日本産科婦人科学会
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日本産科婦人科学会について

ご挨拶

平成27年6月22日  

我が国の産婦人科の発展のために

公益社団法人日本産科婦人科学会
理事長 藤井 知行

 理事長 


皆さん、こんにちは。
 さる6月20日の定時社員総会で、今後2年間の新しい執行部が発足し、武谷雄二先生、吉村泰典先生、小西郁生先生に続き、4代目の日本産科婦人科学会理事長を務めることになりました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 日本産科婦人科学会の目的は、「産科学及び婦人科学の進歩・発展を図りもって人類・社会の福祉に貢献 すること」と、定款に記載されています。本会は学術団体ですが、専門家集団として我が国の産婦人科を取り巻く環境の変化に対応し、女性と生まれてくる子供たちの幸せのために、社会全般と広く係わっていかなければならなくなっています。
 日本産科婦人科学会が理事長制となって10年間が経過し、本会は、その間、多くの事業を機動的に展開してきました。最近では、少子化問題への対応、福島県の周産期医療への支援、子宮頸がん予防のHPVワクチン普及のための課題克服、新たな専門医制度発足に向けての準備、生殖を巡る倫理的懸念への対応、新産婦人科医増加に向けた対策、ワークライフバランスを考えた産婦人科医労務環境の改善、産婦人科医地域間格差の改善と医療体制の整備など、多くの課題に小西郁生前理事長のもと、学会を挙げて取り組んできました。私はこうした事業を継続、さらに発展させていきたいと考えています。そのうえで、今後、本会が取り組むべき重要課題として、1.女性の健康増進と少子化対策に積極的に貢献すること、2.産婦人科新人医師の減少に歯止めをかけ、地域間格差を減少させ、我が国の産婦人科医療の未来像を示すこと、3.国際化を推進し、世界、特にアジアの国々から産婦人科のリーダーと認められるようになることを挙げたいと思います。
 まず第1の課題ですが、少子高齢化が国を挙げての課題になっています。しかし、高齢化については、多額の国費が投じられ、社会もその重要性を認知するようになっていますが、少子化とその背景にある女性の健康問題は、必ずしも国民の理解を得られていないように思います。私たち産婦人科医は、女性の健康を全人的に支援し、女性の幸福を追求するプロフェショナルです。女性が多方面で活躍するためにはどのような健康支援が必要なのか、其の中で、妊娠し、出産することの障害になっていることは何なのかを明らかにし、積極的に社会、政治、行政に訴えていくことが必要です。
 また、望まない妊娠で一度も健診を受けずに危険な出産をする女性がいます。望まない出産の結果として、生まれた子供が虐待を受け、命を落とすケースもたくさんあります。こうした人々への支援は、主として単一病院あるいは数か所の協力病院で行われてきました。学会として、子供の虐待防止にも目を向け、生んだお母さんと生まれた子供たちが幸せな人生を送れるように支援するシステムを、国レベルで作るにはどのようにすべきかを検討し、実現したいと思います。
 第2の課題ですが、新たに産婦人科医師になる若いドクターの減少が止まりません。一時、増加に転じていましたが、再び減少しています。未来ビジョン委員会、若手育成委員会を中心に、皆で知恵を出し合い、Human+事業、Plus One事業、サマースクールなど多くの対策を打ってきましたが、残念ながら目に見える効果がまだ出ていません。今後も、こうした事業を発展させ、続けていかなければなりません。産婦人科になる医師が一時増加していたのにまた減少した最大の理由として、初期研修において産婦人科が必修でなくなったことが挙げられています。初期研修で産婦人科に接する医師が減少したことが、新産婦人科医師の減少理由だとすれば、産婦人科を選択する初期研修医を増やせばいいことになります。それには、医学部の学生教育が極めて重要であることは間違いありません。しかし、産婦人科医はどこでも人手不足です。忙しさのあまり、学生教育に十分手が回らない所も多いのではないかと思います。一方、人手が足りているとは思えないのに、卒業生から多くの産婦人科医を輩出している地方の大学もあります。私は、産婦人科を志す医学部卒業生を増やすためには、どのような教育方法がいいのか検討し、全国の大学に提示したいと考えています。この検討には、卒業生から多くの産婦人科医を輩出している大学の先生に加え、若い医師の知恵を借りる必要があると思っています。学生や初期研修医が、どのような基準で診療科を選択するのか、何を希望しているのかを知っているのは、同世代の若い先生です。専攻医を含む若い世代の積極的な学会活動を促したいと考えています。そこで、従来の未来ビジョン委員会に若手育成委員会を統合し、産婦人科の未来のために、世代間の垣根を越えて活動していくことに致しました。
 産婦人科医配置の地域間格差もなかなか解消されません。地域によっては、数年後には産婦人科医療の中でも、特に周産期医療が崩壊すると危惧されています。医療改革委員会で詳細な分析を行い、緊急提言を社会に発しましたが、中には痛みを伴うものもあるため、社会の支持を得るのは容易でないかもしれません。しかし、これ以外に方策はないということを繰り返し、政治、行政、世論に訴え続け、地域の産婦人科医療システムの改革を促していきたいと考えています。
 第3の課題ですが、私は、編集担当常務理事として、The Journal of Obstetrics and Gynaecology Research誌 (JOGR) のEditor-in-Chief (EIC)を務めて参りました。JOGRは本学会およびAsia and Oceania Federation of Obstetrics and Gynaecology (AOFOG) のOfficial Journalですが、同時にinternational journalとして、欧米を含む世界中から年間1,200以上の投稿を受け付けています。EICとして、全ての投稿論文の採否に係わってきましたが、日本の産婦人科は、学問、医療のいずれにおいても、間違いなく世界のトップレベルにあります。しかし残念ながら、世界で必ずしもそれを認知されていません。アジアにおいてもAOFOGのExecutive Board Meetingで加盟国の産婦人科学会からAOFOGに招請講演者の推薦が来た時、日本の研究者の名前は挙がってきません。インドやシンガポール、香港、台湾などの研究者の名前ばかり挙がってきます。私たちはこれまで、英文論文を書くことはもちろん、国際学会でも多数発表してきました。しかし、振り返ってみると、国際学会に参加するかどうかの基準は、そのことにより自分が学問的に得るものがあるかどうか、自分にとってプラスとなるかどうか、ということであったように思います。ですから、欧米の学会には出席しても、アジアなどの開発途上国の学会には参加してきませんでした。これからは、こうした国々を支援するという立場に立ち、特に次代を背負う若い先生方が積極的に教育講演に行くことにより、日本の高い学問、医療レベルを認知してもらえるようにしたいと考えています。また、日本産科婦人科学会学術講演会にはinternational sessionを始め、多くの海外研究者が参加しています。彼らに日本の医療、研究レベルの高さを知らせる良い機会なのですが、まだまだ英語の発表は限定的で、十分にチャンスを生かせていないように思います。今回の横浜での学術講演会から、スライドやポスターが随分英語化されました。学術集会長の先生や学術委員会の先生方と相談し、さらに国際化を推進できればと考えています。我が国の産婦人科の発展に国際化は避けて通れない道です。日本が世界のリーダーとして認められるよう、皆さんの協力を得て、共に努力していきたいと思います。
 今後とも、公益社団法人としての本学会の活動にご協力を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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