25JUN2004

 

 


会   告

学会会員殿

昭和62年1月

社団法人 日本産科婦人科学会
会 長  飯 塚 理 八

死亡した胎児・新生児の臓器等を研究に用いることの是非や許容範囲についての見解

 

 流産・早産などにより死亡した胎児・新生児の臓器等を研究に用いることの是非や許容範囲を,本学会では,慎重に協議したが,問題の対社会的・道義的責任の重大さにかんがみ,本会会員が,次の諸事項を守られるよう要望する.

 1)妊娠期間の如何に拘らず,死亡した胎児・新生児の取り扱いは,死体解剖保存法が既に定めているところに従う.

 2)死亡した胎児・新生児の臓器等を研究に用いることは,それ以外には研究の方法がなく,かつ期待される研究成果が,極めて大きいと思われる場合に限られるべきである.

 3)死亡した胎児・新生児の臓器等を用いて研究を行うものは,原則として医師でなければならない.また,その研究協力者も,すべて,研究の特殊性や対社会的重要性などを,十分に認識したものでなければならない.

 4)死亡した胎児・新生児の臓器等を研究に用いようとするものは,予めその目的を母親及び父親(親権者)によく説明の上,その許可を得ておく必要がある.また胎児・新生児及び両親等のプライバシーは,十分尊重されなければならない.

 なお,生存中の胎児・新生児に関しては,明らかにその予後を好転させると考えられる研究的処置に限り,母親及び父親(親権者)の同意が得られた場合に行うことができる.

 

(昭和62年1月発表、会長 飯塚理八)

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「死亡した胎児・新生児の臓器等を研究に用いることの是非や許容範囲についての見解」に対する解説
(日産婦誌54巻2号付録 pp8)

 

 妊娠12週以上で死亡した胎児・新生児は、死体解剖保存法に基づき取り扱うが、妊娠12週未満で死亡した胎児の取り扱いは同法に規定されていない。しかしながら、妊娠期間の如何に拘わらず、胎児は将来人になる存在として生命倫理上の配慮が不可欠であり、尊厳を侵すことのないよう敬虔の念をもって取り扱われなければならない。

 最近、死亡した胎児・新生児の臓器に存在する組織幹細胞の再生医療への応用が注目されている。本学会は、そのような目的での研究の発展を禁止するものではない。産婦人科は主として臓器を提供する立場となるが、会員各位がその研究の意義を自ら充分に理解され、自主的に協力の可否を判断して頂きたい。また、如何なる研究目的にせよ、当該施設の設置する倫理委員会の承認を得ることが必要であることはいうまでもない。

 

(解説追加 平成13年12月15日)

 


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