公益社団法人 日本産科婦人科学会

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子宮頸癌に対する腹腔鏡下広汎子宮全摘出術について

更新日時:2019年1月22日

子宮頸癌に対する腹腔鏡下広汎子宮全摘出術について

日本産科婦人科学会会員 各位
 

 2018年4月の診療報酬改定で、子宮頸癌に対する腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術が新たに保険適用となりましたが、先般、米国を中心に13か国・33施設が参加し実施されていた、開腹手術と低侵襲手術(腹腔鏡下及びロボット支援下手術)による広汎子宮全摘出術の予後を検証するための大規模ランダム化比較試験(LACC試験)の結果がNew England Journal of Medicine誌(N Engl J Med. 2018;379:1895-1904)に掲載されました。

 LACC試験の主な結果は、術中・術後合併症の頻度や術後QOLにおいて、開腹手術群と低侵襲手術群との間に差が認められなかったものの、

  • 低侵襲手術群の4.5年無病生存率・全生存率が、開腹手術群よりも劣っていた
  • 低侵襲手術群において、領域(骨盤内)再発の割合が多かった

というものでした。
 なお、低侵襲手術群の予後が開腹手術群と比較して不良であった理由は明らかになっていませんが、LACC試験における手術手技や研究デザイン上の課題が指摘されていることから、本学会としては、LACC試験の結果をもって、全ての子宮頸癌に対する低侵襲手術群の有効性が完全に否定されたと結論づけることはできない、と考えています。

 ついては、子宮頸癌に対する腹腔鏡下広汎子宮全摘出術を実施する際に、手術の安全性を担保するという観点から、以下の点につき留意いただくようお願いいたします。
 

  1. 子宮頸癌に対する腹腔鏡下広汎子宮全摘出術を実施する場合、患者にLACC試験の結果および自施設の実績を提示し、患者の治療選択権を尊重し、十分に話し合い、必要な理解・同意を得ること
  2. 日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡)と日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医の協力体制の下で、あるいは腹腔鏡手術手技に十分習熟した日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医が、子宮頸癌に対する腹腔鏡下広汎子宮全摘出術を実施すること
  3. 子宮頸癌に対する腹腔鏡下広汎子宮全摘出術を実施する場合、先進医療で認められていた適用疾患(IA2期・IB1期・IIA1期の子宮頸癌)の範囲を超えないこと
  4. 腫瘍細胞が腹腔内に曝露・散布されることがないように、腟管の切開や子宮の摘出方法に十分に留意すること

日本産科婦人科学会 理事長 藤井 知行
日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会 委員長 榎本 隆之
日本婦人科腫瘍学会 理事長 青木 大輔
日本産科婦人科内視鏡学会 理事長 竹下 俊行
 

註:
 日本産科婦人科学会では、2018年3月に米国New Orleansで開催されたThe 49th Annual Meeting of Society of Gynecologic OncologyでLACC 試験の結果が発表されたことを受けて、日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会の中に「低侵襲広汎子宮全摘術に関する小委員会」を設け、関連する学会(日本婦人科腫瘍学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本婦人科ロボット手術学会)を代表する委員とともに、本邦における子宮頸癌に対する低侵襲手術の今後のあり方について議論をしてまいりました。
 今般、LACC 試験の結果がNew England Journal of Medicine誌に掲載されたことを受けて、子宮頸癌に対する低侵襲手術に関する本学会の見解を、学会員の皆様に周知することとなりました。

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