宮全摘出術や腹腔鏡下拡大子宮全摘出術が対象外になっている。
  • LACC試験の結果で、IA2期、IB1期、IIA1期を指針の対象としたが、IA1期に対する腹腔鏡下手術の安全性・有効性が担保されている状況とはいえず、腹腔鏡下準広汎子宮全摘出術や拡大子宮全摘出術も広汎子宮全摘出術に準じた体制で行うことが望ましい。
  • 2cm以下の子宮頸癌IB1期に対して、腹腔鏡下広汎子宮全摘出術をせずに縮小手術を施行するような施設が存在する可能性もあり、そういった施設が漏れてしまう可能性がある。
  • 手術施行体制として、非常勤の婦人科腫瘍専門医や内視鏡技術認定医を記載して申請することが望ましい。
  • 旧指針においては、申請のあった非常勤医が手術を担当していればよいが、中には外来診療や当直業務のみの勤務実態しかないような非常勤医の名前で申請している施設も含まれている。
  • 「腹腔鏡子宮悪性腫瘍手術(子宮頸がんに限る)」という保険収載されている術式には、腹腔鏡下広汎子宮全摘出術だけでなく、腹腔鏡下準広汎子宮全摘出術や腹腔鏡下拡大子宮全摘出術も含める。
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